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誰も知らない神の領域  作者: 駿河留守
人の領域
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異界にて③

魔方陣とは

魔術を使うために必要不可欠である。

主に陣と呼ばれる。

陣にはレベルが存在し、低い順から三角、四角、五芒星、六芒星、八芒星と上がっていく。

レベルの高い陣では発動難易度の高い上級魔術、レベルの低い陣では誰でも発動できる低級魔術と呼ばれる。

 巨大な扉が轟音と共に開かれる。その先に広がっていたのは闇。その先を見ることはできない。時空間魔術による穴では太陽の光出入り口付近だけが照らされて後は真っ暗な空間はどこか現実味が溢れているのに世界が違う気がした。その境界線上にいるということが俺と美嶋には不安だったのだろう。

「大丈夫です。ちゃんとついてきてください」

 そうアキに言われてからようやく重い足取りが動き出す。中の床は大理石で足音がどこまででも響き渡る。アキが先頭を歩きその後ろを俺、俺にくっつくように美嶋が続き、後方は霧也がいる。数メートル歩くと重々しい扉がゆっくりと轟音を立てて閉まる。それはひとりでに勝手に閉まったように見えた。

「お、お化け?」

「そ、そんなわけないだろ。自動ドアなんだよ。あれは」

 あんな俺たちの身長の数十倍もある巨大な自動ドア見たことないけど、きっと魔術だったらできるっと万能な言葉があるじゃないか。

「連れてきました」

 アキがそういうと教会の建物中に響き渡るとあたりの明かりが一斉に灯りだして教会内の彫刻が神々しく光り出した。まるで鏡のような大理石のような床が輝きそして、その広間の奥にある螺旋階段の奥の方から声がした。

「よくぞ来てくれた」

 その声と共にまるで時間がゆっくりと刻まれるかのように足音が近づいてくる。カランコロンと木製の何かが大理石に接触する心地いい音。そして、螺旋階段の上から現れたのはまさしくこの光り輝く教会の頂点に立つのに最もふさわしいその神々しさを持つ女性が現れた。

 服は赤を基調とした浴衣。だが、そこに地味という言葉存在せず金箔等を施した華やかな花魁のような服装をした金髪碧眼の美しい女性だった。一目見ただけで数秒は見とれてしまいそうなそんな女だった。金色の髪は花魁のように結ってある桜の髪飾りのついたかんざしで髪を固定している。化粧は厚くはなく、それでもどこかに色っぽさがある。

 それを俺と美嶋はただ見とれていた。

「教太さん、秋奈さん」

 アキが輝いている女性を背にしてこちらを向く。するとまるでその光の背にしたことで影が出来てしまったかのようにアキの表情が曇る。

「あの人が私たちのボス、MMことミレイユ・ミレーさんです」

 あの人がMM。蒼井を殺せと命令したアキたち組織のボス。

 だが、確かにあった敵意はどこかに消え失せてしまった。彼女がMMが吐き出すオーラは俺の想像していたものではなかった。もっと、ドス黒い感じをイメージしていた。それからかけ離れているせいか言いたいことがあったはずなのに何も言葉が出なかった。

「ぬしが国分教太か?」

「え?あ。は、はい」

 急に名前を呼ばれて心臓が爆発するかと思った。だって、今までの女のクオリティーが違いすぎる。今までの女と言えば、不良少女か元魔女っ娘とか嫉妬女とかラテンダンサー風とか泣き虫女とかなんか地味というか普通過ぎたんだ。ラテンダンサー風以外は。

「なんか教太にけなされた気がしたんだけ、気のせいかしら?」

「私もです」

 あ、ここにも影が出来てる。MMが眩しすぎるせいかな~。

「隣の茶髪の娘があちらの美嶋秋奈か」

「え!い、えっと、はい。そうです」

 今美嶋も俺と同じこと思った。絶対そうだ。

「なかなかかわいい子たちではないか」

 ゆっくりとMMは螺旋階段を下りてくる。そこの高い下駄をはいていて歩きにくそうだがそれをなんとも思っていないようにこちらに歩いてくる。

「先ほど、紹介を受けたがわっちがミレイユ・ミレーじゃ。皆はMMと呼ぶがあまりわっちが好き好む呼び名ではない。じゃが、ぬしらはすでにわっちのことがMMの方が呼びやすいのならそう呼ぶがよい」

 俺のところにやってきて顔をなめるように見られて毛が逆立つかと思うくらい緊張した。ほのかに桜の香りのするきれいな女性を目の前にして硬直した。今までに美嶋やアキにもあったことだが格が違う。緊張感も違う。

 俺の方を見てほのかに笑った表情を見ただけでも・・・・・やばい、緊張でトイレに行きたくなった。

「さて、魔女と風上とそこの美嶋秋奈は別室にて待機するなんし」

「え?」

 その言い方だと俺とMMがふたりっきりになるってことじゃね。いやいや、いやだよ。こんな神々しい人とふたりっきりになったら俺が金メッキに塗られたみたいに金ぴかになってしまってもおかしくないぞ。

「わっちと直接話がしたくてわざわざこんな果ての異世界にまで足を運んだんじゃろ?」

 そうだ。俺は蒼井や蒼井がマラーとして抱えている非魔術師(アウター)を守るためにMMを説得するためにやって来たんだ。

 がんばれ、俺。こんな宝石のような人なんかに負けるな、国分教太。

「わ、、わわ、分なりました」

「教太さん大丈夫ですか?」

 あんまり自信ない。

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