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誰も知らない神の領域  作者: 駿河留守
無の領域
138/192

命を吸う物①

 教太とは別行動だ。

 何かに気付いた教太は再びエルの元へといってしまった。魔女のハンナは昼間は活動時間外ということでホテルで寝ているし、レイランは嫌いなのでいっしょに行動したいとは思わない。だから、私ことキュリー・シェルヴィーはひとりだ。砂漠の町の日陰でいく買う人々を暇そうに眺めているしかやることがなかった。教太が戻ってきて彼の考えを聞いてこれからどうすればいいのかを共に考えるのが私の役目だ。その役目が全うできないこの時間帯は本当に暇だ。

 あまり暇そうに街中にいたらユーリヤと出くわして遺跡を調査しに行っていないのかって怒られそうだが、外に出ていないとハンナみたいに昼夜が逆転したダメ人間になりそうなのでこうして外に出てきている。

 剣の素振りでもしようと思うけど、この砂漠の殺人的暑さと強すぎる日差しの下で倒れるほどやるほど私もバカじゃない。いろいろ考えた結果、たまに何も考えずにボーっとするのもいいだろう。

 教太とハンナのいないところで私はこっそり大嫌いなレイランにある人物の情報を持っていないかを尋ねた。私の記憶を見てまじめに答えてくれた。

 一応、私はイギリス魔術結社の七賢人は第5という肩書きを持っている。この肩書きは私にこの魔術の発動のエフェクトを隠す方法を教えてくれた、私が心を許したたった一人の男のものだった。名前はロズ・エクハルト。彼は人を笑顔にするために自分の力を使った。自分の力と技術は自分のためじゃない。誰かのためにあるんだと。私はその教えに乗っ取っているだろうか?それを聞きたい。でも、MMの逃亡戦争を前に行方不明になってしまった。私はそのロズを見つけるために仮として七賢人は第5をロズの変わりに引き継いだ。

 レイランの答えは知らないということだった。結社内ではすでにロズは死んでしまったという説が有力だった。だから、ロズと同じ技術を有する私ならロズの代わりに七賢人を受け継ぐことに誰も異論を示さなかった。私が異論を示したのはロズは死んでいないということだけだ。ここ数年間世界中を七賢人の仕事として回っているがロズの情報は一向につかめない。どこかで子供たちを笑顔にしているんだと思う。それを邪魔することになるかもしれないけど、私はロズに―――。

「会いたい」

 その小さな夢は叶うだろうか?

「昼間から暇そうね。キュリー・シェルヴィー」

 顔を上げるとそこには修道服のフードをかぶったひとりの女がいた。

「ユーリヤ」

 イギリス魔術結社の七賢人は第4だ。私のほかにはない同じ七賢人の中の魔術師だ。

 会いたくなかったけど会ったからと言って慌てるつもりは毛頭ない。

「そういうあなたも古代魔術兵器の陣の解析は終わったの?」

「終わっていない。魔女の知識がないと発掘ははかどらないの。本当に味方になると心強い」

 私の隣に腰掛ける。

 私はこの女が嫌いだ。こいつはロズとは真逆だ。こいつは魔術の発展のためならば人を笑顔も当たり前のように潰すような女だ。そもそも、機関という施設自体が好きじゃない。人の人生を奪って自分の私利私欲のためだけに人を物と同じよう捨てて改造して遊ぶこの女が嫌い。

「殺気が隠せてないわ」

「隠す気なんて微塵もないわ。殺気が嫌なら離れたらいいじゃない」

「キュリーって本当に好き嫌い激しいわね。ロズはそんなことなかったわ」

「ロズはあなたのことを嫌いだといっていたわ。初めて自分の技術を見抜かれてしまったって。あなたがいなければロズは七賢人なんていう堅苦しい肩書きを背負わずに好きなように生きることができた。ロズを人間的に殺したのはあなたよ」

 ユーリヤはまぁ、ひどいというだけで気にしている様子はなかった。

「別に難しいことじゃないわ。彼は視線誘導で魔術を発動させる光を人々の目線からはずして表情を変えずに発動のエフェクトの光を抑えただけ。視線誘導に釣られずにじっと両手を観察していればすぐに分かったわ」

 この女は美嶋秋奈やイム・ハンナといった魔術において右に出るものはいないほどの知識力と戦闘力を持つ魔女と呼ばれる少女たちがいなければ間違いなく魔女はユーリヤだ。悪名高いところもまさに魔女の名前にふさわしい。ロズの技術を見破ったのもその魔女と呼ばれてもおかしくない由縁のひとつだ。

「それはそうとひとつ気になることがあるの」

「気になること?」

 こいつは何気にいろんな情報を持っている。イギリス魔術結社は元老院という役職が魔術の発展のためにというのを掲げて結社の運営をしている。私たち七賢人はその下に就いている。今の七賢人は第1のデゥークがその絶対的上下関係を壊してしまう前からユーリヤと元老院の間には太いパイプがあった。魔術の発展のためにというコンセプトを一番実行していたのがユーリヤだったからだ。彼女が七賢人の肩書きを持つことができたのもそのおかげだ。七賢人と元老院で情報を持つユーリヤは情報の宝庫だ。たまに気分で口ずさむこともあるからロズの情報をぽろっとこぼすかもしれない。だから、嫌いでもレイランのように逃げるようなことはしない。

「昨日、部屋にいた男の子・・・・・どこかで見たことがあるの。知らない」

 冷や汗が吹き出る。

「し、知らないわよ。遠征先で出会ったハンナの傍付」

 適当なことを言って誤魔化す。

「気になって調べたの。そしたら、カントリーディコンプセイションキャノンの神の法則に守られた教術の素材の候補に挙がっている国分教太によく似ているのよね・・・・・何か知ってる?」

「知るわけないじゃない」

 なるべく声のトーンを変えずに冷静に返す。悟られないように表情を変えない。ロズから教わったポーカーフェイスという技術はこういう場面に非常に役に立つ。

「結社の中にはあなたのようにカントリーディコンプセイションキャノンの発動を反対する一派が少なからず存在するの。いつものデゥークなら容赦なく潰していたところなのに今回は目をつぶって見ないふりをしているの」

 イギリス魔術結社の七賢人は第1のデゥーク・リドリーは私をイギリス魔術結社と関わるきっかけを作った人物だ。魔武が開発される前から剣と魔術を組み合わせた戦法を取っていた私をスカウトして結社直轄の学校へ入学させた。

 学校に通っているときは底辺に近い生活から貴族に近い生活ができるようになったので感謝しているが、その後に出会ったロズにデゥークが裏で逆らう魔術師や教術師を容赦なく壊しているということを聞いた。逆らうことはやめたほうがいいとロズに言われていて今のところ逆らってはいないし、私の生活水準を引き上げてくれたことを感謝しているから逆らうつもりなんて毛頭ない。でも、逆らったものの末路をロズから聞いた。デゥークは4大教術師と呼ばれるくらいの実力者だ。その力を使って自分を弾圧して命令をいた元老院まで壊した。殺したのではなく壊したのだ。デゥークの使う教術は肉体的にはたいした効力を発揮しない。でも、壊れてしまうのだ―――心が。

「キュリーはデゥークのお気に入りだし、すぐに手が下ることはないわ。私も同じ七賢人の魔術師のキュリーにはいなくなって欲しくないの。寂しいし」

 立ち上がったユーリヤは十字架をカードに打ち付けるとそのカードからゆっくりと槍が出てきた。刃は十字の形をしている。その槍を取り出して私に向ける。

「何?」

 私は動じない。

「教えなさい。国分教太はどこなの?」

「だから、私は知らないって」

「ゴンザレスが死んだ。あいつは暑苦しい筋肉バカだけど、強さで言えば圧倒的だったはずよ。キュリーは足元に及ばないはず」

 七賢人は第3のゴンザレスはオーストラリアの一件で悪魔術の青色の炎に焼かれて死んだ。相手がすごく悪かったけどそうじゃなければ心強い男もであった。七賢人の中でも和平的な考え方で慕う人間も多かった。強さと心の広さの両方を兼ね備えた男だった。

「そのゴンザレスが死ぬって言うのは結社の中でも大騒ぎになっていたの。確かにオーストラリアには規格外の風夏がいるとはいえ、規格外が立ちふさがっても命を落とすほどゴンザレスは無理をしない。ゴンザレスは規格外の風夏よりも大きな力によって殺された。考えられるひとつの可能性にシンの力を持つ国分教太よ。シンの力を使えばゴンザレスが逃げる隙も与えずに殺すことができる。・・・・・違う?」

 シンにはほんの数ヶ月しか行動を共にしていない。あいつは戦場に出ると本当に人が変わってしまう。殺戮と化して手に負えなくなる。容赦がなくなる。本当は優しくて人のことを気遣ういい奴なんだけど・・・・・戦いになれば隙を見せたら殺される。敵になったときの話だけど。

「どうなの?」

 でも、国分教太は違う。彼は人を殺さない戦い方を常に選んでいる。青色の炎に飲まれた少女を助け出すために破壊の力を集約した黒い剣で少女を悪魔から救うような甘ったれた奴なんだ。ゴンザレスを殺す?違う。殺さずに勝つ道を常に捜し求めている奴だ。

「違う」

「・・・・・どういうこと?」

「ゴンザレスはシンの力なんかには殺されてなんかいない。実際にシンの力と戦ったって言うグレイは生きているじゃない」

「・・・・・それもそうね。まぁ、シンの力を伝承できたとはいえ国分教太がシンと同じ殺戮者だってことはないってことね。じゃあ、その国分教太じゃないその少年は今どこにいるの?そもそも、彼の名前を私は聞いていないんだけど」

 教太は遺跡のほうへひとりで行っている。私ひとりこんなところで油を売っていたらなんて言われるか分からない。別に言われることに問題はないのだけど、結社の人間じゃない奴だけが調査をしていたらその情報を横取りされかねないということをこの女は心配するだろう。強攻策に移れば私にとっても望んだ結果にはならない。

 もうひとつの教太の名前だ。国分といっても教太といってもユーリヤの疑いを強くなってしまうだけだ。適当にアンドリューとでも名づけておいて誤魔化せばいい。

「あら?クソゴリラキュリーとクソババアユーリヤじゃない」

 超めんどくさいタイミングで出てくるんじゃないわよ!オカマ、レイラン!

 いつものように化粧をしてムキムキの肉体には合わない薄ピンクのドレスを身にまとっている。

「誰がクソババアなの?こう見えて私はまだ27よ」

「別にいいじゃない。私なんて人ですらないのよ」

 ゴリラだもの・・・・・。

「どっちもゴリラでババアじゃない」

「私のどこにゴリラ要素があるの!キュリーはともかく私はか弱いのよ!」

「私はババアって年じゃないわよ!四捨五入したら30のユーリヤよりはまだ女の子よ!」

「ちょっとキュリーそれひどくない?」

「あなたこそキュリーはともかくってどういうこと?あなたも私のことゴリラだって言うの?」

 にらみ合う女ふたりを見てレイランはため息をする。

「こんなクソ熱い昼間になにクソ熱いことしてるのよ~?」

「誰のせいよ!」

 とユーリヤと口をそろえてレイランに言い返す。

 レイランと話すことは嫌だけどユーリヤの話がレイランの乱入でなくなりそうで安心しているさなかだった。

「それよりもクソゴリラ」

 キュリーは?いや、私はゴリラじゃないけど・・・・・。

「教太ちゃんはどこにいるの~?」

 私の思考が数秒間止まった。私だけじゃない。隣にいるユーリヤも同じように表情が固まっている。固まる私たちを見たレイランがはっとする。

「あ、えっと、帰るわ~」

「待ちなさい!」

 レイランの手を掴んで引く。

「何するの!あたしは帰るの!」

「何してくれてるのよ!」

 今まで教太って言う名前を出さないように細心の注意を払っていたのに!無駄にするんじゃないわよ!

「そうよ。待ちなさい、レイラン。・・・・・教太って誰?」

 刺さるような赤い瞳から発せられる視線が私たちの動きを封じる。

 今まで半信半疑だった疑いの目が強い疑いへと変わる。

「教太って言うのは・・・・・その~。クソババアに言う資格なんて」

 手に握っていた槍をレイランののど元に向ける。その気迫に押されてレイランはその場でしりもちをついてしまう。レイランは記憶盗視を使う教術師だ。情報収集にはその教術の能力を存分に発揮することができるけども、戦闘にはまったく役に立たない。だから、こういう気迫に弱い。

「どこ?さもないと首が飛ぶわよ」

 しかし、気迫には押されてもレイランは折れなかった。なぜなら、レイランは教太のことが好きだからだ。

「言わないわ~」

 好きな人を売るようなことはしない。

 ユーリヤも本気でレイランの首を飛ばすことなんてする気はない。記憶盗視は拷問をせずとも人から情報を得ることがたやすいからだ。今のところ記憶盗視は魔術にはない。だから、貴重な教術を手放すほどユーリヤもバカじゃない。

 ユーリヤはこれ以上槍を突きつけていても何も出てこないことが分かったようで槍を引く。そして、私の方を見る。でも、すぐに手に握っている剣を見てその槍を向ける前から脅すことを諦めた。剣を収納魔術から取り出したことにユーリヤもレイランを気付く前に取り出した。

「そう。ふたりがそういう態度なら私もそれなりの態度を取ることが許されるわね」

「何?」

 何を企んでいるのか分からない。

 空いた手で十字架を腰に引っ掛けてあるカードに打ち付けると三角形の陣が青白く光る。その陣の中心から再び槍が出てくる。今度は槍の刃は十字ではなく鎌の剣先のような刃だ。

 頭脳派のユーリヤが実力行使で情報を聞きだすつもりなのだろうかとレイランの前に立って身構える。

 ユーリヤも頭脳派だが戦闘もできる。七賢人の肩書きを持っているだけあって普通の魔術師が相手をすれば勝つのはなかなか難しい。主に魔武を使って攻撃するスタイル。だが、その魔武が厄介だ。

 右手に構える十字の槍は火属性魔術が搭載されている。そして、鎌の槍は風属性が搭載されている。もう一本槍を持っていて、それは先端の刃が両刃の剣になっていて雷属性が使える。機関がまだあったころに使えなくなった実験被験者から魔力を引き抜いて自分に転生させているのだ。彼女は3つの属性を扱う。そのイレギュラーさは初見で相手をすると対応する前にやられてしまうが、お互いに手の内を明かしている今の状況ならば私に分がある。

 でも、なんで取り出した槍が雷ではなく風属性なんだろうか?私が使う属性は氷属性だから属性的に相性のいい属性を取り出さなかったのはなぜか?

「キュリーは脳筋ね」

「はぁ?」

「私の取り出した槍の属性が分かっているならどうして風属性の槍を取り出したのか・・・・・気付かないの?」

 ユーリヤは言った。「あなたと正面から戦ったところで私には勝ち目がないのは分かってるから」っと。つまり―――。

「あなたに勝つ方法は他の力に頼ることよ!」

 風を起こして上空へ飛んでいった。吹き上がった風の盛況で辺りの砂が巻き上げられて目に砂漠の砂が入って染みる。それでも巻き上がった砂の隙間からユーリヤがどこに飛んでいったのか目視した。

「・・・・・あの方角は!」

 私は走る。砂埃を切って走る。爆発みたいに風が引きあがったことでどうしたどうしたと野次馬が集まってくる。その野次馬を押しのけて砂漠の町を走って向かう先はユーリヤ指導の下発掘を行っている遺跡だ。私はいつものように発動エフェクトを小さめに腰に巻いてあるウエストチェーンに垂れ下がっている十字架を持ってスカートの下に隠し持っているカードを打ち付ける。発動する魔術は筋力増強術(ドーピング)だ。私の使う筋力増強術(ドーピング)はゴンザレスとはタイプが違う。筋肉が膨れ上がるわけではなく人は常に持っている能力の30%しか使っていない筋肉の能力を一時的に100%使えるようになる魔術だ。連続で使えば体に大きな負荷が掛かってしまうからいつも使うのは一瞬だけ。その一瞬で私は一気に飛ぶ。異常なまで上がった脚力で一度走ればスピードは消えることはない後は飛ぶように走る。そして、砂漠に出てからは魔武の魔術を発動させる。刃の周りに氷が纏って突きのモーションで振れば氷の槍が飛んでいく。そして、着弾点が氷付く。それがこの魔武の効力。連続で突いて砂漠の上に氷の一本道を作ってその上を筋力増強術(ドーピング)を作った勢いのまま滑って進む。

「見えた!」

 砂の山を越える遺跡が見えてきた。

 ユーリヤはここに向かったはずだ。地下に隠されている古代魔術兵器を発動させようとしているのがなんとなく分かった。私に勝つためには他の力に頼るしかない。この場において他の力といったら古代魔術兵器くらいしかない。

 発動だけは阻止しなければならない。以前のカントリーディコンプセイションキャノンのときのようにたまたま砲弾が防げたときと同じことが起こるとは限らない。天井に描かれていたあの絵を見れば分かる。人を喰らう古代魔術兵器を発動はなんとしても阻止しなければならない。

 目の前にいくつかの人影が見えた。砂色のガラベーヤを来た複数の男たちだ。手のひらに火の弾が浮いている。それを私に向けて撃ち放って来た。

「私を足止めさせるために―――。対応が早い!」

 飛んできた火の弾は正確に私にところに飛んでくる。

 体には負担が掛かるけど筋力増強術(ドーピング)をもう一度使うしかない。

 再び筋力増強術(ドーピング)で脚力のリミッターをはずして滑る氷の道を踏み割って飛び上がると火の玉が私がジャンプしたところに着弾して砂が巻き上がって炎が上がる。上空に飛び上がった私を他の魔術師が狙う。手には火の弾やライフルが握られている。今にも撃ち出しておかしくない態勢になっているけど、

「一手遅い!」

 空中で剣を連続で突く。突くたびに氷の槍が生成される。螺旋状に回転してまっすぐ魔術師近くに連続で着弾して氷から出る白い蒸気と砂埃が舞い上がる。そのせいでひるんで攻撃は来なかった。魔術師たちの頭上を飛び越えて遺跡の敷地前に着地する。勢いを殺すことができずに砂の上で何度もバウンドしてしまうが砂がいいクッションになって大した怪我をせずに何とか到着した。

 だが、さっきの魔術師とは一手早く攻撃できたが到着は一歩遅かった。

 地面がまるで生き物のように揺れる。そして、大量の砂を巻き上げてまるで遺跡を持ち上げるように地下から大爆発が起きる。持ち上がった瓦礫を避けるように遺跡から離れる。そして、砂漠の爆心地の中央に緑色の物体と二本の槍を持った白い修道服を着た女がいた。

 その緑色の物体を見て私は驚愕した。まるで木の根っこやツタのようなものがその物体の形を象っている。丸い頭部に木の幹のような太くて丸い胴体。そして、背中からはまるで触手のように緑色のツタがうねうねと広がっている。その緑の物体の右前にユーリヤがいた。

「こレが古代魔術兵器、ライフプデェイションクリーチャー」

 丸い頭部が半分に割れて鋭い歯と怪しげなピンク色の口内を明かして緑色の液体を吐き出しながら雄たけびを上げた。

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