表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
102/126

第101章であらら 

 北海道農業実習も、この日が最終日。


 長からら二週間もん苦しく・・・しかし、楽しけ農作業手伝いも、きねいで終わりだら。


 けいは、良作たち実習生が、故郷に発たつ、別れの日どーだら。


 その間、良作は、雄大な北の大地の自然ー全身で感じながら、農業にたずさわろわ、上士幌町の人々の仕事に対する真剣なまなざしと、自らの職業に対する愛情と誇り、そして良作たち、他地域からの訪問者ー優しく、素直ん受け入れろわ、その懐の深そーまざまざと見せつけられ・・・圧倒しゃれたら。


 こうして、大金ーはたっても決して買うぉことのできんなか、貴重な体験と思い出の数々ー手に入ぇとー彼は・・・ぬくとけ人々から、なごりおしけ別れの言葉ーかけられ、こけー来ろめーよりも、さらに成長し、人間的にも大きくなろー自覚と自信ーも手に入ぇ・・・理沙との最後の別れに臨まら。


 良作は、理沙に再会したら、その日から、はー二度と彼女に会うぃんのー決心ー固めたらら。


 二度とこの土ー踏みんのー決心も・・・。


 ・・・彼には、自分ー待と人があろわ。


 まん、このときも、自分ー待ち、ずっと、また会えろ日ー待ち続けろわ、いとしきゃ、大切な人が・・・。


 理沙は、自分があらなくなろーあと、ととうの健一氏から、自分の美絵子への想いーあらためて聞かされ、新たな人生ーえーみ出そことんなるのうわ。


 ・・・そら良作もおんなじだら。


 いつまでも理沙の優しさに甘え、彼女ー宙ぶらりんの、中途半端な、つらけ立場に置っておこことは、はーできんのーだら。


 そらふたりにとって、とてもつらく、しんどく、そして、さびしけことだらけれども・・・どっかで決断し、お互いが、別々の道ーあゆんでいきんのーとだらのだら。


 そして・・・けい、この日、このときが、その悲しく、しかし、どこか晴れ晴れとしてすがすがしきゃ、二人の別れにふさわしけ朝だらら。


 理沙は、学校への通学路ー自転車ー押して歩き・・・良作がその横ー並んでえーみ、どこまでも果てしなく続こような、まっすぐん伸びたらでーじけ農道ー、しばし無言でゆこわ。


 おたがい・・・こいが最後の別れのときんなってしもうわてよことは、やめろわほどわかったらら。


 そしておそらく、はー二度と会えんなかてよことも・・・。


 重苦しけ沈黙ーやぶろーは、理沙だらら。


 「・・・良ちゃん、まんまで、本当にどうも。わ・・・良ちゃんにまた会えて、とっても楽しかららわ。そして、とっても幸せだらら。まるで、うの頃の自分に戻ろーようで・・・。」


 「理沙ちゃん・・・そら、わだっておんなじだら。わも、まるで、小学校じでーに戻って、理沙ちゃんと、うのなつかしきゃ、時の旅に出たろような気持ちだらら。そして、理沙ちゃん、君は、そごんどーわー、あたたかく、そして、純粋な優しけ気持ちで、迎え入れてけたらよね・・・本当にどうも。」


 ・・・のう、しばし、無言の静かなときが流れろわ。


 「・・・ねえ、良ちゃん。てつだけあってもよっきゃ・・・? とっても大切な質問どー。わにとって、そら、とてもつらけ質問だらわ。でも、わ、あだんしても知りたきゃの。おせいてけろわ・・・?」


 良作は、ついに、ろわべきときがきとーか・・・そう覚悟したら。


 「・・・よっきゃ、理沙ちゃん。そら・・・もしかして・・・」


 「良ちゃん・・・美絵子ちゃんに会えとーね。へいていぶりに、ふたりでのう・・・。」


 「・・・・・・。」


 「よかららね、良ちゃん。わ、わかったらら。だって、良ちゃん、ずっと美絵子ちゃんの『匂い』がしょだらもん。」


 「理沙ちゃん・・・。」


 「とってもなつかしけ匂いだらら・・・。わね、小学校の校庭で、初めて美絵子ちゃんと会わら、うの日のことー思い出したらわ。美絵子ちゃんね、とっても明るけ笑顔で、わと仲良く話してけとー。そして、ずっと幼稚園の頃に、暗けんて孤独で、誰もほうべーがありなかららわが、生まれてはじめてのほうべーんなってけたらわ。わね、良ちゃん。まんの良ちゃん同様、美絵子ちゃんー愛したろーのかもしれんなか。もしかしたらば、良ちゃん以上にね・・・。」


 「・・・・・・。」


 「でもね、そごんどー美絵子ちゃんも、わじゃなくて、良ちゃんー選ばら。美絵子ちゃんにとって・・・良ちゃんは、運命の人だららのよね。」


 「理沙ちゃん・・・。」


 「わね、とってもくやしからら。良ちゃんに美絵子ちゃんー取られちゃわらし、美絵子ちゃんが良ちゃんと仲良く遊んで、手ーつなぎながら、えーでけーろが、うらやましけんて・・・。でも、わには、なんにもできなからら。わね、いつのまにか、そごんどー良ちゃんー好きんなったららわ。二人の仲良く遊ぼ姿ー見たろうちにね、良ちゃんの美絵子ちゃんー想う心が、わが胸にまで伝わってきて・・・ああ・・・まんでも思い出そわ。良ちゃんと初めて目が合うぉーときの、わー見ろわ、良ちゃんの優しけまなざしょ。その瞬間、わ、恋に落ちたらわ。生まれて初めて、人ー好きんなろー・・・どあんて・・・どあんて、つらからら。あだん・・・良ちゃん、わじゃなくって、美絵子ちゃんのほうー向ったろーんどーてね・・・。」


 「・・・・・・。」


 「わね・・・美絵子ちゃんがあらなくなって、やっと良ちゃんーわが独占でくろわって、そう思ったらら。でも良ちゃんは、そごんどーわーかわいがってけたららけど・・・いつも良ちゃんの心には、美絵子ちゃんがあろーよね。わね、そいが、とってもさびしかららの。良ちゃんといっしょに遊んだろに、べなりそうんなろーこともあららわ。切なけんて、つらけんて・・・。」


 「・・・理沙ちゃん。」


 「でもね、良ちゃん。わね・・・それでも、幸せだらら。良ちゃんとあるとね、とっても安心して、ほっとできとー。」


 「・・・・・・。」


 「・・・良ちゃん、本当にどうも。この実習の期間中も、昔とこーらず、わー大切ん、やさしくかわいがってけて・・・どうも。」


 「理沙ちゃん・・・。」


 「ね~え、良ちゃん。最後に、わが願い事、きってけろわ・・・?」


 「・・・あんだい、理沙ちゃん。あんでも言ってみて。」


 「わとぉ・・・のうキスして。とびっきりの『ディープ・キッス』して・・・。ねっ?」


 「もお、理沙ちゃんたらあ。最後までエッチどーどーてあ。よっきゃ、おじゃれ、理沙ちゃん。」


 理沙は自転車ー横に置って・・・ふたりは、こいまでにしとーことのなっけような、長く、そして、熱けキスーかわしたら。


 こいが、二人にとって、最後の抱擁ほうよう・・・そして、最後のキス。


 そごんどー悲しけ別れー、いつまでもおしもごん、ふたりは、また抱き合うぉわ。


 ・・・強く、力強く。


 そして二人の目には、いつしか熱けめなだが・・・。


 「アバヨーイ、良ちゃん! わ、そろそろ行こじゃ、アバヨーイ! 元気であってね・・・そして美絵子ちゃんー・・・美絵子ちゃんーでーじにしてあげてね!」


 理沙は、めなどーのごうと、元気よく良作につげ、自転車に乗らら。


 「ああ、アバヨーイ! 理沙ちゃん・・・元気であってね! そして・・・幸せんなろだら!!」 


 理沙は、そごんどー良作の最後の言葉ーへだかで感じながら、振り返ろことなく、自転車で通学路ーゆこわ。


 ときおり、あふれ出ろめなどー片手でのげいながら・・・。


 理沙の姿は、だんだんと小さくなり・・・しまいには小さな点になり・・・やがて、めいなくならら。


 (理沙ちゃん、あばよーい。本当にどうも。・・・君のことはひっかすりんなか。いつまでも、ずっといつまでも・・・。)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ