3話 人生目標
また短いです。
はい。5歳となりました。
え?時間が飛び過ぎ?だって寝てくって寝てくってしてただけだもん。ほかになんていえっていうんだよ!?
まぁ特筆すべき点なんて特にないんじゃないかな?
卵のあとはすぐに肉を食ったことくらいじゃないかな?
ミルクとかないんだね。いや竜が母乳出せるとは思えないけどさ。どう見ても哺乳類じゃないし。卵で生まれたし。
「起きたかガイスト。おはよう、今日で5歳か。年月がすぎるのははやい、特に子供を見ているとな。」
俺の名前なガイストってのは!
そしてそう!なんとこの世界には年月がしっかりしているのだ。
30日12か月だ。
そして4年に1回、20日の無年で日数を調整するらしい。
そしてこの竜普通は日数なんて気にしないのだが、俺が生まれてからは、きっちり数えている。つまりは親ばかである。
むろん文句なんてないが。
「おはよう。かあさん」
そして母親である。
父親の存在は知らない。
ちなみに今の返事は竜語だ。
日本人が英語を話すような感じで喋っている。
まぁ0歳から使っているのだ。さすがにもうかつての日本語のようにすらすら喋っているが。
この5年で母親から学び知ったことがいくつかる。
まずこの世界に人間がいること。
そして竜は貴重な薬や素材が取れることから狙われること。
ゴブリンやオーク、オーガからグリフォンみたいな魔獣までいること。
両親は竜の中でも上位種であること。つまり自分もだ。
ちなみに、帝竜>魔竜>炎竜=水竜=地竜=風竜>下位竜と種族的な強さだとなるらしい。ちなみに俺は魔竜らしい。中級までの竜が使う魔法など当たり前のように使え上位の魔法を使いこなす。魔法に特化した竜らしい。むろん肉体的な強さも負けるわけではないむしろ中級の竜なら身体能力だけでは倒せるくらいには。ただ帝竜には負けるらしいが。これは、世界に2匹しかいないらしい。
竜にとって5歳とは何を目指すかを決めるときである。
魔法を極めたいとか、何々を成し遂げたいとか興味を持ったことに対して頑張る先を決めるのだ。むろん長い生を生きる竜だ。達成してまた別の目標を盛ったりもする。
「5歳になったしそろそろどういうことを学びたいか決まったか?」
「はい、私は強くなりたいです。」
俺は答えていた。
「ほう、強くと。なぜだ?」
うちの母親の喋り方は威圧感があるぶっきらぼうです。
とっても優しいですが。
だからこれを言うのは気が引ける。だが、これは神聖な儀式みたいなもんだ。本音を喋らなければならない。
「ぐだぐだと森の中で森林浴、日光浴をして寝て食べて寝て食べての生活をしたいからです。」
「・・・・・・・・・・は?」
母親のどこまでも困惑した。あまりにも強くなりたいという答えにそぐわない理由に。
「私は日向ぼっこが大好きです。森林浴が大好きです。だからそんな中ごろごろしたいです。」
「うん」
ここまでは理解できるのだ。実際食べることや寝ることが好きでそうやって過ごすものもいる。
「ですが、そのためには竜というのは竜というだけで狙われます。」
名声目的の冒険者に素材に目がくらむ魔法使い、竜はすべて害悪といわんばかりに襲い掛かってくる勇者、そして手下にしようとくる魔王と、ぱっと思いつくだけでこれだけいる。
「ですので、そういって襲い掛かってくる奴をかるーくひねれるくらいになれば悠々自適なお昼寝ライフを送れるのだと思います!」
なんてったって就職する必要がない世界に来たのだ。オタ活ができない以上次に好きだった。昼寝を人生の楽しみにして何が悪い!
ここまで言うと母は理解できたようだった。
「つまりあなたは、昼寝を邪魔されたくないから強くなりたいと。」
「はい」
「また、なかなか面白い理由だ。つよければ威張れるとか、襲うのが快感とかいうやつに比べてなんて迂遠で面白い理由だ!よし、お前の悠々自適なグダグダ生活のために鍛えてやろう!」
こうして、上位竜である母による、目指せNEETの特訓が始まった。