第66話 帝国貴族
夕食をみんなで食べ終えて、新しい仲間の部屋割りをすると
何人かは、部屋で休むことにした。
今、リビングにいるのは
浩二、洋二、藤倉、七瀬、の4人だ。
「宮本君、明日からダンジョン探査再開でいいの?」
「いえ、その前に『探索者ギルド』で登録があります」
「そういえば、岡崎たちはギルドに登録してなかったっけ」
「でも宮本君、シャーロットちゃんはどうするの?」
「もちろん、連れて行くよ」
「でも、1歳でしょ?大丈夫?」
「護衛を増やしますから、大丈夫です」
「ん~、何人か置いていくってのは無しか?」
「無しだな、おいていった人たちのレベル上げが大変になるだけだぞ?」
「なら仕方ないな」
「大丈夫かしら……」
「でも、私たちのパーティーも大所帯になったわね」
「24人だからな、『〇〇団』って名乗った方がいいかもな」
「それなら、洋二が考えておいてくれ」
「いいだろう、まかせておけ!」
七瀬さんも藤倉さんも、笑顔で温かい目を洋二に向けている。
「でも、ダンジョンの中を移動するのに
大所帯だと移動が難しいんじゃないの?」
「その辺は、考えているよ藤倉さん。
実は、ダンジョン内は馬車が使えるんだよね」
「何!」
「そうなの?」
「それじゃあ、16階層以降は馬車を使うの?」
「経験値等などは、『勇者』の称号補正で馬車内の人にも入るし
レベル上げにはもってこいだよ」
「でも危険は変わらないよね?」
「馬車専門の護衛を何人か選んでおけば、敵と戦う人、馬車を守る人、
馬車の中で待機する人、ケガなどで交代などなど」
「まるで、どこかのゲームみたいね」
「ダンジョンに潜ってみて、道幅が広いから
もしかしたらって考えてみたんだよ」
「う~ん、ダンジョン内に村があるぐらいだしいけるかもな」
「それじゃあ、明日は『探索者ギルド』で登録を済ませて
そのままダンジョン16階層へ潜るのね?」
「俺と、洋二や悠太たち新しい仲間を連れてギルドへ行きますので
七瀬さんたちは、準備を整えて『英雄の試練』の入り口で待っていてください」
「わかったわ」
「宮本君、馬車はどうするの?」
「普通の馬車は使わないので、俺のスキルで快適な馬車を召喚しますよ」
「それは、楽しみね」
「期待してるよ」
「俺、待機組にしようかな…」
次の日、俺と洋二は新しく仲間になった悠太たちを連れて
『探索者ギルド』へ向かい、登録を済ませてダンジョンへ行く道で
あの貴族が騎士30人と執事を連れて、俺たちの前に現れた。
「おい、平民!もう一度だけチャンスをやろう」
「出たよ…」
「洋二、悠太、みんなを頼む」
「一人で大丈夫か?」
「ああ、ここは任せてくれ」
「どうだ?『グレース』を渡す気になったか?」
「あのな貴族様、交渉はすでに決裂している。
俺は、『グレース』を渡す気はない!」
「これは交渉ではない!命令だ!!
さっさと、『グレース』を渡せ!」
「帝国の貴族は、こんなのしかいないのか?」
「……貴族の命令を聞けぬ奴は、この世にいらん!
殺せ!女以外、皆殺しにせよ!!」
「「「ハッ!」」」
帝国騎士30人は、盾を前にて剣を抜くと
10人ずつ横に並び、俺に向かってきた。
「こんな貴族しかいないとは、帝国は終わりだな!召喚!【ヴァルキリー】」
召喚陣が浩二の周りの地面に浮かび上がると、
光とともに10人の【ヴァルキリー】が姿を現す。
「アルヴィト、前方の帝国騎士を気絶させてくれ」
「了解です、マスター!」
剣を抜き、盾を構えることなく10人のヴァルキリーたちは帝国騎士に向かっていく。
帝国騎士は、向かってくるヴァルキリーたちに戦いを挑む。
だが、レベル600を超えている彼女たちに勝てる帝国騎士はおらず
1分もかからずに、30人全員を気絶させた。
「どうする、貴族様?」
「そ、そんな……」
「て、帝国の騎士が……30人はいたんだぞ……」
「はあ、何かバカバカしい…
アルヴィト、そいつらも気絶させて」
「はい、マスター」
アルヴィトは、素早く貴族と執事の後ろに回り一撃で意識を奪う。
意識を失った貴族と執事は、その場に倒れこみ、ピクリとも動かなかった。
「マスター、制圧完了です」
「みんなご苦労様、また後で呼ぶと思うから」
「はい」
俺は、ヴァルキリーたちを送還すると後ろで呆然としている洋二達に
「おーい、ダンジョンに行くぞ?」
「……お、おお」
「……浩二って、こんなに強いのか?」
「……宮本君、強いんだね」
「……悠ちゃんのお友達、強いのね」
「……信じられない」
「……あれって召喚術?」
ダンジョンに向かって歩く俺の後を、洋二達が唖然としながらついてくる。
「大丈夫か?洋二」
「お、おお。大丈夫だ」
「な、なあ浩二。あの貴族たちはどうするんだ?」
俺はちらっとだけ貴族たちが気絶しているところを見ると、
「ほっといて、いいと思うぞ」
「………フフフ」
グレースは、自分のご主人様を見て笑みを浮かべた。




