茶葉、物申す
※本作はフィクションです。実在の法律・人物・団体とは一切関係ありません。
おいっす、おいら茶葉。
茶葉って言っても緑の野郎じゃないよ、紅茶。
遠くセイロンからやってきた、由緒正しい紅茶葉さ。
細かく砕かれて小分に袋詰めされてるけどね。
おいら、ただいまお前らが住む、日本の大手カフェで待機中。
店内にはコーヒー豆が挽かれる甘く香ばしい匂いが漂う。良いね、こういうの好きよ。
このカフェ、コーヒー豆にはこだわってるって宣伝しててさ。
毎朝工場から、焙煎したての豆を各店舗に納入して、それを注文毎に挽いて、丁寧に抽出するわけ。まあフルオートの機械がやるんだけどさ。
その度にいい香りが漂うだろ。演出が良いよね。たまらないや。
え?紅茶としてコーヒーに思うところ?
別に無いよ。コーヒー、気のいい奴だしね。
特にブラジル出身の奴なんて陽気で楽しいやつさ。
何より香りが良い。良いものは良いんだ。
というわけで、コーヒー豆とは仲が良いわけ。
意外かい?植物は基本いがみ合ったりしないのよ。ニンゲンと違ってね。
あ、毒吐いちゃった(笑)。タンニンかな。
そう、コーヒーは良いのよ。コーヒーはね。
でもさ。この店…というかコーヒーチェーン全体には、ちょっと物申したい。
はじめにも言ったけど、おいら、ティーバッグなのよ。
紅茶葉としての質に自信はあるよ。ありますけどね。
でも、やっぱりおいら、インスタント寄りじゃないですか?
コーヒーで言えばネ◯カフェ。焼きそばならペ◯ング。
あの『こだわりの』コーヒーと肩を並べるのって、おこがましいと感じるんですよ。
しかもよ。店の奴ら、カップに入れたお湯に、おいらたちをドボンって入れて、そのまま出すの。おかしくない?
チェーンによってはもっと酷くてさ、
•白湯inカップ
•おいら
…ですよ。
セルフかよ。
あのね。ラーメンの美味い中華料理屋行って、焼きそば頼んだからって、ペヤ◯グ出てこないでしょ?
あまつさえそれが「セルフです♡」とか、ならんでしょ?
スマイルありゃ良いってもんじゃないの。それが許されるの、コンビニまでですよ?
それとね。おいらたち、割とデリケートなのよ。
95℃位のお湯で抽出してやらないと、エグみが出るの。
それなのにさ。カップにお湯…陶器にお湯。
はぁ…、、、もうその時点で80℃以下じゃん?なんなら60℃じゃん?
なに?紅茶界のイタリアンローストでも目指してるわけ?
…ちぇっ、この狭さじゃジャンプも出来やしねぇ。
もう百歩譲ってティーバッグは良いよ。せめてポテンシャルは引き出そうよ。引き出す努力しょうよ。この際フリでもいいから。
それが出来ないなら業務用午◯の紅茶ストレート無糖でも出せよ。絶対そっちのほうが美味いから。
さらに、おいらの隣ではミルクティーとレモンティー用に、コーヒーフレッシュとレモンポーションがウッキウキで待機してるの。
ミルクティーってそうじゃないだろ?
レモンティーってそういうことじゃないだろ!?
それやるんだったら、カフェオレ頼まれた時にコーヒーとコーヒーフレッシュ出してみろやぁ!!
…っといけね。タンニン出ちまった。
あー、セイロンに帰りたい…。
イギリスに留学したい。
そんで、極めつけがこれ。
【お会計】
•コーヒー 450円
•紅茶 450円
………いたたまれねぇよ。
お客に申し訳なくて涙出てくるよ、コーヒーと同じ値段とかよ。
味も、
こだわり具合も、
演出も、
雲泥じゃねーか!!
全部やれとは言わないよ。でもどれか一つくらいできるだろうよ。徹頭徹尾手ぇ抜いてんじゃねーよ。できないなら100円で売れよもう。
『お前 悪くない 葉っぱの偉大さ 俺たちよく知ってる お前と同じ値段 俺たちの誇り』
モカ……あリがとな。お前いい奴だな。産地知らなくてごめんな。
とにかく、コーヒーに見せるやる気を、少しはこっちにも向けてくれと言いたい。
そりゃあな。店の言い分も分かるのよ。
「場所代も込みの値段なのです。ベーシックなコーヒーの値段はサービス価格なのです」ってな。
でもさ、そうだとしても客をガッカリさせるような真似はダメじゃん?それを言いたいわけ。
あー…そろそろおいらの我慢も限界。
もうこれ以上蔑ろにするなら、客の前で『俺はリプ◯ーーーーン!!!』って叫ぶからな!




