第57話 ゴーダン奴隷商
俺たち3人は、路地裏で楓が帰ってくるのを待っていた。
フィリミアナは、ずっとうつむいたままだ。
ネルは、そんなフィリミアナを心配そうに傍についている。
時間だけが過ぎていく中、楓が帰ってきた。
「行き先がわかりました、マスター」
「お帰り。で、どこだった?」
「はい、『ゴーダン奴隷商』という所へ入っていきました」
「……」
「フィリ様…」
「わかった、ありがとう楓」
「また何かありましたら、お呼びくださいマスター」
「ああ、そうするよ。【送還】」
楓を送還すると、フィリミアナたちに向き直り
「とりあえず、『ゴーダン奴隷商』に行くぞ」
「は、はい」
フィリミアナは頷く。
『ゴーダン奴隷商』
ここはフィリミアナたちを買ったところ。どうも訳ありな女性奴隷が集まるみたいだ。
どんな仕入れ先を持っているのか……
「いらっしゃいませ、コージ様」
「俺のことを、覚えてくれたのか?」
「もちろんでございます、5人もうちの商品を購入されたのですから」
「すごいな…」
「それで、今回は購入で?それとも売却を?」
「今回も、購入だ」
「それは、ありがとうございます」
「さっき、奴隷を積んでいた馬車がいただろう?」
「はい、うちの仕入れ先からの馬車でしたが…」
「あの中に、気に入った奴隷がいてな…」
「それはそれは、ありがとうございます。
先ほど届いた奴隷は、今身体チェックをしていますので
お見せできるのは後になりますが、よろしいですか?」
「ああ、それで構わない」
「では、こちらにお座りになってお待ちください」
ロビーにあるソファーを薦められたので、そこに俺たちは座って待つことにした。
「そうだ、コージ様はオークションに参加されるのですか?」
「ん?何かあるのか?」
「はい、私ども『ゴーダン奴隷商』も出品しますので
ぜひ見に行っていただけたらと思いまして」
「ほう、それは楽しみだ。ぜひ見に行ってみよう」
「はい、3日目の奴隷オークションに出品しますので
お気に召した品がありましたら、ぜひ落札いただければ」
「ああ、気に入ったのがあれば考えよう」
「では、少しお待ちください」
そう言って、奥へと入っていった。
しばらくして、奥からゴーダンが出てくる。
「お待たせしました、こちらにどうぞ」
そう言って、俺たちを奥の部屋へと招き入れる。
「この部屋に、今回運ばれてきた商品を並べましたので
気に入ったものをお選びください」
「ありがとう」
俺は『魔眼メガネ』をかけると、さっそく女性奴隷を見ていく。
一人づつ見ていくと、見つけた。
(ナタリー、20歳、人族、元ワーディング帝国第2皇女付き侍女。この人か)
そして、この人以外にいないか見ていく。
(いた、オリビア、22歳、人族、元ワーディング帝国第2皇女!)
「ん、この二人をもらえるか?」
「さすがコージ様、お目が高い!」
「まあね」
「この二人は、オークションへの出品も考えたのですが…」
「断念したのか?こんなに美しい女性なのに?」
「ええ、年齢が20歳を過ぎると商品価値が落ちてしまうのです」
「なるほど、それはもったいない…」
「ええ、ですが買い手は若い子をほしがりますので…」
「それで、値段はいくらになる?」
「はい、この二人で金貨200枚となりますがよろしいですか?」
「ああ、ではこれを」
俺は懐から、金貨200枚が入った袋を渡す。
「今確認を……はい、確かに。では契約をしますので入り口でお待ち下さい」
「わかった」
俺たち3人は、入り口のソファーに座って待つことになった。
「あの、コージ様。ありがとうございました」
「…ありがとう」
「気にするな、二人とも。でも2人そろっていてよかったな」
「はい、ですが…」
「ん~、そのことは帰ってからの方がいいと思うよ。ネル」
「はい」
少し待っていると、奥からナタリーとオリビアを連れたゴードンが帰ってきた。
「お待たせしました、では首のチョーカーに血をつけて契約完了となります」
俺は、指先をナイフで少し切り血を出ししてチョーカーに付けると
チョーカーが少し光り、色が黒からかへと変わり契約完了となった。
「コージ様、このたびのお買い上げありがとうございます」
「ああ、また来るときは頼むよ」
「はい、またのご来店をお待ちしております」
「では」
俺は皆を連れて家へと帰った。
道中、うつむいたままのオリビアとフィリミアナだが
二人の手は繋がれていた。
そして、ネルとナタリーはオリビアとフィリミアナの後ろを
二人のつながれた手を見ながら、少し涙ぐんでいたように俺には見えた。




