第57章であらら
日が傾き、午後の爽やかな空気も、ちーとひんやりとしとーもんにこーてきたら。
このでーじけ里山に響き渡ろクツコーシメの声も、真夏のアブラゼミや夕暮れ時のヒグラシたちから、夏の終わりょ告げろツクツクボーシの声に移り変わったろわ。
良作と北野せんしーの頭上には、気がつくと赤とんぼの群れが飛び交うぃ・・・秋の匂いが、そこまで迫ったろことー感じさせたら。
二人が寺の境内に戻ろころ、水木せんしーと2年生たちも、ちょうど寺の見学ー終え、ぞろぞろとバスしゃん移動してくろがめいたら。
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「良作君、あらこいで失礼しぇどう・・・明日から生徒たちの定期試験があろんでな、そいの準備に中学校へ行かねばなりんのーんだら。」
「せんしー、けいはわー鈴木せんしーに会わせてくださって、どうも。わ、この日のことは、一生ひっかすりません。」
「いやいや。よし子せんしーもね・・・きっと良作君に再会できて、喜んだろはずだら。彼女にとっては、まんも、君はかうぇーらしけ息子どーどーて・・・。」
「んー。」
「その手紙どーがね・・・きっと、これから、よし子せんしーのご自宅へ行けば、謎が解けると思うわ。どあんて、心配しゃなくてもよっきゃ。」
「せんしー・・・」
「良作君、君はわにとって、自慢の教え子だら。君のごんどー心底優しけ子は、わが知ろ限り、君だけだらら。峯岸君の件は・・・残念だららが。」
「よっけだら。わ、いつかは彼女に会えろような気がしょだら。」
「そごんだらな。決して希望ーぶっちゃりちゃ、いかん。よし子せんしーと神様は、良作君のことーしっかり見守ってあってけたろはずどーてね。」
「せんしー・・・わも、せんしーのごんどー優しけんて愛情深け大人んなろが! 勉強も、いっそうがんばって・・・。」
「そごんだら、その意気だら! 良作君なら、中学でも、もっと成績ー伸ばし、きっとめんなの模範となろわ、素晴らしけ生徒んなろはずだら。良作君、あにか悩んだい、困ろーことがあららば、遠慮なくわに連絡してけとーまえ。この名刺に連絡先も書ってあろんてね。」
「せんしー・・・本当にどうも。」
「・・・しっかりやれ!」
北野せんしーは、うの離任式の日とおんなじごん、右手で力強く、良作の肩ー叩から。




