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お転婆エミリアーナは好奇心のままにつき進む 〜私は悪役令嬢だそうですがヒロインにつきあっている暇はありません  作者: 帰り花


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【挿話】小さなエミリアーナ、初めての冒険(2)

明るいところに向かってずんずん歩いていきます。


大きな木と木のあいだをぬけました。


わあ!!!

広ーい。

みどりの草がたくさん生えてる。

小さなお花もあちらこちらに生えてるわ。

ここだけ木が生えてないから、お空が見えているのね。


森の中のひみつの小さなお庭みたいだわ!

すてき!


ここはよーく探検してみなくちゃいけません。

まずはこのお庭をいっしゅうしてみましょう。

えっと、めじるしのリボンを……この枝に……むすんで、バスケットをここにおいて、さあ、探検かいし!


足もとをよーく見ながらゆっくり歩きます。


あ!

きいろのお花はっけん!

小さいお花がたくさんあつまってさいてるわ。

花びらは……五まいね。

まんなかの白くてまるいのは……めしべかしら。

こちらのちっちゃな手みたいなのは……かふんがたくさん……これはおしべね、きっと。


どうしましょう。

ひとつつんでもいいかしら?

でもひとつだけつんだらさびしがるかもしれないわね。

こんなに小さなお花だもの。

これもよーくおぼえておうちに帰ったら調べてみましょう。


さあ。

探検をつづけましょう。


わあ。

こんどはピンクのお花はっけん!

くきが長くてわたしのおひざまであるわ。

花びらは……ええと……七まいね。

小さな花びらだけど先がいっぱいいっぱい切れてるみたい。

もしゃもしゃしてるけどきれいね。

これはひとつだけつんでいこうかしら。

花びらをもっとよーくかんさつしたいわ。


うん。

ひとつだけもらっていきましょう。

せんりひんがふたつめ!

これはバスケットに入れて持って帰りましょう。


まだまだ探検はつづきます。


まあ。

これもとーぼくかしら?

ずいぶんボロボロだわ。

あら?

こっちから見ると内がわはもっとボロボロだわ。

ちょっとさわってみましょう。

わあ、こんなにこまかくてやら……やわらかくなってしまうのね。

とーぼくはこんなふうになるのね。

でもどうしてこんなふうにボロボロになってしまうのかしら?

これもおうちに帰ったらご本で調べてみましょう。


あともうすこしでいっしゅうね。


まあ。

このきれいなお花は知ってるわ。

ふじの花よ。

明るいむらさき色で私の目と同じ色なの。

小さなお花がふさになってたれさがっているのよ。


おうちのお庭にあるガゼボの柱にはふじがまきついていて、白とピンクとむらさき色のふじの花がたくさんさいてるわ。

わたしの本当のおうちのお庭にはふじの花はさいていないから、ここのおじさまのおうちに来てはじめて見て大好きになったの。


でもここのふじの花はむらさき色だけなのね。

においは……うん、とってもいいかおりだわ。


そうだわ!

ここでおやつをいただきましょう。

たくさん歩いてたくさんかんさつしたからのどがかわいておなかがすいたわ。

さっそくバスケットを持ってきて広げましょう。


えっと、お外で食べるときはこの大きな布を地面に広げるのだったわね。

こうやって両手で広げて……うしろに……さがりながら……おいていけば……できた!

ちょっとしわがよってるけどだいじょうぶよ。


それから、バスケットのなかみを出します。

まず、木の細いいれものがふたつね。

お水と果実水かしら。

わあ。

木のコップだわ。

ここにお水を入れてのむのね。


このナプキンの下にかくれているのは……サンドイッチがのった木のお皿。

ローストビーフとハムとチーズ!

それから葉っぱとゆで卵……これはジャムね!

これでぜんぶかしら?


あら、えっと、これもナプキン?

あ、そうでした。

お外で手に持って食べる時は手をあらってから。

水まほうでまあるいお水を出して……バシャバシャと……手をあらいました!


このナプキンで手をふいて……布の上にすわって。

木の細いいれものからのむお水を木のコップに……こうやって……入れて。


さあ、いただきます!

のどがかわいているから、お水をのんで……おいしい!

水まほうで出したお水はあんまりおいしくないけど、なぜかしら?

これも調べてみなくちゃいけないわ。


サンドイッチはローストビーフからいただきます!

おいしい、おいしい!

これは、えっと、しふくの時ね。


次は……チーズにしましょう。

これもおいしい!


次はハム……葉っぱとゆで卵……ジャム……おいしかった!

お外で食べるサンドイッチってこんなにおいしいのね!

もうひとつ、このいれものに入っているのは……果実水……りんごのだわ。

これも木のコップに入れて……おいしい!

ぜーんぶおいしかったわ!

めぐみにかんしゃいたします!

ごちそうさまでした!


さあ。

はら……はらごしらえがすんだから探検にもどりましょう。


お皿とコップと木の細いいれものをバスケットに入れて……ナプキンを入れて……。


それから布をたたむのよね。

えーと、はんたいにすればいいのだから、こっちを両手で持って……ゆっくり持ちあげて……前にすすんで……おけば……できた!


あれ?

さいしょはもう少し小さかったかしら。

どうすればいいのかしら?

たたんで半分になったのだから、えーと、もういちどたためばまた半分になる?

だから……ここを両手で持って……持ちあげて……前にすすんで……おくと……できた!

ほら、また半分になったわ。


まだたりない?

それじゃあもういちどたたんで……これだわ!

これをいちばん上にのせて、せんりひんのお花とハンカチにつつんだ葉っぱをのせて、完成!


ほらね。

ひとりでお片づけもできるでしょ。

もうすぐ五さいになるのだもの、トニおにいさまとレンおにいさまができることはわたしもできるの。


さあ。

探検をつづけましょう。


わあ!

この木は大きくてりっぱね。

このひみつの小さなお庭の中でいちばん大きな木だわ。

よーくかんさつしましょう。


うーん。

上が見えないわ。

とっても大きいのね。

みきはゴツゴツしてて……あそことあそこにこぶがあるから……のぼれそうよ。

あのすわれそうなところまでのぼってみましょう。

なにかおもしろいものが見えるかもしれないわ。


まずあそこのこぶまで木をかけのぼるようにして……こぶをつかんだら、次はもう少し上にあるこぶのところまでかけのぼってこぶに足をかけて、いきおいをつけたら目的地までひといきにかけのぼれば……とうちゃく!


私がはじめて木のぼりした時、リアはしんたいきょーかを使っているからはやくのぼれるんだ、とトニおにいさまがおしえてくれたの。

トニおにいさまのまねをしようと思って同じようにのぼろうとしたらしぜんにまりょくを使ってしんたいきょーかを使ったみたい。


おじさまにいろいろとおしえていただいて、今は使おうと思った時だけしんたいきょーかを使えるようになったのよ。

木のぼりの時もそうすればすばやくのぼれるの。


さあ、ここからなにが見えるかしら?


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