死人の唇
3人を殺した
すると涙が流れた
100人を殺した
すると腹立たしさがあった
やはり飛ばない
殺されても飛ぼうとしない
僕は地面に叩きつけられて
うつ伏せになって
首は左の方を向いたまま
体は地面に張り付いたまま
1億人殺した
誰もが腹を立てる
さらに殺し続ける
誰もがすぐに忘れる
誰もが苦しむ
誰もが忘れ去られる
この多さは一体なんだろう
やけに臭い
これが噂に聞いてた死臭だな
すぐに慣れるはず
しかしうんざりだ
面倒だ
無駄だ
そのままにして野ざらしさ
燃やすのは面倒さ
僕には関係ないのさ
「死人が出たよ」
「また死人が出たのだよ」
僕は周りにいる人に言ったよ
僕はみんなに言っていたよ
みんなは僕を見て言ったよ
「馬鹿がいる」
みんなは何も言わなかったよ
目が
みんなは僕を怪訝そうに
ごみが目に入ったような目だったよ
すぐにいなくなったよ
一瞬僕を見ただけだったよ
ボスニアで死んだんだって
地震で死んだんだって
トンネルに押し潰されたんだ
バスの自爆テロもあったよ
地雷で死んだよ
誰かが赤ちゃんを銃で撃ったよ
僕は聞いた話を思いつくだけ言った
僕は街中で言った
みんなには聞こえたようだよ
誰も何も言わないよ
僕を少し見るだけだよ
見ない人もいるよ
僕はもっと人に近づいてから言ったよ
中年の女の人が僕を見下ろした
その人は虚無的な目を見せてから去った
止まっているのは僕だけだよ
みんな灰色の残像だったよ
みんなは何かを言ったようだよ
僕にも聞こえたようだったよ
誰かと誰かが離婚
誰かは誰かを好き
誰かのゲップ
誰のかは知らないよ
急にうるさくなって
僕は静かにしていた
死人に会ったら聞いてくれ
「なぜ死んだんだ?」
「どうやって死んだんだ?」
ついでにうまい死に方についてとか
死人の唇
僕は
つまらない
永遠に
傍観している
人
なの
いつもずっとそうしてきた
なぜ
僕は器用に生きているの
僕は不器用な方なの
どっちなの
死人の唇
僕の耳に口を挟む
昔は知らない
ここに来て分かる
いつからあるか知らない
ここに来ても分からない
死人の唇
僕の耳に噛み付いている
右の耳たぶ、左の耳元
死人の唇
しばしばイタズラ嫌悪な内容
聞く耳貸さぬでもないさ
やっぱり寂しい死人の唇




