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誰も知らない神の領域  作者: 駿河留守
人の領域
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覚醒②

「さすがに終わりだナ」

 俺が生成した大砲を直撃とは言わないが大きなダメージにはなっただろう。粉じんが上がり魔女の姿も国分教太の姿もない。魔女はきっともう動けない。

 俺の手にある魔石。おそらくはこれを使って強引に以前の力を取り戻していたのだろう。魔石から直接流れ出る魔力は人の体内にある魔力とは異なる。大きな違いはないが使い続ければ体が魔石の魔力を異物と判断して吐き出そうとする。その結果、高熱等の症状が現れる。最悪の場合は死。そんなリスクを負ってまでして魔女は俺と戦った。

「まったくうれしいヨ」

 でも、もう終わりだ。後遺症によって動けない魔女とシン以下の力しかない雑魚の国分教太ではあの攻撃を防げない。

「つーか、ボスは何が目的で国分教太と襲えって言ったのか分からんナ」

 わざわざ敵対するMMの組織の本拠地にまで俺とフローラを送り込んで。

「そういえば、フローラは大丈夫なのカ?」

 いくらひとりでウン万の兵団と呼ばれるフローラでもMMやフレイナ、それに徳川拳吉まで出てきたら対応できない。俺たちの作戦はただ国分教太と襲えと言うものだ。そして、できれば殺すなと言われている。大事な素材がどうとか言っていた気がする。上は何を考えているか分からないが俺はただ戦うだけだ。欲求のままに。

「さて、フローラを回収したらこの国からも」

 背を向けた一瞬、その一瞬を狙っていたかのように鋭い殺気が俺を突き刺す感覚。その殺気に咄嗟に反応して急いで鉄の粒子を集めて剣を生成する。そして、視界に入ったのは粉じんを切り開くようにして突っ込んでくる国分教太だった。力強く左手で拳を作り殴りかかろうとしてくる。

 まだ、距離がある。

「いいその殺気はいいゾ!」

 殺気はいいがその攻撃は無謀だ。破壊の力では俺の攻撃を防ぐことはできない。鉄の粒子で全身を切り刻んでくれよう。

「死ねー!国分教太!」

「死ぬわけにはいかない!俺自身も誰も殺させない!そのために俺はどんな苦難だって罰だって受ける!だから、俺の元に再び戻ってこい!」

 その言葉と同時に国分教太が拳を握る手首に五芒星の青色の陣が発生すると拳を覆うようにして赤黒い何かが発生する。

 たぶん、破壊の力を収束させたものだ。

「そんな程度!」

 国分教太に斬りかかる。しかし、鉄の粒子で覆われている剣は国分教太の腕を削れない。削れないどころか鉄の粒子で出来た剣は国分教太の拳とぶつかった瞬間にへし折れた。

「は?」

 天使の力を利用して浮上して距離をとる。訳が分からないことが起きた。俺の作った剣が物理的にしかも強引に破壊された。シンが使っていたような剣を鉄の粒子に戻す攻撃じゃない。

「お前は・・・・・誰ダ?」

 すると国分教太は赤黒く染まった左腕を構えて言う。

「俺は国分教太だ!」

 地面に衝撃波をぶつけて俺の方に飛んでくる。赤黒く染まった左拳を振りかぶって俺に殴りかかってくる。

 あの攻撃は明らかに重撃だ。今までは全くタイプが逆だ。シンの攻撃はいくら強固な結界を張ったところでそれを物理、魔術的破壊ではなくその結界の構造自体を破壊してくる。だが、今の国分教太の重撃は剣やハンマーで攻撃したのを何ら大差はない。どうして突然、そんな攻撃をしてくるようになったのか知らないが、今まで鉄の粒子での攻撃ではなく完全に鉄の粒子でがちがちに固めた防御をすればいい話だ。

 鉄の粒子を集めて盾を作る。国分教太の拳は鉄の盾に当たりガンと金属同士がぶつかったような音が響く。

 ここからだ。盾は俺が操ることのできる鉄の粒子で出来ている。形を変えるのは自由自在。盾で攻撃を防いだ後に刃が盾から生えるようにして攻撃することもできる。串刺しにできる。

「今度こそ終わ!」

 突然だった。攻撃を防いだ盾が突然、元の粒子に戻ってしまった。俺は鉄の粒子を粒子に戻すように命令していない。じゃあ、なぜか。そんなことをできる奴はひとりしかいない。

 見れば、国分教太の右腕にはあのシンと同じ破壊を司る黒い靄が覆っていた。一方で左腕に赤黒いものが覆っている。何をしたのか分からない。だが、それがおもしろい。

「いいゾ!国分教太!」

「次こそはお前を倒す!グレイ!」

 国分教太は再び衝撃波で俺に向かって来る。俺は黒い粒子で双剣を生成して国分教太に斬りかかる。どっちの拳で来る。物理的攻撃か、破壊的攻撃か。どっちだ、どっちだ。

「どっちもだ!」

 赤黒いものと黒い靄が宿る両手を握り振り下ろしてくる。

どっちだ?物理か?破壊か?

 とっさに働いた防御は赤黒いもので覆われた拳の攻撃を防いだ。鉄の盾。だが、それはいとも簡単に突破された。ゴンという鈍い音と主に砕け散っていく鉄の盾。物理攻撃も破壊攻撃も働いている。

「何なんだヨ。お前一体何なんダ!」

 俺は両握り拳を脳天からくらいそのまま地面に落下する。

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