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第23節:圧倒的『ざまぁ』の瞬間 〜暴かれるパワハラと盗作の全証拠、株価大暴落で崩壊する虚飾の帝国と奈落へ引きずり出される偽りの女王〜

第23節:圧倒的『ざまぁ』の瞬間 〜暴かれるパワハラと盗作の全証拠、株価大暴落で崩壊する虚飾の帝国と奈落へ引きずり出される偽りの女王〜



「ライブソーイングはただの余興だ。美神麗奈、お前には『クリエイターとしての死』だけでなく、逃げ場のない『社会的な死』を用意した」


ファッションウィークのメイン会場。

神宮寺じんぐうじこうの冷徹な声が響き渡ると同時に、ステージ上の巨大スクリーンが切り替わった。


そこに映し出されたのは、もはやファッションの華やかさとは無縁の、生々しい「罪のリスト」だった。


「な、何よこれ……っ!?」


警備員に押さえつけられた麗奈れいなが、目を見開いて絶叫する。


【証拠①:窃盗の瞬間】

鮮明なカラー映像。誰もいない夜のアトリエで、麗奈がつむぎのデスクからスケッチブックを奪い、スマホで連写する姿が克明に記録されていた。


【証拠②:日常的なパワハラの記録】

会場のスピーカーから、麗奈の歪んだ声が流れる。

『あんたみたいな代わりのきく端切れが、私のデザインを汚さないで!』

『いい? あんたは一生、私の影で泥水を啜ってればいいのよ!』


【証拠③:真の作者の証明】

ルミエールが過去数年間に発表したヒット作の「オリジナルデータ」が公開される。そこには麗奈が手を加える前の、紬による完璧な型紙パターンと、紬の隠し署名が刻まれていた。




   ◆ ◆ ◆




現代日本のネット空間は、まさに「デジタル・ギロチン」の執行場と化していた。


ライブ配信の同時視聴者数は、二億人を突破。

チャット欄の速度はもはや視認不可能なほどに加速し、世界中の言語で罵倒が飛び交う。


『#美神麗奈の逮捕を希望します』

『#ルミエール不買運動』

『今まで天才だと思ってた自分を殴りたい。ただの寄生虫じゃん』


特定班と呼ばれるユーザーたちが、過去の麗奈のインタビュー記事を次々と掘り起こし、紬のアイデアの盗用箇所を「答え合わせ」のように拡散していく。


さらに、モニターには衝撃のニュースがリアルタイムで流れた。


『速報:大手スポンサー各社、ルミエールとの契約解除を次々と発表』

『「我が社は倫理観のない企業との提携を一切断絶します」――主要取引先が公式声明』


麗奈の背後にあった「権力」という名の巨大な砂の城が、波に洗われるように崩れ去っていく。




   ◆ ◆ ◆




「……見ろ、美神。お前がどれほどのものを壊したかを」


神宮寺は、ルミエールの株価チャートをスクリーンに表示した。

麗奈の無能と不正が露呈した瞬間から、グラフは垂直に落下している。

ストップ安。

わずか数十分で、数千億円規模の時価総額が宇宙のちりへと消えた。


「『誰でもできる雑用』だとお前がさげすんだ柚木紬の仕事は、この会社の時価総額そのものだったんだ。……彼女を失った瞬間、この会社には一円の価値もなくなったんだよ」


会場にいたルミエールの役員たちが、真っ青な顔で腰を抜かした。

自分たちがゴミ箱に捨てていたものが、実は会社を支える唯一の「心臓」だったのだ。




   ◆ ◆ ◆




「嘘よ! 嘘よぉぉ!!」


麗奈は髪を振り乱し、拘束を振りほどこうと暴れ狂う。


「全部あの子が勝手にやったことよ! 私がいたから、あの地味な女のデザインが売れたのよ! 私のブランド力に感謝しなさいよ!」


「お前の『ブランド力』とは、他人の血を吸って肥え太った寄生虫の虚栄に過ぎない」


神宮寺は、手元の分厚い書類の束を、麗奈の足元にバラ撒いた。


「エマ・ワトソンをはじめとする世界中のVIP顧客から届いた、お前への『永久出禁通知』と『損害賠償請求書』だ。……今日からお前は、ファッション業界の歴史から抹殺される」


さらにモニターには、麗奈を愛人として囲い、悪行を黙認していたルミエールの前社長が、特別背任罪の疑いで警察に連行される生中継が映し出された。


麗奈の最後の盾は、もうどこにもなかった。




   ◆ ◆ ◆




「……っ」


混乱の中、紬は静かに麗奈の元へ駆け寄った。

罵倒するためではない。

麗奈がパニックで引きちぎり、足元に投げ出した「失敗作の布」を拾い上げるためだ。


「……麗奈先生」


「な、何よ……。笑いに来たの!? 泥棒猫の分際で!」


「布さんが、泣いています。……先生が、一回でもこの子の声を聞こうとしてくれたら。……もっと、優しく触れてあげていたら。こんなに悲しい服にはならなかったのに」


紬の瞳には、怒りも憎しみもなかった。

ただ、道具として扱われ、ボロボロになった布への深い慈しみと、それを理解できなかった麗奈への純粋な「哀れみ」だけがあった。


「…………ぁ」


麗奈は、紬のその濁りのない瞳を見て、絶句した。

憎まれるよりも残酷な、圧倒的な「格の差」。

自分が一生かかっても届かない、本物の天才の深淵を初めて知り、麗奈は糸が切れた操り人形のように、へなへなと床に崩れ落ちた。




   ◆ ◆ ◆




「俺たちが信じたのは、大手の看板じゃねぇ。紬ちゃんのこの『手』だ!」


ステージには、日暮里繊維街の源蔵げんぞうたちが誇らしげに並んだ。


「ルミエールとの取引は今日で終わりだ。……これからは、紬ちゃんのブランド『TSUMUGI』に、俺たちの最高の布を全部注ぎ込ませてもらうぜ!」


大手企業が権力で職人を抑え込む時代が、今、完全に終わった。

紬のような真の技術者が、光を浴びる新しい時代の幕開けだった。




   ◆ ◆ ◆




完全に精神が崩壊し、ぶつぶつと意味不明な独白を繰り返す麗奈が、警察車両へと連行されていく。

会場の外からは、石を投げるかのような凄まじい罵声が飛び交っていた。


「紬。……もういい。汚いものを見る必要はない」


神宮寺が、混乱して立ち尽くす紬を、背後から包み込むように抱き寄せた。


「行こう。君の服を待っている、新しい世界へ」


「……神宮寺、さん」


神宮寺の手によってエスコートされ、紬は眩いばかりのフラッシュの中、本物の王女のように会場を後にした。


背後には、崩れ去った虚飾の帝国。

そして目の前には、最強の皇帝が切り拓く、光り輝く未来だけが広がっていた。

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