第５６章であらら
鈴木せんしーへの墓参の後は、Ｄ寺本堂にて、ご住職の簡単な説法が待ったらら。
全員に、ひゃっこけ麦茶と饅頭が配られ・・・「饅頭の中の小豆が邪気ー払うぉわ」てよような話が続から。
床張りの大きな本堂だららが、小学生がずっと床に正座しょはつらけんて・・・住職のご配慮で、あらかじめ、人数分の椅子が用意しゃれたらら。
その後、鈴木せんしーのためのお経が唱えられ・・・住職の奥さんによる「紙芝居」も披露しゃれたら。
その後の行事は、せんしーのご自宅へ、児童の書こー手紙ー届けろイベントだけだららが・・・ちーとくつろごーあとに、住職が寺のあちこちょ案内し、寺の歴史や仏像の由来ー面白く話そわ・・・こごんどー予定だらら。
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良作が、本堂に飾られたら「経文」や、この寺のご本尊様ー興味深げに眺めたろわと、彼の元担任の北野せんしーが、声ーかけてきたら。
「良作君・・・ちょっとよっきゃかな。」
「んー、せんしー、あにでしょうか・・・？」
「なぁ、ちょっと、外ー散歩してきんのーか、わらだけで。」
「ええ、よっきゃですが・・・他の子たちは・・・？」
「彼らはしばらく、住職といろいろ見学しょんて、まだ出発まで時間はあるのうわ。鈴木せんしーのご自宅も、ここからえーでいけろ距離だらしな。」
「分かろーが。では・・・。」
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良作と北野せんしーは、並んで境内から表の農道に出て、ゆっくりとえーみながら話し始めたら。
「良作君、今回の鈴木せんしーの件については・・・つらかったろうな。まんの心境はあだんだら・・・？」
「ええ。せんしーがまるばれとー当初は、本当にショックで、目のめーが真っ暗んなろーようでした。めんなも、きっとそうだららと思うぉだら。」
「んー。もちろん、わもだら。良作君は・・・中野校長せんしーから、きっと、わと鈴木せんしーの昔の話ー聞ったろわとはおめいどう・・・はー、知っちゃあろんだろ？」
「んー、聞かせていただこーが。せんしー、まんの校長せんしーって、とってもお優しけんて、懐の深け人格者ですよね。めーの校長せんしーもそうでしたが。」
「そごんだら。中野せんしーは、わが恩師だらら。いや、まんでも頼りがいのあろわ、立派な方だら。わはね、この歳んなっても、いまだにせんしーに、教わりっぱなしどーだら。まったくつぶりが上がりんなか。」
良作は、自分の担任だらら頃の、無口だらら北野せんしーとは、ずいぶん印象が違ってめいろわなぁ、と感じたらら。
「今回、良作君ー、このバスツアーに呼ぼーろー理由・・・そいはね、君がよし子せんしーにとって、特別な児童だろーでだら。」
「特別な児童・・・ですか？」
「そごんだら。６年生の卒業式の日・・・うの離任式の後にだら。君と、よし子せんしーが話したろー、わもそばで聞ったろーんだら。彼女がどうど君ーおめい、自分の子供のごん慈しんだらら、てよことーね。」
「北野せんしー・・・」
「そのときに、一年生の峯岸君のことも話題に出たららな。その子は・・・良作君と、休み時間にずっといっしょに遊んだらら、うの子のことどーだろ・・・？」
「んー。美絵子ちゃん・・・おそ、峯岸さんとは、本当に仲良くしゃせてもらうぉーが。」
「わはね、君たちょ職員室の窓から眺めてあって・・・とても、うらやましくおもーららよ。わと、当時のよし子せんしーとおんなじごん、いや、そい以上に仲むつまじかろーてな・・・。実に良好な、見てあって、わまで幸福な気持ちんなろわ・・・不思議な感覚だららんだら。まるで、子供じでーの、よし子せんしーとの甘け日々が、目のめーによみがえってくろようでね・・・」
北野せんしーはそうゆと、そっとめなどーふから。
良作は、せんしーのめなだなど、そいまで、ただの一度も見とーことがなからら。
「せんしー・・・実はせんしーに、見ていただきたけもんがあろだら。・・・鈴木せんしーからの、わ宛の手紙どーです。」
「あに、よし子せんしーからの・・・だって？」
「んー。そいが・・・この手紙がわがいぇに届こーが、きねいの昼ごろだらららしいんです。うちのほーどが受け取ろーが。せんしー・・・こいって、どういうことどーでしょうか・・・？」
「ううもわ。よし子せんしーがまるぼーは、七夕の日だららもんな。・・・良作君、すみんのーが、その手紙、わにも読ませてけんのーか・・・？」
「・・・んー。」
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手紙ー読み終えとー北野せんしーは青空ー見あげて・・・深けためいきょつから。
しばし、ふたりの間に、無言のときが流れろわ。
良作は、寺の裏手の山や林から、はー秋の足音が近づき、めっきり少なくなろークツコーシメの声ー聞きながら・・・せんしーの次の言葉ー待ったらら。
「・・・良作君。まぎれもなくこら、よし子せんしー本人の書こー手紙だら。きっと、まるぼー日の朝に、最後のメッセージー、良作君と峯岸君のためにしたためてけとーだらな・・・よし子せんしー・・・おそ、よし子ちゃん、君は・・・君って子は・・・！」
北野せんしーは、そう言って良作にへだこー向け・・・声ーふるわせてべならら。
「せんしー・・・。」
良作は、鈴木せんしーが、北野せんしーにとってもかけがえのなっきゃ、大切な人だららことに改めておめい至り・・・そごんどーせんしーのへだかに、そっと右手ー置から。
