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お転婆エミリアーナは好奇心のままにつき進む 〜私は悪役令嬢だそうですがヒロインにつきあっている暇はありません  作者: 帰り花


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第17話 この一週間が出会いのチャンスのはずでしょ?

エレナ視点

入学式後の一週間。


この一週間は本格的に授業が始まるまでの社交の期間。

つまり、攻略対象との出会いを演出する絶好のチャンスよ。


今度こそここでみんな自分のものにしてやるんだから。


それに誰か上級生との伝を持つ人でも捕まえて、ニ年生の攻略対象二人、アントニオとガブリエーレを見つけなくちゃ。

彼らもみんな落としてみせるわ。

この私の美貌でね。


簡単なことよ。




入学式翌日。

私はさっそく男子寮前でラウルかブルーノが出てくるのを待ち構えた。


最初に出てきたのはブルーノ。

他にも彼を待ち構えている女子生徒が大勢いるけど、私に比べたらみんなただのその他大勢にすぎないわ。


今日こそは彼を捕まえてみせるから。


「ブルーノ様!」


ちょっと?!

モブの分際でこの私を差し置いて彼に声をかけるなんて、図々しいわね!


「今日はわたくしたちのお茶会に来てくださいませんか?」


なによ。

あんたがお茶会に誘うなんて百年早いわよ!


「今は試験で忙しいから辞退するよ」


ブルーノはそっけなくそう言って足早に去って行ってしまった。


ふん。

残念ね。

ざまあみろだわ。

この私が彼に声をかけそこなったんだから当然よ。



すぐにラウルも寮から出てきた。

今度こそ、と思って彼に近づこうとすると、図々しい女子生徒たちに割り込まれる。


ちょっとあんたたち!

邪魔しないでよ!


彼女たちにお茶会に誘われたラウルはにっこり笑って言った。


「ごめんね。君たちとのお茶会は魅力的なお誘いだけど、今は特別科目のための試験期間中なんだ。僕にとってとても大事な時期なんだよ。わかってくれるよね。ありがとう。またいずれね」


にこやかに優しくあしらってラウルは足早に去って行った。


ちょっと!!

また声をかけるチャンスを逃してしまったじゃない!


ふん。

まあいいわ。

食堂でなんとかすればいいんだから。


ランチで彼らとお近づきになればいいのよ。




ランチタイムに食堂入り口で待ち構えていると、ラウルとブルーノが連れ立ってやって来るのが目に入った。


絶好のチャンス!!


と思って近づいてみると、二人だけでなく他に二人の生徒が一緒にいる。

一人は眼鏡の男子生徒。

そしてもう一人は……。



信じられない!!

憎っくき悪役令嬢のあの女じゃないの!

また邪魔をする気ね!!

ふざけるんじゃないわよ!!



四人は何やらおしゃべりしながら入ってきて、わき目も振らずに食事を注文し、まとまってテーブルについて食べながら話を続けている。


でも長テーブルだから彼の隣に座れる!


私は誰かの注文分だったランチのトレーを奪って素早くブルーノの隣の席に座った。

図々しい別の女子生徒が狙ってたけど、そんなこと許すわけないでしょ。

私の席なんだからあたりまえじゃない。



だけどなぜブルーノはこの私を見ないのよ。

誰が隣に座ったのかくらい確認するのが普通でしょ?

あの女の話を聞くよりこの私を見るべきだわ。


ブルーノの注意を引くには……。



「あの、最高級のサファイアと言えば当然コーンフラワーブルーですわね?」


ふと聞こえた言葉が石、サファイアブルー、最高級だったから、彼らの話に割り込んでみた。

それなのになぜかみんな突然、一様に押し黙る。


なぜなの?


ブルーノの向かいの席に座る眼鏡の男子生徒は私の顔を見てあっけにとられたような表情になってる。

ブルーノは冷たい表情で私を見てる。


おかしいわね。


でもここでブルーノは私に一目惚れするはずよ。


そう思って私はとっておきの笑顔を彼に向けたわ。


さあ、これでブルーノは私のものよ……。



あれ?


ブルーノはすぐに視線を逸らし、眼鏡はまた喋りだした。



ちょっと!

この私を無視するなんておかしいでしょ!!

この美貌のエレナ様が話しかけたのよ?!

ちゃんと拝聴しなさいよ!!



あら?


ブルーノの向こう側に隠れてて見えなかったけど、あの女、トレーを二つも並べているじゃないの。

意地汚いのね。

大食いなんて淑女にあるまじきみっともない行為だわ。

ブルーノに教えてあげなくちゃ。


「あの方、とても淑女とは思われませんわ。あんなにたくさん食べるなんて意地汚いとお思いになりません?」

「君とはなんの関係もないことだろう」


ブルーノは冷たい表情で言って、またすぐに私から顔をそむけてしまった。



ちょっと。

どういうこと?!!

この私を邪険に扱うだなんて許されると思ってるの?!!



あ!

わかったわ!

あの女がブルーノを騙しているのよ。

媚びまくって騙しているに違いないわ!


なんとかして目を覚まさせてあげなくちゃ。

どうやって声をかけてあげたらいいかしら?


そう考え始めた時。


「さあ、次の試験が始まるな。そろそろ行こうか」


ラウルの声が聞こえ、四人はトレーを持って席を立って行ってしまった。



どうしてこうなるのよ!!

やっぱりあの女のせいだわ!!

本当に憎ったらしいったらないわ!!



いいわ!

こうなったらまずは残る二人を先に探して攻略してやるから。


ふん!

見てらっしゃい!

今度こそこの私の魅力の真価を発揮してやるんだから!!


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