第17話 支払いと支払い
俺は、冒険者ギルドへ来ていた。
「ども、こんにちはシアさん」
受付業務をしていたシアさんが、こちらに気づき挨拶をしてくれる。
「こんにちは、店主さん。お支払いに来てくれたのですか?」
「ええ、今日が支払いの締め切りでしたよね?」
俺が金貨400枚の入った袋をカウンターに置くと、
「……確かに、金貨400枚の支払いを確認しました」
と言いながら、袋の中身を確認いていく。
「そういえば、いろいろとお屋敷の改装や改築をしているようですね」
「まあ、あれだけ傷んでいたりしたら仕方ありませんよ」
俺はそういうと、冒険者ギルドをあとにした。
それから5日が経過するものの、何か進展があるわけでもなく
俺の住んでいるこの町は、平和そのものあった。
6日目に、『転移の扉』が開きポーション500本とともに
『薬師』と『忍者』のみんなが帰ってきた。
「みんな、おかえり」
俺は笑顔で、みんなを迎えた。
「ただいま戻りました、マスター」
「「「戻りました、マスター」」」
「マスター、これがご注文のポーション500本です」
「ありがとう、本当にお疲れさま」
俺はポーションを、アイテムボックスのカバンに入れながら
みんなにお礼を言う。
「それじゃあ、ゆっくり休んでくれ。『送還』」
ポーションをカバンに詰め込め終わると、みんなを送還して
新たに召喚をする。
「召喚、【行商人】」
俺の前に3人の行商人が召喚され、
「お呼びですか?マスター」
「ホルバン、君たちにはこの町から西に行ったところの国境にいる
シャイル・ファーガという人に、このカバンに入ったポーションを届けてほしい」
「ご依頼ですか?」
「ああ、それと届けて代金を受け取って帰ってくるようにね」
「代金はいくらになりますか?」
「え~と、銀貨505枚になるはずだ」
「金貨で受け取ってもいいですか?」
「それは構わないよ」
「それでは、行ってきます」
「ああ、みんな気を付けてね」
行商人の3人は店を後にして、西門へ向かっていった。
2日ほどで帰ってきた行商人の3人。
「お疲れ様、何か言われたかい?」
俺は3人をねぎらいながら、お金の入ったアイテムボックスのカバンを受け取る。
「いいえ、逆に褒められましたよ」
「どうやら商業ギルドなどの他に頼んでいたポーションは、数が少なかったようです」
「それと国境で何回か小競り合いが起きているみたいでした」
「小競り合い?」
「はい、『ベルガルナ王国』の王都から逃げてきたと思われる兵士たちとです」
「よく、王都からってわかるね」
「国境にいる人の話では、王都の兵士と辺境などの兵士とでは鎧や武器が違うそうです」
「ん~、帝国も動き始めているみたいだし少し注意が必要かな」
「ではマスター、送還をお願いします」
「わかった、ご苦労様『送還』」
俺は皆を送還すると、店に戻っていった。
店に戻って、『神の新聞』を広げて書かれている記事を確認すると
「…これだろうな、『王と王妃首をはねられる』」
この記事の詳細に、貴族側で次の王にだれがなるのかで
さらに混乱と戦いが酷くなっているようだ。
その隙をついて辺境伯派が挙兵、
さらに北から帝国が一気に王都を目指して侵攻中か。
これは『ベルガルナ王国』が辺境伯派の領土と帝国の領土に分かれそうだな。