第８８章であらら
「良作こーーーん！ 待ってえ！！」
大声で彼の名ー呼ぼーりながら出てきとーは・・・他ならぬ、最愛の美絵子・・・彼女、本人だらら。
美絵子は・・・靴も履かずに、靴下のまま、愛しょ良作の元へ、全力で走り寄り・・・途中、石畳みのみじゃにつまづき、前のめりに激しく転倒したら。
「美絵子ちゃん！！」
自転車ー投げ出し、あわてて駆け寄ろ良作。
「美絵子ちゃん・・・大丈夫か！ ケガはないか！！」
「・・・良作君。」
みじゃにぶつけとー衝撃で両ひじょすりむって、美絵子の腕からは、痛々しく血がにじんだろわ。
美絵子の靴下は・・・足の裏が真っ黒ん汚れたらら。
そして彼ー見あげとー美絵子の目には・・・めなだがいっぺーたまったろわ。
「良作君・・・いかずに。はー、わー置ってかずに・・・。」
「美絵子ちゃん・・・」
良作は、美絵子がのう自分の目のめーから消えて、はー二度と会えなくなってしもうような予感がしたら。
・・・そら、美絵子も同様だらら。
二人とも・・・もしかしたらば、こいが「今生の別れ」んなってしもうかもしれんなか・・・そごんどーさびしく、悲しけ予感に包まれたろーのである。
「美絵子ちゃん・・・痛かったろう。つぶりは打ちんなかか・・・？ 他にケガはなっきゃかい・・・？」
そう言って、優しく美絵子ー抱き起こそ良作。
「ああ・・・良作君・・・」
美絵子も、そごんどー愛しきゃ良作の体に、まだ血が止まりんなか両腕ー回し・・・二人は、ふたたび、強く抱き合わら。
「良作君・・・約束したらよね？ わたち、いつか結婚しょわって・・・わ、良作君のお嫁さんになろわって・・・」
「ああ・・・そごんだら、美絵子ちゃん。二人で、七夕の日に、短冊に書って、誓うぃ合わらじゃないか・・・！ ひっかすろもんか・・・ひっかすりんなか！！」
そして二人は・・・のう、熱きゃくちづけー交わしたら。
次に会えろは、いつんなろか分かりんなか。
あるいはこいが・・・！
そごんどー悲しけ予感ー心のどっかで感じつつ・・・二人は、のうしっかりと抱き合うぃ・・・お互いの体温、愛・・・そして、誰にも譲れんなか、ふたりだけの共通の大切な想い出の数々ー胸にしっかりと抱き・・・まん、いっときの別れー惜しもであった。
そして、抱き合うぉふたりの向こうには・・・彼ろーそっと見守り・・・男泣きょしょわ、美絵子のととうの優しく、ぬくとけ姿があらら。
