1.世界の常識
初心者ですが、頑張って投稿していきたいと思っています!
眩しい光が小さなガラスを照らす
その横で、大きな鉄の自転車が無造作に転がっていた
まだ誰も見ぬ惑星
そこには、腐敗しきった世界が永遠と続いていた
『宇宙研究会』
そう書かれた古い看板を見て、アルネは衝撃を受けた
いつの日か新聞で見たことはあったが、実際に見るのは初めてだ
宇宙についてわからないことは沢山ある、なんていう考えがあったのも何十年も前の話
今や、宇宙の謎はすべて解明した、ということは常識になっている
人類は長い年月をかけ、宇宙の始まりからブラックホールの内部に至るまで調べつくした
AIが調べつくした、というほうが正しいかもしれない
宇宙について人類はすべてを知っている、ということは常識になったのだ
「わぁ、古い……子供が書いたのかな?これ」
錆びれた看板ををまじまじと見て、アルネはそう呟いた
教科書に載っていたものよりは当然新しめだが、十分貴重である
「しめしめ、写真を撮っておこうっと」
アルネは、大学で宇宙の研究をする、研究員だ
宇宙についての研究をしている
今時、宇宙はいろいろなことが解明されて、研究何て必要ないと思われているが、アルネは全くそう思っていなかった
まだ見ぬ惑星、まだ見ぬ未知の力―……分らないことは山積みのはずだ
「それなのに人類ときたら、宇宙は解明されただの、惑星なんてもう探しつくしただの……」
緩い坂道を下りながら、ため息をつく
アルネはある世界の常識を、覆そうとしている
宇宙は解明された、という常識だ
どんなに調べつくそうとも、宇宙は世界の原点
人類ごときが、長い歴史を紡いだ宇宙の何を知っているというのだ
「宇宙はまだ未知の世界、私たちはまだ何も知らない」
アルネはずっとそう思っている
金曜日の大学
沢山の生徒が行きかう廊下を歩きながら、アルネは自信を感じた
行ける気がする……今回のは本当に理にかなっていて、良い感じっ!
今日は、待ちに待った論文提出の日である
とはいっても、しっかりとした論文ではなくって論文もどき
教授に提出するためだけの論文だ
「えぇっと、教授室……ここだ」
大きな扉の前で立ち止まる
風格のある茶色い扉は、いかにも教授室の扉にふさわしいようだった
古い本の匂いが、中から少し香おる
アルネは慎重に扉を押した
「失礼します―……」
ギィッと重々しい音が鳴り、ゆっくりと扉が開く
中には、山ほどにつまれた本が溢れかえっていた
ザ、教授室って感じだなぁ
そう思いながら、アルネは中へ進んだ
地球儀、大きな地図、物差し……いらなさそうなものばかりが積まれている
「やぁ、アルネ君。来てくれたのか」
前から教授の声が聞こえ、慌ててアルネは前を見た
しわくちゃの顔に、赤い花と白いひげがついている
アルネが最も尊敬する教授、菱田教授だ
「おはようございます」
興奮を押さえながら、アルネは何とかそう言った
古い紙の匂いに負けない、コーヒーの香りが教授からする
マカオブレンドのコーヒーの香りがした
「アルネ君、論文は書いてきてくれたかな?」
優しくフワフワとした教授の声が、アルネに届いた
抱えていた論文を両手で持ち、少しずらして見せる
「もちろん持ってきました」
アルネは少し大きな声でそう言って、論文をまた抱えた
教授の顔に笑顔が満ちる
まるで、サンタクロースを思わせるかのような柔らかな笑顔だった
今時、こんな真っ白な髭のおじいさんなんて見ないよなぁ
ぼーっと教授の顔を見ていると、柔らかな子が驚きの顔に変わった
「アルネ君、論文を渡してくれないか?嫌かね、それならいいんだが」
しまった……
アルネは頬が赤くなるのを感じながら、慌てて論文を教授に渡した
紙のすれる音が、教授とアルネの間に響く
それから、教授はペラペラと論文を読み始めた
「………」
静かに、鼓動の音だけが耳に響く
しばらくして、教授が論文から顔を上げた
その顔には
「―……?」
険しい表情が浮かべられていた
教授は論文を静かに机に置き、アルネに語り掛けるように言った
「アルネ君、こんな考えは今すぐやめなさい。
君が今までにない発見をしたいのはわかるが、あまりにも突飛だ。」
柔らかく諭すような声には、完全に否定する気持ちが含まれていた
アルネは、目元が熱くなるのを感じながら手を握りしめた
教授の冷徹な目
本気で思っているのだ、『私の考えは変』だと
何を言っても変えられないであろう
「っ……、すみません」
アルネは、半ば飛び出すように教授室を出た
目から大粒の涙が流れる
悔し涙だろうが悲し涙だろうが、アルネには関係なかった
「……ふぅ」
アルネが飛び出し、埃がチラチラと舞う部屋
教授は、一口飲みため息をついた
アルネはきっと、新しい発見をしたいのだろう
しかし、そうやって失敗していった学生を教授は嫌というほど見た
アルネがそうならないようにしなくては
宇宙は解明された
それは事実であり真実なのだから
ということで、第一話でした。
これからも頑張ります!




