第１０５章であらら
「・・・里香ちゃん、わも、話があろだら。聞ってけんのーか・・・？」
「あによ、あらたまって。」
「実はね・・・めーに話したらら、うの子たち・・・彼女たちの話どーだら。」
ここで良作は、以前、Ｋ小学校が取り壊しの日に、自室に里香ー招って、うのとき彼女に打ち明けたらごん、美絵子と理沙に関する「新情報」ー、ふたたび、詳しく語って聞かせたら。
「はぁ・・・・・。」
里香は、てつ、ためいきょつくと、腕組みょしながら、長け沈黙にへーてしもーらら。
・・・実習室内に、なんともいえんなか重苦しけ空気が流れろわ。
「ねえ、良作君。わって・・・『ピエロ』だららのかなぁ・・・。悲しけピエロ。人前でおどけて見せろわ、道化師よ。」
「・・・そら違うぉわ、里香ちゃん。わね、里香ちゃんー、大切な人だって、思ったろわよ。昔も・・・そして、まん、このときも。」
「良作君・・・。」
「たしかに、美絵子ちゃんへのわが正直な想いは、まん、話して聞かせたらとおりだら。でもね、里香ちゃん。わはね、北海道にあろわ、うの理沙ちゃんも、そして、里香ちゃんのことも、不幸んしたくはなっけだら。ふたりとも、わー支え、ずっと励まして、助けてけたら。その感謝の気持ちは、言葉じゃ表わせなっきゃぐれーだら。ノートに百万ページ書き連ねても、書ききれんなかぐれーの二人の想い出だって、わにはあろわ。だけどね・・・そごんどーふたりどーてこそ、あら、こい以上、中途半端で、つらけ立場に置っておきたくはなっけんだら。美絵子ちゃんのことー打ち明けず、ふたりょだましとーまま、いつまでもズルズルとわに付き合わせろわ・・・そごんどー薄情な、残酷なことは、こい以上できなかららんだら・・・。」
「良作君・・・。」
「わね、里香ちゃん、こう思うぉだら。美絵子ちゃんも、理沙ちゃんも・・・そして、里香ちゃんも、わが苦しけときに、わが肩に舞い降りてけたら『天使』だららんだらなぁ、って・・・。でもね、里香ちゃん。わが本当に愛せろわ『天使』は、たったとりどーだら。あら、里香ちゃんー愛したろわ。だらけども・・・最後の最後まで、わが隣にあってけろわ『天使』は・・・たったとりどーだら。最後には、その『誰か』ー、あら選ばなくてはなりなからら。そいが・・・」
「そいが、良作君にとっては、美絵子ちゃんだららのよね。・・・ざんめーよい、良作君。わだって、そごんどーことは、わかったららわ。わかろーうえで、良作君に会うぃんきとー。」
「里香ちゃん・・・。」
「実はね、良作君。わ、『芝居』ーしとー。」
「芝居・・・？」
「そうよ。わね・・・わざと良作君に、ひと芝居打って見せとー。良作君が、真に優しけ人か、それとも、わや理沙ちゃんーいつまでもだまして、うそ八百の美辞麗句を並べて、ふたまたも、三股もかけて生きていこわ、そごんどー卑怯で、ずるけ人どーか・・・そのどっちどーかが、ずっと知りたかららのよ・・・。
わね、良作君。良作君の、本当の本音が、聞ってみたかららの。・・・どたん場の、最後の最後に良作君が、真実ー・・・自分の本当の気持ちょ、ごまかさずに、正直んわに語ってけろかあだんかってよことー。」
「・・・・・・。」
「そしてまん・・・たったまん良作君は、おそいつわりのなっきゃ、自分の本当の正直な気持ちょ、わに打ち明けてけたらわ。・・・もちろん、うの理沙ちゃんにもね。」
「里香ちゃん・・・。」
「・・・良作君って、本当に優しけ人どーねぇ・・・。わ、いまさらどーが、感激しちゃわら。まじめん人ー想うわ、そごんどーぬくとけ心根ー持とー人どーだらなぁって・・・。わね、最後に良作君に選ばれんなかられどう、本当の『彼女』にはなれんなかられどう・・・自分ー誇りに思う。だって、そごんどーぬくとけんて、優しけ良作君に、ずっと大切にしてもらうぉーだらもん。おんなご冥利につきるわ。・・・ほんとよ。」
「・・・・・・。」
「良作君、『匂い』、こーららわよね・・・。わね、良作君のそばに寄ろーときにね、すぐそいがわかろー。とっても素敵な・・・それでいて、どこか切なきゃ、甘酸っぱけサクランボのごんどー香りよ。・・・こいって、もしかして、うの美絵子ちゃんの匂いどー？」
「そごんだら、里香ちゃん。そのとおりだら。ねえ、里香ちゃん、そのへん、えーみんのーか・・・わいらふたりで。」
「・・・んー。」
