後悔のないように①
弱いことは罪だ。
俺こと翠聖のバルカンが七賢人は第7のフローラ・ザイスという白い女に言われたことだ。俺が七賢人になれるだけの力を持っているのにその称号を与えられないのは弱いからだと女は俺に告げた。俺は何度か実践にでたことがあるがその部隊は負けたとは言わないものの毎回苦戦を強いられてた。俺という七賢人に最も近い男がいながらも戦いはいつも苦戦ばかりだ。それが俺の弱さだった。
強い奴がたったひとりでもいれば、周りはその強さに後押しされて戦意が向上する。弱さは戦いが苦戦しなくなる要因となる。実際に部隊に七賢人は第3のゴンザレス・フォレストのような強者がいれば周りの奴らがどれだけ安心するか。俺にはそんな強さがなかった。だから、いつまでたっても七賢人に近い男のままなのだ。
俺はこの戦争でこの前線進行部隊で俺がこの戦いを引っ張る。誰もが俺と同じ戦場で味方として立つことで安心できるようなそんな強い存在になると心に誓って戦った。戦況は俺の参加によっていい方向へと進んでいる。だが、まだ足りない。
俺ひとりでもこの戦いをこの作戦を終わらせるだけの力が必要だ。
逃亡軍の前線部隊を壊滅させて後退した残存部隊も壊滅させる。この戦争の勝利を俺の手で加速させる。そのつもりだった。途中までは順調だった。
部隊の軍勢の前衛部隊が攻撃を受けてほぼ壊滅。攻撃を加えたと思われる逃亡軍の撃退にかって出ていち早く逃亡軍所属の魔女と交戦した。だが、途中で乱入してきた魔武使いに気を取られて魔女の不意打ちを食らって俺はもはや虫の息となった。
魔女は俺が死んだと思っている。だが、俺は水裂弾を食らっても耐えることのできるだけの体作りをしてきた。あの電撃を食らってもなお俺はまだ動こうと思えば動ける。体中の皮膚が黒焦げに焼け動けば焼けた皮膚が肉に刺さって痛む。血が出る。動けない。動けば死ぬ。
この無様な姿を見て他の連中はどう思うだろう?
所詮、七賢人に近い男か。
口だけのやつ。
七賢人になれない男。
いろいろ言われる。だが、もしもこの傷を負ってなお戦い続けて敵を倒せばみなはどう思うか?
「さすが!七賢人に近い男だ!」
俺は叫ぶと同時に背中から吹き出るように水の翼が天高く生える。
力が内側から湧き出る。俺の視界が真っ白になって体の痛みがまるで嘘のようにない。でも、動くほどに焼けた皮膚がはがれて血が吹き出る。感覚が狂ってしまっているのかもしれないが、今は好都合だ。
俺は七賢人になれる。最も近い男だ。七賢人の中で俺の持つ天使の力を使えるのは第6のグレイ・アイズンと第1のデゥーク・リドリーくらいだ。天使の力は神に等しい力を使える。俺はその力を持っている。俺は強い!
「どこだ?魔女はどこだ!」
水の翼を羽ばたかせて飛び上がる。




