表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
お転婆エミリアーナは好奇心のままにつき進む 〜私は悪役令嬢だそうですがヒロインにつきあっている暇はありません  作者: 帰り花


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

23/100

第23話 階段から突き落とされる演技実行よ

エレナ視点

どうして噂の広まりが悪いんだろう。


あの女が大勢の男子生徒にすり寄って手を出してるって噂だけじゃなくって、特待生だってことを笠に着て一般生徒に威張り散らしてるって噂も追加してやったのに。


こうなったら他にもっとわかりやすいことをした方が良さそうね。


それにはやっぱり、私が階段から突き落とされ、王太子に助けられるエピソードを実行するのがいいわね。

シナリオでも王太子との仲が深まって、あの女がますます信用を落とす重要な出来事だったわ。


その出来事が起こることが大事なんだから、すれ違いざまにあの女に突き落とされたふりをして、無理矢理にでも起こしてやればいいのよ。



今朝見たのはそれがうまくいく夢だった。

これは啓示だわ!

ちょうどあの女と面識もできたことだし、いいタイミングだわ。

だから今日、決行するわ!




ふふふ。

案の定、おあつらえ向きのシチュエーションが用意されていたわよ。


私が学園の中央階段を下りていくと、あの女が廊下の曲がり角から姿を見せてそのまま階段を上ってくる。

その直後、階段下に王太子が現れて、階段に目を向けてきた。



ほら!

これよ!

今朝見た夢の通りだわ!

間違いなく成功するわ!


成功を確信して思わず口元が緩んじゃう私。


私はあの女の方へ少しずつ近寄りながらタイミングをはかる。


あの女が私の横に並んだ瞬間。


「あら、エミリアーナ様。ごきげんよう」


にこやかにそう言って、わざとあの女に押された風を装い、階段下へ落ちていく演技をした。



……と思った瞬間、体が強い力で受け止められ、勢いのまま、まっすぐな体勢に戻ってしまった。



何?

どういうこと?

何が起きたの?


この後わざと叫ぶつもりだったのに声を出す暇もなかったわ。



急に私の耳元であの女の声がする。


「お気をつけあそばせ。エレナ様」


私は自分の体があの女によって支えられていることに気がついた。


「っ!」


なんてこと!!


思わずその顔を見るとあの女は微笑んでいる。


でもなぜかその眼の光に気圧されて何も言えない。


「エミリアーナ嬢」


階段下から誰かに声をかけられたあの女は、そちらを向き、それから私に軽くお辞儀をしてみせた。


「ごきげんよう。エレナ様」



な、な、なんて嫌味な女!!



あの女は階段を下り始めた。


でも私は体を動かすこともできず、ただ階段を下りていくあの女を見つめるしかなかった。


その姿が消えてようやく体が動いた。



本当になんなのよ!

あの女!!

これ以上ないタイミングだったのに、また邪魔して!!!

しかも王太子にくっついて!!!


許せない!!!

絶対に許さないわ!!!


こうなったら直接あの女に言い聞かせてやるわ!


あの女も転生者だって私はわかってるとつきつけてやるわ!


脇役は脇役らしくしていろと命令してやるわ!


この私の命令をあの女は聞くべきなのよ!


わたしがこの世界の中心で主役なんだから!!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ