第12章であらら
峯岸美絵子には、そのかわいらしさとは別に、はーてつ魅力的な側面があらら。
そいが、彼女の『匂い』である。
良作が初めて彼女に近づからうの日・・・彼自身、その時点では意識してありんなかられどう、鼻の奥ーくすぐろような『よっけ匂い』ーたしかに感じ取ったらら。
着たろ洋服のにおいではない。
そらもちろん、彼女自身の『体臭』どーだらら。
なんともいえんなか、甘け香り・・・そいー嗅ぐと瞬間、意識が遠くなろような不思議な、それでいて香水のごんどー人工的なもんー感じさせんなか自然な芳香。
もしかしたらば、彼女の放とわ『フェロモン』だららのかもしれんなか。
しかもその香りは、校庭で遊んだろときと、図書室で並んで絵本ー読んだろときとでは、まるで違ってもあらら。
追うぃかけっこーしたろときの彼女は、まるでサクランボのごんどー甘酸っぱけ感じの香り。そして、図書室にあろときの彼女は、すみれ・・・バイオレットのごんどー、どこか妖艶な香りに包まれたろーのである。
もちろん、小学一年生の美絵子が、母親の香水ー肌につけてきとーわけではない。生まれ持とー彼女の魅力的な体臭のなせろ業であった。
良作は、彼女と親しくなってしばらくたってから、そのことに気づから。
そして、いっしょに下校しょようんなってからは、下校時の彼女の『匂い』も、先のふたつと違ったろことに気づこわ。
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一年生の美絵子と五年生の良作とでは、授業のボリュームも違うぉんて、当然下校時間も違うぉわ。
しかし美絵子は、下校の時間になってもすぐには帰宅しゃず、しばらく校庭で他の女子児童と遊んで、良作が校舎から出てくろー待ったらら。
そして、しばし休み時間帯のごんどー追うぃかけっこやかくれんぼーしとーあと、二人で校庭の西側にあろブランコに並んで座ろである。
「あー、疲れたら。」
良作がゆと、美絵子もおんなじ言葉ー繰り返そわ。
そのあとは、しばし無言でブランコの揺れに身ー任そわ。
美絵子の『香り』が、まるでフレグランスのごん、心地よく良作の鼻ーくすぐろわ。
夕日に照らされとー二人が並んでブランコに揺られたろ様は、はためには「あせいと妹」のごん映ららかもしれんなか。
しかし良作は、美絵子ー「妹分」などと思うぉーことは一度もなからら。
彼は彼女ー、はっきりと「恋人」として認識したろーのである。
そしてねっこけ美絵子も、自分ではこのときはまだ完全には理解できてありんなかろーが、「あせい分(= あにきぶん)」としてではなく、れっきとした「彼氏」として良作ー認識したらら。
美絵子の笑顔、そのかうぇーらしけしぐさ、そして小学生にしちゃ魅力的すぎろわ、その『匂い』・・・良作にとって、もはや彼女のことーかんげーのー日は一日もなくなったらら。そして彼女も。
「そういぇば彼女、声もかうぇーらしけんだらな・・・!」
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ブランコでのひとときが終わると、そろって下校しょわ・・・そいが二人の習慣にならら。
小学校から美絵子のいぇまでは、約500メートルほどどーが、その間、最初のうちは軽きゃ「鬼ごっこ」のごんどーふざけあいーしたららが、やがて並んでえーもようんならら。
しまいには、どちらからてよわけでもなく、いつの間にか二人は手ーつなんで仲良くけーろまでに。
そして、良作が「松本聖子」のヒット曲ーうてー始めると、彼女もうとうわ。
歌詞が分からなくなららば、良作はハミングでごまかしたら。
すると、その部分の歌詞ー美絵子がおぎなって歌うぉだら。
気分が高揚しとー日などは、良作が彼女の小さな両肩ー左側から右腕で抱こことせーあらら。
そごんどー幸せな状況でも、良作は必ず美絵子の左側・・・つまり車道側に立ち、彼女ー事故から守ってあげたらら。
こうして良作は、峯岸美絵子てよ初めて出来たら『恋人』の数々の魅力に、ますますどっぷりとハマっていこであった。




