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お転婆エミリアーナは好奇心のままにつき進む 〜私は悪役令嬢だそうですがヒロインにつきあっている暇はありません  作者: 帰り花


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第28話 テンセイについて調べる

流石のフォンタナ王立学園図書館。


エレナ嬢が何度も口にした『この世界』という言い方から、あの世、こことは異なる世界などを手がかりにして探してみたら、たくさんの本が見つかった。

それらの本を片っぱしから読んでみた結果。


どうやらテンセイというのは転生、すなわち生まれ変わりのようなものらしい。

ただ、生まれ変わりではなく、転生と言う場合は、今まで住んでいた世界とはまったく異なる環境、文明、文化を持つ世界へと魂が生まれ変わることを指すようだ。

しかもその世界とこちらの世界は隔絶されていて、お互いにその存在を知ることができない、とのこと。


そして過去に自分は転生者だ、と言う人は実際にいたらしい。

転生したという確かな根拠は無いものの、転生者はこの世界に無かったものを転生前にいた世界の記憶を頼りに作り出してこの世界に広めた、という記録が残っているそうだ。


例えば、魔石を利用した小型加熱器がそれ。

小型加熱器は料理や薬草を煮込む時などに使われる持ち運び可能な形状のもので、加熱温度を無段階調整できる機能があり、私も寮の自室でポーションを作る時に使っている。


私が生まれる前から当たり前のようにあって使われていたから、そういう謂れがあるとは知らなかったわ。



エレナ嬢は昔の転生者と違ってそういうことはしていないみたいだけど、たぶん、『乙女ゲーム』という世界に住んでいたのではないかしら?

あるいは『乙女ゲーム』という劇のようなものがある世界かもしれない。

シナリオが、シナリオがって言ってたものね。

私のことを脇役だ、悪役令嬢だとも言っていたし。

劇のようなものと思えば、なんとなく納得できる気がするわ。



でも劇は劇であって、現実ではないわよね。

普通の劇なら役者が多少アドリブを入れたとしても本筋は変わらないけれど、エレナ嬢の言うシナリオって、どうやら私の動きが本筋に沿っていないようだから、登場人物にかなりの自由度があるものなんじゃないかしら。


つまり、登場人物のうちの誰かの変則的な動きで本筋が変わったとしても、許容されてしまう劇。


エンディングが何通りもあって、演じている役者もどれに辿り着くかわからない劇。


そんな感じかしら。


それとも……。


もしかしたら、起こる出来事は決まっているけれど、誰がその出来事に関わるかは流動的な劇、という可能性もあるかしら?



エレナ嬢は入学式イベントとやらで私が出会いのフラグ(?)を全部横取りしたって怒っていたわ。

これはエレナ嬢に起こるはずの出来事が私に起こってしまった、ということかもしれないから。

どれがその出来事なのかはわからないけれど。



ということは、誰が主人公になるか決まっていない劇、誰でも主人公になり得る劇という可能性もあるかもしれないわね。


 

ちょっとおもしろいわね。



でも、もとが劇ならば、この世界で、この現実の世界で、劇のシナリオがそのまま通用する、なんて頭から信じ込むのは危険じゃないかしら。


それにシナリオがどうなっているのかあらかじめ知って生きていくだなんて、私はそんな人生つまらないと思う。

まっぴらごめんだわ。

シナリオ通りに物事が進むより、シナリオから大きく外れていくくらいの方が断然おもしろいと思うわ。


たとえ自分が望むハッピーエンドに向かうシナリオだとしても、最初から最後までシナリオ通りというのなら、わざわざその通りに生きる意味なんてあるのかしら?


もっとおもしろくて刺激的な道が他にいくらでもあって、どれでも好きなように自分で選べるかもしれないのに。


自分で新たに作り出したっていい。


私だったら、これから先何が起こるかわからない方の道を突き進んでいきたいわ。




ふふ。

エレナ嬢のおかしな話から、転生について知り、自分だったらどういう道をどう進んでいくか、なんてことに思いを巡らせる。


思いがけない収獲だったわね。


これはもしかしたらエレナ嬢に感謝するところかしら?


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