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死人の唇

掲載日:2011/01/30

3人を殺した

すると涙が流れた

100人を殺した

すると腹立たしさがあった


やはり飛ばない

殺されても飛ぼうとしない

僕は地面に叩きつけられて

うつ伏せになって

首は左の方を向いたまま

体は地面に張り付いたまま


1億人殺した

誰もが腹を立てる

さらに殺し続ける

誰もがすぐに忘れる

誰もが苦しむ

誰もが忘れ去られる


この多さは一体なんだろう

やけに臭い

これが噂に聞いてた死臭だな

すぐに慣れるはず

しかしうんざりだ

面倒だ


無駄だ

そのままにして野ざらしさ

燃やすのは面倒さ

僕には関係ないのさ


「死人が出たよ」

「また死人が出たのだよ」

僕は周りにいる人に言ったよ

僕はみんなに言っていたよ

みんなは僕を見て言ったよ

「馬鹿がいる」

みんなは何も言わなかったよ

目が

みんなは僕を怪訝そうに

ごみが目に入ったような目だったよ

すぐにいなくなったよ

一瞬僕を見ただけだったよ


ボスニアで死んだんだって

地震で死んだんだって

トンネルに押し潰されたんだ

バスの自爆テロもあったよ

地雷で死んだよ

誰かが赤ちゃんを銃で撃ったよ

僕は聞いた話を思いつくだけ言った

僕は街中で言った

みんなには聞こえたようだよ

誰も何も言わないよ

僕を少し見るだけだよ

見ない人もいるよ

僕はもっと人に近づいてから言ったよ

中年の女の人が僕を見下ろした

その人は虚無的な目を見せてから去った

止まっているのは僕だけだよ

みんな灰色の残像だったよ


みんなは何かを言ったようだよ

僕にも聞こえたようだったよ

誰かと誰かが離婚

誰かは誰かを好き

誰かのゲップ

誰のかは知らないよ

急にうるさくなって

僕は静かにしていた


死人に会ったら聞いてくれ

「なぜ死んだんだ?」

「どうやって死んだんだ?」

ついでにうまい死に方についてとか


死人の唇

僕は

つまらない

永遠に

傍観している

なの

いつもずっとそうしてきた

なぜ


僕は器用に生きているの

僕は不器用な方なの

どっちなの

死人の唇

僕の耳に口を挟む

昔は知らない

ここに来て分かる

いつからあるか知らない

ここに来ても分からない

死人の唇

僕の耳に噛み付いている

右の耳たぶ、左の耳元

死人の唇

しばしばイタズラ嫌悪な内容

聞く耳貸さぬでもないさ

やっぱり寂しい死人の唇

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