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ふとっちょ召喚士  作者: 光晴さん
勇者と異世界人と魔王封印

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第11話 再会



裏庭の椅子に座って、うとうとしているとダンジョンの鉄の扉が開く。

「ただいま戻りました、マスター」

「おかえり、楓、桜、雪、綾」


俺は時計を見てすでに夕刻近くになっていることに気づく。

「子供たちは、何人救出できた?」

「はい、子供たちは14人全員の救出に成功しました」


「よし!ご褒美をあげよう」


楓たちに『イチゴ大福』を召喚して渡すと

「ありがとうございます!」

…喜んでくれたみたいだ。


楓たちの後ろにいた子供たちも、欲しそうに見つめている。

「…君たちもほしいの?」

子供たちは全員、何度も頷いている。


一度に14個は召喚限界なんだよな……。



俺は考えて、5個づつ召喚して子供たちに『イチゴ大福』をあげる。

「ありがとう、おじさん!」

「どういたしまして」

お礼を言ってくれた子供の頭をなでてあげた。



そこへ鉄の扉からサーシャが現れた。

「マスター、集落の人全員連れてきまし…た…」

「ご苦労様、サーシャ」

「…マスター、この子たちは?」


「集落の子供たちだ。楓たちに頼んで救出してもらった」

「みんな無事だったんですね」

「楓たちは子どもたちと一緒に、この『転移の扉』に入ってくれ。

サーシャたちは、ダンジョンのみんなを連れてこっちの『転移の扉』に移ってくれ」


サーシャは困惑気味に

「あのマスター、転移の扉の先は?」

「扉の先は集落が作れそうな広い場所を確保しておいた」

「では、集落の皆さんのために?」


「それがラルゴからの依頼だからな」

サーシャは笑顔で

「皆さんを連れて転移の扉に入りますね」

「ああ、よろしく頼む」




俺も楓たちや子供たちと一緒に転移の扉をくぐると、そこには広い草原がある。

楓たちは周囲の警戒、子供たちは俺の周りに集まり

大人たちが入ってくる扉を見つめている。


そして、続々と大人たちが入ってくると

自分の親の元へと駆けていく。


ラルゴとユキは、俺を見つけると母親らしき人の手をしっかりと握ったまま

反対の手で手を振ってくれる。

そして、最後に入ってきたダンジョン攻略メンバー。


みんなで集落の人たちの喜び合っている姿を見ていると、ラルゴたちがやってくる。

「お兄ちゃん、ありがとう!」

「みんな無事でよかったな、これで依頼は完了だな」

「うん、ケガをしていた人もいたけどお姉ちゃんに直してもらったし」

俺は笑顔でラルゴとユキの頭をなでた。



「このたびは私どものために、ありがとうございました」

頭を下げてきたのは初老の男性だった。

「いえ、ラルゴからの依頼に応えただけですよ」


「それで、ここはどこになるのですか?」

「ここから東に行けば『テセラ』の街があります」

「『テセラ』ということは、ここは『ネルディアナ王国』ですか」


「ええ、それにここは見つかりにくい場所にありますから、

集落があっても咎めることはないでしょう。平和に暮らせると思いますよ」

「おお、ありがとうございます」

「あと、この『転移の扉』はこのままにしておきますで、何か困ったことがあれば訪ねてきてください」


「何かあれば、訪ねてみますよ」

「では、私たちはこれで。あと、素材を売ったお金は明日持ってきますので」


そういうと、俺たちは見送られながら『転移の扉』をくぐり裏庭へ帰ってきた。

「召喚、【行商人】」

再び、クルムドとダンレンが召喚される。

「アルヴィト、クルムトたちに素材や宝物を渡してあげて」

「はい、ではこちらになります」


「みんな、本当にお疲れさまでした。まだ何かありそうだけどその時はよろしく」

「「「はい、了解ですマスター」」」


素材や宝物を渡し終えた者たちから順番に送還していく。

送還のたびにレベルがガンガン上がっている。

どれだけ戦ってきたのか聞くのが怖いな…


「マスター、すべて受け取りましたよ」

「私らはいつもの通りに売りに行ってきますが、少し時間がかかるかもしれませんぞ」

「わかった、相手にはそう伝えて待ってもらうことにしよう」


「では私らはこれで」

クルムドたちは裏道を進んでいつものようにギルドへ向かう。


俺は全員を送還し、家の中へ入っていく。



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