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誰も知らない神の領域  作者: 駿河留守
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闇の中の瞳①

 潜む闇は誰の目にも届かない。

 真っ暗な視界の中にぎろりとひとつの眼球が見られる。その眼球が追い見つめる先にあるのはふたつの後姿。ひとつは白のワイシャツに赤のチャックのスカート。もうひとつは藍色の着物に桜の簪で髪の毛を結っている。ふたりとも少女で背丈も体系も同じ。それもそのはずだ。ふたりは同一人物だからだ。ただ、住む世界が違うだけで。

 ひとりは魔女となり恐れられて、もうひとりはただ孤独だった。しかし、ふたりとも強大な力を有している。魔女のほうはその名のとおり魔女として恐れられて、孤独だったほうは多属性魔術を同時に発動できる人間離れの力を使ってくる。ミレイユ様はどちらも自分と比べれば大きな影響力のない力を持つもの同士だが、野放しにしておけない存在だと。

 魔女はその知識を抵抗なくばら撒く。それが影響力のある力を持つ者の手に渡れば脅威になる。孤独だったほうは多属性魔術を同時に使う力を人を使うことに長けた者の手に渡れば自分ですらも抑えることができるかどうかわからないほどの脅威になる。

 どちらも単体ではさほど脅威じゃない。だが、手を組めばそれは別だ。あのふたりがくっついて本格的に手を組めば組織にとっても脅威になる。魔女の知識が魔術に対してまだまだ無知な彼女に渡り、魔術に関する戦闘に長けている魔女に彼女が完全に信頼して手を組めばそれはミレイユ様が恐れていたことと同じことが起こる。

 だから、あの人ははじめにフレイナ様に彼女たちを襲わせた。自分たちが結託しても何も意味はないんだと恐怖という形で植えつけるために。途中で拳吉が出てきたり、フレイナ様の加減のない暴れっぷりに手間がかかったようだが、結果的に彼女たちはそれぞれバラバラになった。

 脅威は去ったが、共に行動しなくなったことで今度は管理が難しくなった。国分教太は組織の管轄外の国外へ出て行ってしまったのが組織にとって一番の痛手だった。拳吉との関係にもよりいっそうの亀裂が走り組織運営的に不利な状況の中で再びミレイユ様組織にとって不都合なことが起ころうとしている。

 私こと紫はこのことをミレイユ様に伝えなければならない。それが潜む闇としての私の仕事だ。

 魔女が国外に出ようとしている。方法は不明。即座に対策を打つべき。

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