第16話 新たな依頼
あれから7日が経過した。
『ベルガルナ王国』を脱出した異世界召喚者と王女様一行は、
予想通りこの町『リビニア』を素通りして『ネルディアナ王都』へ逃れていた。
王宮は『ベルガルナ王国』の内乱に少し混乱していたが、
すぐに大部隊の軍を国境に派遣して防衛強化していた。
異世界召喚者たちも、勇者たちはこの国の勇者と合流。
他の者たちも先輩召喚者たちについて、この世界のことや強くなるために勉強し始めたようだ。
俺の購入した屋敷の出番はなさそうだ。
屋敷は修理や庭の手入れも終わり、時間があるようなので内装の工事に入っている。
お風呂やトイレ、家具なども新しくする。
もういっそのこと、俺が住んでもいいかな。
屋敷と店は、『転移の扉』を使えばいいかも。
それから、『ベルガルナ王国』の内乱だが、『神の新聞』によると
王様派と貴族の公爵派で戦っていて、辺境伯派がその動向を見守ってるらしい。
王都では血なまぐさい戦いの最中で、
住民たちは巻き込まれまいと難民となり辺境伯派の町に避難しだした。
長引きそうだな…
しかも辺境伯派は、状況次第で両方の派閥を倒すための準備を始めたようだ。
さらに、北の帝国が『ベルガルナ王国』への侵攻を準備しているみたいだし…
『ベルガルナ王国』滅亡の危機か…
そんな時代の流れというべき事態が起こっていても、俺はいつも通りだった。
そろそろ、『ダンジョンの扉』を使わないと。
そこで俺は、
【ヴァルキリー】×6人
【聖女】×2人
【クノイチ】×2人
【薬師】×2人
【ゴーレム使い】×2人
【魔術師】×3人
を召喚してダンジョン探索へと行ってもらった。
今回は踏破を目標としてもらったので、フル装備だ。
食料などの準備も万端。
「ではみんな、ダンジョン探索をよろしくお願いします」
「「「了解です、マスター!」」」
久しぶりの召喚に、みんな意気揚々に『ダンジョンの扉』に入っていく。
合計17人の大所帯だ。
さて、俺は店を開けるかな。
今日も客は来ないだろうと思っていたら、午後になってその人はきた。
店のドアが開き、二人の男性が入ってきた。
「ここがどんな依頼も受けてくれる『相談屋』かね」
「いらっしゃいませ、できる依頼ならお受けしますよ」
「それなら、10日以内にポーションをあるだけ用意できないか?」
「えっと、ポーションはどれくらいほしいのですか?」
「用意できるなら300はほしい」
「300…、でそのポーションはどちらにお届けすれば?」
「ああ、すまない。私は国境で部隊長をしているシャイル・ファーガだ」
「…私は、フォラルド・レミー」
「ポーションは私、シャイル・ファーガのもとに送ってくれ」
「わかりました。『10日以内にポーションを300個以上』送ればよろしいですね?」
「ああ、よろしく頼む」
「では、料金は依頼1件で銀貨5枚にポーション代1個銀貨1枚かかります」
「それは私のもとに届いた時に支払うということでいいかね?」
「はい、わかりました」
「ああ、それとポーション購入の依頼は商業ギルドにも出してあるから」
「…素材が集まるかわからんが、必ず届けてくれ」
なるほど、この町でポーションの素材集めからポーション自体も集めにくくなるってことか。
それで10日以内か…
「わかりました、必ずお届します」
その言葉を聞き満足した表情で店を後にした二人。
俺はリビングに移動すると、まず屋敷の工事に10人。
ダンジョンに17人。ダンジョンの素材や宝物を売るために3人。
合計30人。今、レベル420だからスキルレベルは42。
42人まで召喚できるな。
俺は確認を終えると、裏庭に出て「召喚、【薬師】【忍者】」
それぞれ5人ずつ召喚する。
「さて、君たちには『ポーション』を500個ぐらい用意してもらいたい」
「畏まりました、マスター」
「それで、何日までに用意しましょうか?」
「うん、そこの『転移の扉』の先の森で6日以内でお願いしたい」
「「「了解です、マスター」」」
そういうと、薬師と忍者の10人は『転移の扉』をくぐっていった。
…後は待つだけ。