10話 3人の冒険者
この森に来て3か月がたった。
ナノさんは晴れた日はほぼこっちに来て一緒に日向ぼっこや場所を変えて森林浴を楽しんでいた。
この日も一緒に湖畔でハンモックに揺られながらくつろいでいたのだが。
この森に来てからユレさん以外の反応を久しぶりに発見した。正確には俺とユレさんの領域ということになっている湖の近くにだ。なぜなら現森の主と前の主がここに住んでる&ほぼ毎日来るのだ。
ほかの魔物や動物は湖には近づかない。湖の上流か下流の川を水を使う際には使っている。そんな湖に近づいてくるのがいるのだ。川をたどっているらしいな。
「誰か来た。」
「だねぇ。縄張りが認識できてないね?多分人間だと思うよ。魔物とか動物じゃないね。」
「へー人間がこんな森に来るんだ。」
「冒険者とかいるからね。なんか素材とりに来たんじゃないかな?ここは結構資源が豊富だからね。」
「そうなのか」
「えぇ。でも王都から遠いし近隣に村とかもないからそうそう来ないんだけどね。穴場なんですよねここ。」
「どうしようか?」
「そうですねー相手次第じゃないですか?襲ってきたら殺しますし。対話できるならそれに越したことはありませんし。」
「そうしようか。まぁくるまでのんびりしてますか。」
「そうですね。わざわざここから動く必要もありませんし。まったりしましょう。」
待つこと30分。
「湖か・・・・・・って家?なんだってこんなところにまさか人が住んでるのか?」
「とりあえずお邪魔させてもらおう。もう寝たい・・・」
「いや駄目だ。魔物の森で家を建てて生活できてるんだぞ?魔物よりもやばいに決まってるだろう。」
なんて会話してる。男2に女1だな、もちろん俺はまだハンモックだ。魔力で聴覚強化しただけだ。めんどうだしここから思念でも飛ばすか
「なに用ですか?」
「っ!だれだ!!!」
「家の主ですが」
「姿を見せてくれ」
「湖の湖畔で寝てるのでそこまで来てくださいな。」
「あ。あぁわかった。」
「いくの?」
「あぁ、休みたいんだろう?少し話してみよう。いきなり襲われなかったからな。対話できるだろう。」
「あぁ人間を食べることはないので安心して下さい。」
「・・・・あぁ」
俺の近くまで3人組が来る。
こんどは声を出して呼びかける。
「ここですよ」
目の前まで3人組がきた。
女1に男2だ。
女は杖。男の一人は大盾もう一人は片手剣に小盾だ。
防具はみんな皮鎧だ。
「人間?」
「あぁこれを使うのと家を使うために普段は人化してるだけです。」
「つまり貴方たちは魔物?」
「えぇ私たちは魔物の中では上位の存在ですのであなた方と対話することもできます。」
中位までは力はあっても知能は低いのが多いからだ。
「これは?」
「そとで快適に寝るための道具です。」
「・・・あ、あぁ」
「それでなんでこんなところに?」
「俺たちは冒険者なんだが。ペガサスの涙を求めてここに来たんだ。ペガサスが王都から一番近いところで確認されてるのがこの森だからな。俺たちはA級冒険者だからこの森でも探索できたんだ。」
「ふーん。ペガサスの涙って?」
「どんな病も直すといわれてるペガサスの光属性が凝縮したといわれてるものだ。それで不治の病にかかった妹をすくってやりたくてここに来たんだ。だけどここに来るまでに休む間もない戦闘に疲れ果てたら迷って川をたどったらここに出たんだ。」
「ふーん」
「あんたペガサスなのか?」
ペガサスは上位のなかで中位の存在なので主の可能性が高い。まぁ俺は上位の上位なのだが。
人間の区分だとE D C B A S SS SSSと区分がある
ちなみに魔竜はSSS、ペガサスはSSだ。ただしあっても刺激しなければ平気な存在と破壊をつくす存在とに分かれるが。ペガサスは大体前者、竜は性格次第だ。
「ペガサスを殺しに来たってことかな?」
「いやそんな気はない。そもそも俺らじゃ勝てない。交渉してもらえればって感じだ。」
「ふーん。だってユレさん」
今までしゃべってなかったユレさんに声をかける平気そうだしな。だめなら殺せばいいだけだ。
「そうですね。ここまで嘘はないみたいですよ、ガイストさん。」
「そうなんか、嘘をついてるかわかるんですね」
「光属性に適正が高いとなんとなくですが。」
「へーじゃあ俺にもわかるのかな」
「あなたならもちろんできるでしょう。」
「ほう。あとでやり方教えて。」
「もちろん構いません。」
「え?ええ?」
戸惑ってる3人衆にそろそろ教えてやるか。
「俺がこの森の主でこちらがペガサスだよ。」
「ええええええええええええええええええええええええええ」
「うるさいな。」
すこし怒って言うと
「すみません。」
3人はすぐに土下座した。あるんだ土下座。
「それでユレさんペガサスの涙ってのは?」
「えぇたしかに治癒効果がありますよ。」
「どうするの?」
「この方たちの心はきれいですし私はあげてもいいと思うので上げたいのですが」
「いいんじゃない?というか俺の許可必要なくね?」
「それがペガサスの涙は結構力を使いまして、まともに戦えなくなりますのでしばらく・・・2週間ほど人化しますのであなたの家にいさしてもらえませんか?」
え?ここで同棲のお誘いですか?
え?もちろんおっけーですけど
「大丈夫ですよ。」
むしろ何もなくてもどんとこいです。やべえちょっとにやけてるかも
「そうですか。では小瓶などありませんか」
「ちょっと待ってて今とってくるから」
「お願いします。」
家に戻る。確か小物を買ったときにあったはず。お、あった。
「もってきた、てかお前らいつまで土下座してるんだ。」
「あ。はい、すみません。」
3人が立ち上がる。
「では入れますか。ユレさん私の目の下に瓶を当ててもらえますか?左目でいいので」
「わかりました。」
ユレさんがペガサス形態にもどって俺が目に瓶を当てると左目から涙が出てきた。瓶が3分の2ほど満ちるまで注いでユレさんは涙を流すのを止めた。
「これを飲ませてあげれば病は治るはずです。妹さんにのましてあげてください。」
すると3人組は涙を流して喜んだ。
「「「これで妹を助けられます。ありがとうございます。」」」
3人の妹てかこいつら兄弟かよ。
「んで、どうするんだ?」
「妹のもとにすぐに向かいたいと思います。」
「ふーん、」
スキャンを発動する。これは対象の健康状態や疲労度空腹度を調べる魔法だ。
3人とも極度の疲労空腹状態だな。いまは妹を救える可能性がでて気持ちでごまかせてる感じか。これだと帰るまでに死ぬな。
「お前ら死ぬぞ。」
「「「え?」」」
「今調べたが極度の疲労空腹状態だ。おそらく何日か寝ず食わずだろう。それで妹のもとにまで行けるのか?」
こいつらは心がきれいらしい。汚い人間まで助ける気はないが。優しいやつらまで助けないわけではない。
「食べ物と家の一室を貸してやる。1日か二日は休め。」
「あ。。。。ありがとうございます。」
こうして我が家に2週間お泊りする。ユレさんと3人の客人が来た。
同棲生活(2週間)
うらやましいです。




