【第一章】東都での平凡な日常
天幻――魔法と謎に満ちた世界。
伝説によれば、それは神々の古の魔術で創られたという。
でも、それってただの伝説でしょ? ね?
私、リリアン――『東都魔法学院』の卒業生で、第三位魔導士よ!
もう十八歳だよ!やったー!
『東都魔法学院』は、魔法使いのための特別な学院なの。
簡単に入れる学院じゃないし、卒業するのも一苦労なのよ!
でも、私はできたんだから!
私の実力と努力のおかげよ。今や私は『第三位魔導士』!
結構な高位よ! もちろん、最高位魔導士じゃないけど……いつかきっと、なってみせる!
それまで……ちょっとだけ夢見させてよね。
私は東都に住んでいる。大きくて美しい街よ!
ここに、『東都魔法学院』があるの。国内でも指折りの魔法学院よ!
東都は国の魔法の中心地と呼ばれているわ。
ここではエルフから獣人、その他の種族まで、様々な人々が見られるわ。
ああ、学院時代にそんな先生がいたわ! エルフの先生のテストで落ちたこと、今でも覚えてる……
今思い出しても、顔から火が出るわ……
たまに珍しい種族の旅人も通りかかるの! なんと、夜のエルフまで見かけたことがあるわ!
本当に信じられないくらい素晴らしかったの!
一度なんか、飼い慣らされたドラゴンちゃんを連れた人が通り過ぎたの! 鎖でつないでいて……めっちゃ可愛かった!
私もあんなの飼いたいなぁ……でも、大きくなったら家を丸焼きにしそうで怖いわ。両親に怒られるに決まってるし。
ここには大きな噴水広場が三つもあるの。よくそこで散歩するわ。
ちょうどその近く、広場のそばに魔法雑貨屋さんがあるの。お手頃なクリスタルも売ってるわよ。
この世界では、みんな基本金貨で支払うわ。銀貨も使われるけどね。
金貨1枚は銀貨10枚分よ。金貨は『太陽金』、銀貨は『月銀』って呼んでるの。
これは色と材質に由来してるの。だから商品の値札や会話で『太陽金』『月銀』って表記をよく見かけるわ。
例えば、うちの近所のパン屋のパンは太陽金3。宿の朝食なら月銀30ね。
みんな当然、これがお金の話だとわかってるわよね。
まさか本物の太陽や月で支払えると思ってないでしょうね?
特別な魔晶石もあって、1個で太陽金5枚分ぐらいの価値よ。ただし、どこでも使えるわけじゃないの。
たまに他所から商人が来て、珍しい品物を売ってるわ。でも、中にはとんでもない値段のものもあるのよ。
いろんな場所を旅するって、どんな感じなんだろう? きっと商人さんたちはすごいものいっぱい見てるはず!
私が行ったことあるの、せいぜい2~3の近隣の街までよ。それもまだ子供の頃だったわ。
両親が出かける時は、いつも私を連れて行ってくれたの。
いつか私も、色んな場所を巡って、いろんな街や国を見てみたいな。
今はまだ東都の生活で十分よ。生まれも育ちもここなんだから。
あ、ちょうど今あの魔法雑貨屋に材料買いに行くところなの! ポーションの材料が欲しくて。
ついでに何かいいもの、見つかるかもしれないし。
私が『魔力』を使えるなんて、本当に運がいいわ。
あっ、そうだ。この世界では誰もが魔法を自由に使えるわけじゃないの。
これは『神の恵み(かみのめぐみ)』と呼ばれるものよ。生まれ持った能力なの。
十人に一人、いや百人に一人の割合でこの『神の恵み』が現れるの。どんな種族にも授かる可能性があるわ。
『神の恵み』は運命のいたずらよ。誰に授かるか、予測も予知もできないの。
誰にだって授かる可能性はあるわ……もちろん、運が良ければだけど!
私、運が良かったの! 他の選ばれし者たちと同じく、魔力を使えるんだよ。
『魔力』って何?
これは『神の恵み』を持つ者だけが使える魔法エネルギーのことよ。
魔力がある限り魔法は使えるわ。でも使いすぎると枯渇するから、回復するまで待たなきゃ。
これが本当に困るのよ……一番必要な時に魔力が切れるんだから!
もちろん、魔力の総量は増やせるわ! でもそれは魔導士としてのレベルを上げた時だけよ。
でも魔力は無限じゃないわ! 最高位魔導士ですら所持量に限界があるのよ。
私はまだ第三位魔導士だけど、魔力の量は平均よりずっと多いのよ!
今のところ、これで十分よ!
でも、最高位魔導士ってやっぱりすごいわ!
『神の恵み』を受けられなかった人たちはどうしてるのかって? そうね…
まあ、普通に暮らしてるわよ。魔力そのものは使えないけど、魔法道具なら使えるの。
それにね、この『神の恵み』にも色々な種類があるのよ。
例えば私みたいな『通常魔導士』が一番多いわ。全体の7割くらいかしら。
『癒し手』もいるわ。魔導士の一種だけど、能力が全然違うの。
彼らは『火の玉』や『雷撃』のような攻撃魔法は使えないのよ。
でも彼らには『治癒』や『浄化のオーラ』とか、平和的な能力がいっぱいあるの!
学院の癒し手たちは、病気の生徒や怪我人をいつも助けてくれたわ。
一度、魔法の制御に失敗して、ちょっと怪我しちゃったことがあるの。
癒し手がすぐ治してくれて本当に良かったわ!
他にも色んな魔導士がいるわ。例えば、『 元素魔導士』とか。
元素魔法を操れるなんて、すごいわ!
ほら、噴水だ!
もうすぐ着くわ。今日も何か新しいものがあるかしら?
セールしてたらいいのに~!
ここを散歩するの、大好き! 本当に綺麗な場所だわ!
噴水に近寄ってみよう。マントを濡らさないように、気をつけないと……
ええ、立派な魔導士ですもの、このマントは欠かせないわ!
魔導士は、自分の地位と立場を表すためにマントを選ぶのです。
マントを見れば、まだ見習いなのか、正式な魔導士なのか、一目瞭然よ。
別に必須じゃないけど、こうした方が格好いいでしょ! 魔導士の多くはマントを着てるわ。
私、紫のマントを選んだの。緑の瞳とエメラルドのアクセサリーにすごく合うでしょ?
それに、このマントにはたくさんのポケットが付いてるの! 本当に便利よ!
色々な魔導具を携帯できるの。これってすごく重要だと思わない?
そーっと水に近づいてみるわ。
わあ……冷たい!
夏には最高だけど、今はまだ春だものね。
この季節、大好き!
辺り一面、花がいっぱいで本当にきれい! 私の一番好きな季節だわ!
東都の庭園は今が一番見事よ。色とりどりの花の香りが辺りに広がって……!
さて、そろそろ急がなくちゃ。夕暮れまでに全部終わらせないと。
ほら、あそこに魔導具屋さんが見えるでしょう?
もうすぐ着く!
魔導具屋の横には、珍しい植物が植わっている小さな庭があるの。私、たまにここで買うんだよね。
ついに到着! 看板のかかったこの小さな家が、あの魔導具屋だわ!
入口には優しい光を放つ魔法のランタンが掛かっていて、夜でも心地よい雰囲気なの。
ドアには魔法の彫刻が施されていて、さらに望まざる魔力から守る結界も張られているのよ。
ここはただのお店じゃない! 魔法と神秘への入り口なの!
さあ、中に入って今日の買い物を決めるわ!
あら、もうお客さんが2人も! お支払い中の間に、私もゆっくり選ばなきゃ。
お店は古風な作りで、木の棚には色々なものが並んでいるわ。本、ポーション、水晶、魔道具、お守り、指輪、調合用の材料が入った小箱……壁には絵画も飾ってあるの。
ここはいつも特別な香りがするわ……ハーブやポーション、調合材料の匂いが混ざり合って。
外と同じように、ここにも心地よい明かりのランタンが揺れているわ。本当に素敵な場所!
さて、何を選ぼうかしら?
『火炎粉』……家で初めて使った時、ママにめちゃくちゃ怒られたわ。ベッドを燃やしそうになったんだもの! 取り扱いには本当に気をつけないと。
『ルミナス草』の葉っぱ。これ、面白いことがあってね~。近所の猫が窓辺に置いてあったのを食べちゃって、2日間暗闇で光ってたの! みんな幽霊だって騒いでたわ!
『ドラゴンの鱗』……野生の竜から手に入れるのは命がけよ! 本当に貴重な品なの。
『スライム』……うぇ、最悪! 子供の頃、森で可愛い丸い生き物を見つけて撫でようとしたら、ベトベトのヌルヌルで手がぐちゃぐちゃに! あの感触、今でも思い出すと鳥肌が立つわ!
ここには本当に色んな本があるの! 前に『しゃべる本』を買ったんだけど、うるさすぎて……結局、図書館に売っちゃったわ。
何を選ぼうかな……『ルミナス草』の葉っぱと水晶を2つ、それから『火炎粉』も少々。今度は絶対に注意するわ!
わあ、今日は『月光花』がある! 少しもらおうかな。
あ、このバッグ! 私のマントにすごく合いそう!
まあ、なんて色んなものがあるの!
お客さんたちもいなくなったし、そろそろ店主さんと相談しましょう。
「こんにちは、ギャレット様!」
「おお、リリアンお嬢さん! またわが店に来てくれたか。今日は何をお求めかな?」
「まだ迷ってるけど……『月光花』を少し、水晶を二つ、それに『火炎粉』も。これでお願いします!」
「はいはい、すぐにお持ちしますよ……さあ、どうぞ!」
「エメラルドの雫は、いつ頃入荷しますか?」
「うーん……知り合いが1週間ほどで届けてくれるはずだ。少し待たねばならんな」
「わかりました! 全部でいくらになりますか?」
「さて、計算すると……太陽金9個と月銀35個だな」
「あの~、少しまけてくれません? 常連客ですよ! お願いします、ギャレット様!」
「ハハハ! ああ、麗しのリリアン嬢。その翡翠の瞳のためなら……よし、常連さんだし、太陽金8個でどうだ?」
「やったー! ありがとうございます、ギャレット様! 本当にお優しいんです!」
「いやあ、常連様は大事にしなくてどうするんです?」
「もう行かなきゃ! またすぐ来るからね!」
「かならず待っておりますよ!」
やったー! うまく値引きしてもらえた! ギャレット様、本当に優しい方なんだから!
ギャレット様って、本当におじちゃんみたい!甘やかしてくれるんだもん!
あー……こんなに甘やかしてもらうのは、ちょっと申し訳ないな。
そろそろ家に帰ろっと!
もうすぐパン屋さんの前を通るなぁ……
今日はいい天気! まさに春らしい日だね!
この近くに花屋さんがあって、すごくきれいな花がいっぱいなの!
あそこが鍛冶屋だ。そこで働いているのはドワーフ族。いろんな防具や装備が買えるぞ。戦士たちは修理や買い物でよく通っている。
角を曲がるとエルフの図書館があるの。あのうるさい話す本、結局あそこに売りつけちゃったんだよね~
んんん~! いい匂い! 焼きたてパンの香り!
いやいや……今日は我慢、我慢……
でも香りが……! わかったわよ、入るだけ入る! 匂いを嗅ぐだけ……見るだけだから!
あの瓦屋根で看板が可愛い木造の家――そこが噂のパン屋さんだよ!
大きな窓からは、パンが焼かれる様子や色んな商品が作られているのが見えるんだ!
それに、彫刻が施された木製の扉も素敵……
ちょっと……見るだけだから、ね?
いい匂い! パンに、パイに……ケーキも!! あぁ~、もうダメ!
ここには色んな種類のパン、ふわふわの焼きたてロールパン、デコレーションケーキ、中身がたっぷりのパイにきつね色の焼き色……全部そろってる!
あ、お金まだ残ってる! 何か買っちゃおっかな~
「あら、リリアン! もうお気に入りは決まった?」
「ソフィアさん、こんにちは! まだちょっと迷っちゃってるんです~」
「ご両親はお元気ですか?」
「はい、元気です!……あっ! それよりソフィアさん、これって焼きたてのアップルパイですか!?」
「ええ、今朝焼き上がったばかりですよ」
「アップルパイ、2つください!」
「はい、どうぞ! ……あら、熱いから気をつけてね」
「ありがとうございます、ソフィアさん!」
「またおいでよ。ここが一番、新鮮で美味しいって、リリアンちゃんも知ってるでしょ?」
「はい! 絶対また来ます!」
あつあつパイ! はふはふ……んもぉ~、最高に美味しーい!!
ソフィアさんは私の両親の知り合いで、子供の頃から知ってるから……もうほとんど家族みたいなものなんです!
もうすぐ家に着くわ。
ほら、もう家が見えてきた! それに、周りの小さな庭… あれはお母さんの努力の結晶よ!
母は園芸の達人なの。この美しい花や植物、全部自分で育てたんだよ!
うちの家族で『神の恵み』を持ってるのは私だけ。だから、私は魔法学院に進んだの。
ただいまー!
「リリアン、もう帰ってきたの!?」
「うん! 魔法屋さんに行って、帰りにリンゴパンを2つ買ったの!」
「あら、そう。良かったわね」
「お父さんはまだ仕事?」
「ええ。今日はちょっと遅くなるわ。大事な用事があるから」
「わかった。じゃあ、自分の部屋に行くね」
父さん、たまに仕事で遅くなるの。だって、あの人 錬金術師 で、自分の 錬金術店 もってるから!
父さん、私が魔法の薬作りを勉強してた時、たまに宿題を手伝ってくれたの!
今日、魔法屋で材料を少し買ったの。この数日で使ってみようと思うわ!
夜はちょっと本を読んで、それから寝るわ。
~●●●~
はぁ……もう朝?
もう少し……ごろごろしよう……
あっ! ドアの鈴が鳴った!
……ん? お母さん、誰かと話してる?
ちょっと見てくるわ。誰が来たのか気になる……
「あら、リリアン。ちょうど良かった。さっき学院の先生が来てね、学長が今日の昼食にあなたを待っているって。大事な依頼があるみたいよ」
「わあ! 私に!? 急いで準備しなきゃ!」
まさか、私に重要な任務を……!
準備しなくちゃ! 朝ごはんの後で支度するわ!
すごく緊張する……この大事な任務、私にできるかな……
絶対、全力で頑張る!
~●●●~
もうすぐ学院の門に着く……ああ、どんな大事な依頼が待ってるんだろう?
ここが……『東都魔法学院』!
この門は樫の木でできていて、青銅の竜の装飾が施されているの。でもね、許可なく侵入しようとする者がいれば……竜たちは目を覚まし、襲い掛かるわよ。
中庭には創設者たちの像と、戦闘魔法の訓練場があるわ。
ここでは、様々な戦闘技術を学ぶのよ!
火の玉や雷撃を使う時は、特に気をつけてよね!
大事なのは、癒し手が近くにいることよ!
この近くに『静寂の庭』があるの。みんな瞑想したり、休みに来る場所よ。
耳を澄ませば、ここの木々の葉のささやきが聞こえるわ。春には特に美しく、ピンクの花を咲かせるの。それらの花は、暗闇でほのかに光るんです。
めっちゃきれい! すごく幻想的!
学院の庭園、大好きなの! ここには色んな魔法植物が生えてるし、噴水だってあるわ! 池には精霊鯉が泳いでて、これまた光るんです!
最高すぎる!
ほら、あれが学院の本館よ!
銀色の瓦が太陽の光を浴びて、水晶のように輝く高い塔……
白い石の壁には、細かな彫刻と魔法の紋様が刻まれている。そう、これも暗闇で光るの! 青い光を放つわ。
伝説の魔導士たちが描かれたステンドグラスね。なんか特別な力が宿ってるらしいけど……学生のデタラメだと思うわ。
建物自体は石と木材、金属でできていて、窓や星術師たちのためのガラス張りの塔のドームのようなガラス細工が施されているわ。
今、蓮の咲く小川にかかった橋を渡っているところなの。
まあ、すごくきれい!
あそこ、入口の近くにあるグリフォンの石像ね。あれも侵入者を攻撃するのよ!
学院の上空には『不可視の結界』が張られていて、あらゆる種類の魔法から守ってくれるの。
さて、中に入ろうかな……
今日は学生が少ないみたいね……
わあ! 大ホールの天井には、動く星のある夜空の幻影が広がってる!
すごく気に入ったわ!
ホールは本当に広々としてるわ! 教室や研究室も天井が高くて窓が大きいから、昼間はすごく明るいの。
廊下の壁には、歴代の教師や校長の肖像画がかかっているの。それに、みんな動くのよ! まるで本物みたい! なんてこと、この学院のものは全部生きているみたい!
ところどころに、浮遊する階段があるの! 階段の段が空中に浮かんで、位置まで変わるんだから!
ここは気をつけないと、落ちちゃうからね!
この角を曲がると、大きな図書館があるわ。古代の本や巻物まで所蔵されてるのよ!
ここには特別な本もあるのよ! 空を飛ぶ本や、しゃべる本まで!
最初は慣れなくて大変だったわ! アルケミーの大事な本を捕まえようとした時なんて、本と追いかけっこしちゃったの。でも最後にはゲットしたよ!
ここには『禁書』もあるの。封印と鎖で閉ざされていて、アクセスできるのは選ばれた者だけよ。
本は普段、閲覧室で読むの。ほら、蛍みたいなランプがついた机が並んでるあそこよ!
図書館のすぐ近くに、様々な実験や研究のための实验室があるわ。
「あっ、ごめんなさい! ちょっと周りを見回してて……」
あれは『守護精霊』の一柱だったの。学院に住みついて、秩序を守っている存在よ。厳しいけど、心は優しいの。
私が初めてここに来た時、迷子になってしまったんだけど……守護精霊の一人が道を教えてくれたの。
あちらは『学院食堂』よ。ここでは美味しいプリンが食べられるの!
オムレツも最高なの! 特別なレシピで作られているんだよ!
夜になると、灯りが柔らかな光で辺りを照らすの。本当に居心地がいいわ!
ここでは特定の日に、お祭りや展示会、それに競技大会も開かれるのよ!
私も何度か参加したことあるわ! 本当に楽しかった!
この黒檀の扉に水晶がはめ込まれた部屋――ここが学長アルタリオンの執務室よ。
ああ、すごく緊張する……いったい何を言われるのかしら?
深呼吸して……入るわ!
「アルタリオン学長、お呼びでしたか?」
「ええ、どうぞおかけください」
よし、ここに座ろう、机のそばに。この背の高い、白い小さなあごひげにマント姿の人物――彼こそが学長だ。
一体、何を言うつもりなんだろう?
「リリアン。君は我が学院の最も優秀な卒業生の一人だ。君の功績と成功は、よく知っているよ」
あぁ……めっちゃ恥ずかしい。顔、赤くなってないだろうな?
「あなたは第三位魔導士の称号にふさわしい」
「ありがとうございます! 頑張りました!」
「西都の大図書館へ行ってみたいとは思わないか?」
「あっ、あの禁書がある場所ですか? 前から行きたかったけど…あそこ、誰でも入れないんですよね?」
「心配無用だ。向こうの司書と話をつけた。特別通行証を発行してもらえる」
「ありがとうございます、アルタリオン学長! 本当に嬉しいです!」
「さらに、西都の魔法学院を訪れる機会もある」
「わっ!」
「ははは、随分と嬉しそうだな」
「はい! で、学長がおっしゃった『用件』って何ですか?」
「実は、帰還の際に小さな箱を携えてきてほしい。学院の教師の一人が、君が戻る時にそれを渡すだろう」
「小箱……ですか?」
「ああ。これは我が家に伝わる品だ。私にとって大切なものなのだが……差し支えなければ、ここまで運んでいただけないだろうか?」
「わかりました。お任せください」
「費用の心配は無用です。東都学院が全額負担します。移動は2、3日程度で、すぐに帰還できますよ」
「ありがとうございます! 改めて、感謝します!」
「君の魔導士としての成長に、きっと役立つだろう」
「はい! これからも頑張ります!」
「よし、それで良い。……だが、くれぐれも箱を失くさぬようにな」
「はい、しっかり理解しました!」
「では、リリアン。また会おう」
「さようなら、アルタリオン学長!」
やったー! 西都に行ける! 大図書館と西都学院も見学できる!
今日から準備しなくちゃ!




