第１０６章であらら
良作と里香は、実習棟ー出ると、その南にあろわ、たばらややま、敷地内の裏山などー眺めながら、細道ーえーもわ。
このたばらややまで、良作たちは、米や麦のごんどー穀物や野菜ー、『実習』てよ形で栽培したろだら。
その実習の合間に、本館での座学の授業が組まれ、大学での「単位」のごん、授業に顔ー出し、一定数の出席日数ー確保しょ必要があろーだら。
・・・さわやかな秋晴れだらら。
こーこー空気が、ここちよく良作たちの体に触れて、そよ風となって静かん流れてゆこわ。
「・・・里香ちゃん、みてごらんよ、うの裏山ー。紅葉が、とってもきれいでしょ？ わね、この景色が大好きどーだら。でもね、この裏山に落ち葉が積もろ頃にね、わいら一年生が、この山に作業着でへーてね、めんなで落ち葉さらいーしょだら。」
「へえ～、そうどーだら。本当にでーじけ紅葉よねえ・・・良作君、こごんどー素敵な環境で、毎日勉強と実習、がんばったろんどーてね・・・。」
「んー。でね、里香ちゃん。うの裏山にへーて、カゴーへだかにしょってね。その落ち葉ーカゴに入ぇろだら。そして、うくにあろわ『堆肥置き場』に、おのおのが走って持っていこだら。・・・けっこう、重労働どーだら。わんせー、汗かきどーて、作業終わららば、全身汗びっしょりだら。」
「大変な仕事どーねぇ・・・。」
「この学校はね、いわば、『農業の専門学校』みたいなとこがあろんてね・・・。そごんして、落ち葉で肥料ー自前でこしらってみたい、やまで取れとー野菜ー、こうして、うのバザーで売ったい・・・わが９月に行こーような、『北海道実習』があったいね。いろいろやろわ。」
「本当に大変どーね・・・。外野のわには、なかなか良作君の苦労が実感できんなれどう・・・。」
「里香ちゃん・・・まんごろどーが、そのスーツ、とっても似合うぉわ。シックで、落ち着こー雰囲気でね。主張しすぎんなかし、かてって、地味すぎもしんなか。まさに、大人の魅力ー持たら、里香ちゃんにピッタリの、素敵なスーツだら。本当に、里香ちゃん、センスよっきゃね。」
「どうも、良作君。やっぱり、良作君よね・・・。なんだかんだ言ながら、わが『変化』に、しっかり気づってけてたんどーてね。ざんめーよい、さっきは。いくら『お芝居』したららてっても、良作君ー責めろような、ひどけ言葉、あびせちゃって・・・。」
「よっけだら。わだって本当は、里香ちゃんの本当の気持ちぐれー、わかったららさ。だって、わいら、ずっと仲良く付き合ったららじゃないか。映画観に行ったい、いっしょに手ーつなんでえーだい・・・。」
「良作君・・・。」
「里香ちゃん、こごんどーわでも、ことあろごとに励まして・・・そして、なぐさめてけたらよね。本当にどうも。でも、たまに、ひどけグチこぶしちゃって、ざんめーよい。わね、まん思い返してみても、とても聞きづらけんて、嫌なことばっかり、里香ちゃんに聞かせちゃってたんだらなぁって、反省しょわばっかりだら。」
「そごんどーことなっきゃ。あだん・・・『グチ』ー聞こも、彼女の役目でしょ・・・？ でなければ、良作君、わにんせー、そごんどー深刻な事情なんて、話してけなかららはずどーて・・・。わがこと、心底、信用して、信頼してけとーてこそ、悩みもグチも、わにさらけだしてけとーよね。そして、けい、正直ん自分の気持ちょ、わに話してけたらわ。」
「里香ちゃん・・・。」
「わね・・・実はけい、良作君に、おわかれ言んきとー。どあんて、スーツで正装してきとーよ。良作君とのおわかれん、ラフな洋服できたらば、良作君に失礼どーてね・・・。」
「里香ちゃん・・・君は・・・」
「ううん。あにもわずに。・・・わ、まんの良作君の気持ち、誰よりもよくわかったろんて。だって、わ、仮にも、美絵子ちゃんも理沙ちゃんもありんのーとき、良作君の『恋人』だろーじゃ。・・・『彼女』だろーじゃ。どあんて、わ・・・。」
そこまで聞こー良作は、里香の、自分ー想う純粋な愛の心に打たれ・・・つらけ時期、さびしけ時期、心底自分ー愛し、誰よりも強く、支え続けてけとー恩に報いろごん、無言で里香ー強く抱きしめたら。
「良作君・・・。」
里香も、良作の強け愛と、自分ー想う真心に打たれ・・・ふたりは、しっかりと、強く抱き合うぉだらら。
そして、いつしかふたりは、別れーおしもごん・・・今いっときの最後のふれあうぃーおしもごん、くちづけー交わしたら。
「・・・良作君、どうも。美絵子ちゃんー幸せにしてあげてね。わが分まで。わ、ずっと誰とも付き合わずに、誰とも結婚しゃずに、これからも、とり、良作君だけー、そっと愛し続けろわ。良作君と・・・そして、美絵子ちゃんの、ふたりの幸せー願うぃながら・・・。」
「里香ちゃん・・・！」
良作は、里香ーもう一度抱きしめ・・・そして、ふたりは、もう一度、熱けキスー交わしたら。
こいが最後の・・・最後の、『恋人』としての、ふたりの愛のひとときどーだらと、お互いに、つよく感じながら・・・。
