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茶葉、物申す

作者: ひろ
掲載日:2025/11/26

※本作はフィクションです。実在の法律・人物・団体とは一切関係ありません。

 おいっす、おいら茶葉。

 茶葉って言っても緑の野郎じゃないよ、紅茶。

 遠くセイロンからやってきた、由緒正しい紅茶葉さ。

 細かく砕かれて小分に袋詰めされてるけどね。


 おいら、ただいまお前らが住む、日本の大手カフェで待機中。

 店内にはコーヒー豆が挽かれる甘く香ばしい匂いが漂う。良いね、こういうの好きよ。


 このカフェ、コーヒー豆にはこだわってるって宣伝しててさ。

 毎朝工場から、焙煎したての豆を各店舗に納入して、それを注文毎に挽いて、丁寧に抽出するわけ。まあフルオートの機械がやるんだけどさ。

 その度にいい香りが漂うだろ。演出が良いよね。たまらないや。


 え?紅茶としてコーヒーに思うところ?

 別に無いよ。コーヒー、気のいい奴だしね。

 特にブラジル出身の奴なんて陽気で楽しいやつさ。

 何より香りが良い。良いものは良いんだ。


 というわけで、コーヒー豆とは仲が良いわけ。

 意外かい?植物は基本いがみ合ったりしないのよ。ニンゲンと違ってね。

 あ、毒吐いちゃった(笑)。タンニンかな。



 そう、コーヒーは良いのよ。コーヒーはね。

 でもさ。この店…というかコーヒーチェーン全体には、ちょっと物申したい。



 はじめにも言ったけど、おいら、ティーバッグなのよ。

 紅茶葉としての質に自信はあるよ。ありますけどね。

 でも、やっぱりおいら、インスタント寄りじゃないですか?

 コーヒーで言えばネ◯カフェ。焼きそばならペ◯ング。

 あの『こだわりの』コーヒーと肩を並べるのって、おこがましいと感じるんですよ。


 しかもよ。店の奴ら、カップに入れたお湯に、おいらたちをドボンって入れて、そのまま出すの。おかしくない?

 チェーンによってはもっと酷くてさ、


  •白湯inカップ

  •おいら


 …ですよ。

 セルフかよ。

 あのね。ラーメンの美味い中華料理屋行って、焼きそば頼んだからって、ペヤ◯グ出てこないでしょ?

 あまつさえそれが「セルフです♡」とか、ならんでしょ?

 スマイルありゃ良いってもんじゃないの。それが許されるの、コンビニまでですよ?



 それとね。おいらたち、割とデリケートなのよ。

 95℃位のお湯で抽出してやらないと、エグみが出るの。

 それなのにさ。カップにお湯…陶器にお湯。

 はぁ…、、、もうその時点で80℃以下じゃん?なんなら60℃じゃん?

 なに?紅茶界のイタリアンローストでも目指してるわけ?


 …ちぇっ、この狭さじゃジャンプも出来やしねぇ。


 もう百歩譲ってティーバッグは良いよ。せめてポテンシャルは引き出そうよ。引き出す努力しょうよ。この際フリでもいいから。

 それが出来ないなら業務用午◯の紅茶ストレート無糖でも出せよ。絶対そっちのほうが美味いから。



 さらに、おいらの隣ではミルクティーとレモンティー用に、コーヒーフレッシュとレモンポーションがウッキウキで待機してるの。

 ミルクティーってそうじゃないだろ?

 レモンティーってそういうことじゃないだろ!?

 それやるんだったら、カフェオレ頼まれた時にコーヒーとコーヒーフレッシュ出してみろやぁ!!

 …っといけね。タンニン出ちまった。


 あー、セイロンに帰りたい…。

 イギリスに留学したい。



 そんで、極めつけがこれ。


 【お会計】

  •コーヒー 450円

  •紅茶   450円


 ………いたたまれねぇよ。

 お客に申し訳なくて涙出てくるよ、コーヒーと同じ値段とかよ。


 味も、

 こだわり具合も、

 演出も、


 雲泥じゃねーか!!


 全部やれとは言わないよ。でもどれか一つくらいできるだろうよ。徹頭徹尾手ぇ抜いてんじゃねーよ。できないなら100円で売れよもう。



 『お前 悪くない 葉っぱの偉大さ 俺たちよく知ってる お前と同じ値段 俺たちの誇り』


 モカ……あリがとな。お前いい奴だな。産地知らなくてごめんな。




 とにかく、コーヒーに見せるやる気を、少しはこっちにも向けてくれと言いたい。


 そりゃあな。店の言い分も分かるのよ。

 「場所代も込みの値段なのです。ベーシックなコーヒーの値段はサービス価格なのです」ってな。


 でもさ、そうだとしても客をガッカリさせるような真似はダメじゃん?それを言いたいわけ。



 あー…そろそろおいらの我慢も限界。

 もうこれ以上蔑ろにするなら、客の前で『俺はリプ◯ーーーーン!!!』って叫ぶからな!

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