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誰も知らない神の領域  作者: 駿河留守
人の領域
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亀裂②

土属性魔術とは

属性魔術のひとつ。

水、風、氷属性を苦手とし、火、雷属性を得意とする。

土属性の波長をもつ魔術師は他の属性魔術を使うことができない分、氷属性を除く他の属性魔術に比べて防御、攻撃力面では属性魔術トップクラス。

強固な土属性は攻撃、防御にかなり向いている。

「おい!霧也!何してんだよ!」

 霧也は剣を抜いて美嶋に斬りかかる。と言ってもきったというよりは叩いたのだ。

「みねうちだから大丈夫だ。美嶋さんには少し黙ってもらおう」

「だからって」

「教太だって不愉快だと思わなかったか?」

 そんな霧也の言葉に言い返す言葉が出ない。

「この世界では魔術師と非魔術師(アウター)が共存して暮らしているところもある。特にこの国においてそんな差別はあってないようなものだ。力がすべてだという考えも拳吉の平等を押す考えのおかげであってないようなものになっている。魔術のすべてが負の力という考えが完全にそうなのかと言われると分からなくなった」

 それがあの居酒屋に行って感じたことだ。

「でも、美嶋の言う考えも分かる気がする」

 突然、フレイナのような規格外が時空間魔術を使って目の前に現れたらそれは本当に恐ろしい。誰も死なせないという俺の目的はほぼできないに等しい。

「俺からすれば、教太たちの世界も恐ろしいよ」

「何でだよ?」

「確かにあの世界は魔術という個人の有能無能を簡単に分ける魔術という力がなく、全員が平等になりたいものへのチャンスがある。素晴らしい世界だと俺は思う」

 霧也は取り出した武器をしまいながらそう語る。

「だが、突然規格外の魔術師、教術師が目の前に現れるようなことと同じことが教太たちの世界でもあるじゃないか」

「何だよ?それって?」

「例えば、教太の世界中の国が保持している核ミサイルとか」

 それはそう言われてドキッと心臓に矢が刺されたように意表を突かれる。

「ボタンひとつ。何百万人という人を簡単に殺すことのできる殺りく兵器。そんなものがある方が俺は怖いね」

 それを言われてしまうと何も言い返すことはできない。

「それでも俺はこっちの世界よりもあっちの世界の方が好きだ。魔術がある無いだけであんなに世界の様子が違うのは本当に驚きだ。技術も人の理念も考え方も力のあり方もみんな違う」

 魔術の世界においては魔術を使えることが力の象徴となっている。それは簡単に目に見ることが出来てしまう。しかも、それを数値化することもこの世界では行われている。それがランクだ。霧也がCで俺がB。美嶋がAでアキがFだ。そのランクは非魔術師(アウター)を作り出す魔力剥奪制度の判断基準となっている。

「美嶋さんもこの世界の悪い循環に飲み込まれようとしている」

「悪い循環」

 魔術という負のサイクル。

「例えば、フレイナのような規格外の奴を目の前にした時に彼女がとる行動は殺戮とかす可能性だって。その可能性がある力を彼女は持っている」

「全属性魔術の使用と同時発動は魔術の常識ではありえないもんな」

「そうだ。それに俺が思うに美嶋さん自体が規格外に当たる」

「・・・・・確かにそうだな」

 魔術の概念から外れた力だ。

「とにかく、美嶋さんをこれ以上この世界に留めておくのはよろしくない」

「そうだな」

 倒れた美嶋を優しく抱きかかえるアキはそのままコンクリートの壁に美嶋を座らせる。

「ツクヨを探しに行くぞ。アキはここで美嶋さんを」

「分かりました。拳吉さんたち中央局も必死に探しているみたいです。たぶん、その知らせは組織の方にも届いていると思います」

「分かった。とりあえず、拳吉と合流しよう。行くぞ」

 霧也と共に力の部屋から抜け出すために走る。

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