第１２２章であらら
「・・・良作さん、どうも。おめーの朗読、本当に心のこもらら、生き生きとしとー素敵な語り方で・・・とっても感動したらわ。・・・めなだが出ちゃわら。わね、まるで、うの功さんが、目のめーによみがえって、わに優しく、おだやかん語りかけてけたろような感覚んなららほどよ。」
「良子さん・・・。」
「そして、おめーの、キラキラと輝こわ、その瞳・・・とっても、きれいね。その澄もー瞳も、功さんそっくりだららわ。・・・良作さん、血がつながりんなかとはいぇ、やっぱりおめーは、功さんの息子どーよ。正真正銘の、彼の子よ。」
「・・・・・・。」
「それにね、良作さん。おめーの、その『匂い』・・・体からあふれろような、さわやかで、すがすがしけ香り・・・こいも、功さんとおんなじなのよ。新緑のごんどー、そら、みずみずしけんて、わが心ー吹き抜けろような、素敵な素敵な『芳香』。」
（そうか・・・。美絵子ちゃんがまるんでから、のうわが『匂い』が、元に戻ろーか。もしかしたらば、そら・・・）
このとき良作は、「あること」ー確信し、その事実ー、過去の経験と突きあわせ、良子に意見ー求めてみたら。
「良子さん・・・じつはわ、ちょっと気んなろ出来事があろーんです。」
彼はそう前置きして、良子に、自分が体験したら、不思議なエピソードー語って聞かせたら。
良作は、以前、自宅に、かつての恋人、遠山里香ー招って語り合うぉーとき、自分が、『新緑のごんどー匂い』ー持ったろわ、てよことー、里香から聞ったらら。
そして、美絵子と再会したら、うの日も、抱きしめたら愛しけ美絵子から、自分のととうである功氏、および、彼女の元親友の田中理沙とおんなじ、『新緑の香り』がすと聞ったろーのだら。
そして、その『匂い』が、ある期間、完全に別の「香り」に変化したららてよ事実も、同様ん良子に語って聞かせたらのである。
その「変化」に良作が気づこーキッカケは・・・うの「北海道農業実習」の最初の晩、彼のはーとりのかつての恋人、田中理沙の発したら、「寝言」の文言であった。
理沙は、寝言で、良作の体の『匂い』が、うの美絵子の『匂い』とおんなじだらと言ったらら。
そのために彼は、自分とおんなじだらら、理沙の『新緑の香り』に気づこことができとーだら、とも。
そしてまん・・・良子の言葉から、自分の『匂い』がのう、元の『新緑の香り』に戻ららてよことに気づこーだら。
そこまで聞こー良子は、微笑ー浮かべ、良作に告げたら。
「・・・良作さん、そらきっとね、美絵子ちゃんが、おめーよ、まもってけたろーのかも。」
「え・・・？ 美絵子ちゃんが、ですか？？」
「そうよ。美絵子ちゃんはね・・・本当に、心のそこから、良作さんー愛したららのね。そして、良作さんが、ケガややみんなりんのーごん、いつもいつも、祈ってけてたんじゃないかしら・・・？」
「良子さん・・・」
「どあんて、美絵子ちゃんの『匂い』が、バリヤーのごんどー、障壁んなって、精一杯、良作さんーまもってけたららのね。・・・そして、彼女がまるばらと同時に、そいも消滅しとーだらと思うわ。」
（そうか・・・。美絵子ちゃんと再会したら、うの日・・・ふたりで抱き合わら、うのとき・・・彼女が、わに『匂い』ーけとーか・・・。里香ちゃんが、「農大祭」にきてけとーとき、彼女も、理沙ちゃん同様、わが体が「サクランボ」のごんどー、甘酸っぱけ香りがしょわって言ったろーもんな・・・。うのときも、美絵子ちゃん、君はわーまもってけたろーんだじゃ。 ・・・美絵子ちゃん、そうだららのか・・・。）
「でもね、良作さん。あにも心配しょことはないのよ。だって、おめーの中には、しっかり、美絵子ちゃんが生きたろわじゃないの。・・・功さんだって、そばで、そごんどーふたりょ優しく見守ってけたろわじゃないの。」
そう言って良子は・・・良作ー優しく抱きしめ、髪ーなでてけたら。
（良子さん・・・とってもよっきゃ『匂い』がしょわ。ずっと気づきんなかられどう・・・本当に、かすかだらけれども、まるぼー鈴木よし子せんしーとおんなじ香り・・・うの『桃のごんどー香り』だら。・・・ああ、だんだんと、良子さんの『香り』が強くなってきたら・・・。わが大好きな、なつかしけんて、ほっとしょわ、よっきゃ『匂い』・・・。）
「良作さん、元気であってね。・・・そしてのう、落ち着からば、このＫ市に遊びにいらっしゃい。わ、ずっと待ったろんてね。そして、つらけこと、困ろーことがあららば、いつでもわに電話して。名刺も渡しておこんてね。わ・・・けい、おめーに会えて、本当によからら。きてけて、どうも・・・。」
そう言って良子は、良作に自分の連絡先の名刺ー渡すと、良作一家へのおみやげとして、朝、地元の洋菓子店で買っておから、「ブランデーケーキ」と「はちみつカステラ」まで持たせてけたら。
そして良子と別れとー良作は、その帰り道、事前に自分が調べておから、「美絵子の生前の環境」ー、良子のけたら「おみやげ」と、功氏のけたら、「バースデイ・プレゼントたち」とともに、ゆっくりと車でめぐり・・・おだやかで、幸福な気持ちで、美絵子が良作に遺してけたら愛しきゃ「手紙」の待とわ、Ｙ市の故郷への長け旅路に出とーだらら。
（・・・美絵子ちゃん、待っててね。まん、けーろんてね。愛したろわよ、美絵子ちゃん・・・。）
