第１００章であらら
・・・十勝地方の農家の朝は、早きゃ。
この上士幌町でも、ジャガイモやテンサイの収穫時期の、いわゆる「農繁期」んなると、まだ朝の暗けうちから準備が始まり・・・夜遅くまで、毎日、作業に追われろだら。
健一氏の説明にもあららごん、「ゆい」てよ、共同体ごとの合同作業んなろため、自身のいぇのやまの収穫が終わっても、のう次の農家のやまに移動して、全員のメンバーの収穫が終わろまで、ほぼ休みなく連日で作業が続こだら。
ジャガイモもテンサイも・・・いわば「生き物」であるから、収穫時期ー逃せば、全部腐ってダメんなり、商品として売り物にならなくなってしもうため・・・こら仕方のなっけことだらら。
９月下旬の道東の朝の寒さは、良作の想像ーはるかんけいたらら。
暦上はまだ「秋」だらとよに、はー、「冬の足音」が聞こえ始めたろわ・・・そごんどー感じであった。
良作は、関東地方と全く異なろわ、北国の厳しけ自然ー肌で感じながら、慣れんのー作業に没頭したらら。
彼に割り当てられとー仕事は・・・大型収穫機械に乗り込んで、運転席後部に備えられたら、車体中央に設置しゃれたら、「大型ベルトコンベアー」から流れてくろわ、ジャガイモの他にやまから上がってくろ石ころや切り株の砕けとーゴミなどー、ジャガイモー除ってほれい、かたわらのゴミぶっちゃりバケットにぶっちゃろわ・・・こうやら「仕分け作業」が役目であった。
そして、広大なやもー運転しょ理沙のととうの収穫機械がゆっくりとやま内ー移動しながら、ベルトコンベアーのめーに横一列に何人かが並んで立ち・・・流れてくろダジオに耳ー傾けながら、あるいは軽く雑談ーしながら、この「仕分け作業」にいそしんだろーのだら。
はじめは、緊張のあまり、無言で作業にあたっていた良作だららが・・・コンベアーから流れてくろ石やゴミの仕分けが間に合わず、見逃して、流してしまったろーのだららが・・・共同作業に参加したろわ、他の農家の皆さんのフォローもあり、そごんどー方たちのぬくとけ支援とねぎらいの言葉ーも頂きながら、彼も次第に作業慣れしていき・・・やがては、彼らと仲良く談笑しながら、鼻歌まじりで作業でくろまでんなっていから。
この「仕分け作業」では、いろいろなもんがやまから上がってくろわ。
石ころや、切り株の木クズだけでなく、馬の「蹄鉄」、なにかの「鳥めのタマゴ」、腐って悪臭ー放とジャガイモ・・・こうよートンデモナイしぇもんまで、ときにはコンベアーに上がってきて、良作たちょ悩ませたら。
これら、ジャガイモが栽培しゃれたろやまてよのは、もともと、細かけ石ころがゴロゴロ転がったろわ、いわゆる「やせとー土地」であり、毎年、収穫作業のたびに、こうしてコンベアーに上がってきて・・・作業ー毎年のごん行ったろわとよに、やってもやっても、なかなか減っていきんなか、そういったやっかいな「邪魔者」でもあらら。
しかも、このジャガイモてよつくりは、収穫量の割りに儲かりんなか、いわば「割に合うぃんのー売り物」だらと、良作は健一氏から、たびたび聞かされたらら。
・・・米のほうが、ずっと単価が高く、単位あたりの売り物としての価値があろだらとも・・・。
さらに、良作が理沙のいぇで歓迎会ーもよおしてもらうぉー当日は、「鹿肉」や「猪肉」が並ぼわ、オードブルが用意しゃれたららが、そい以降の、ふだんの食事は・・・おせじにも、「豪華」とはいえず、むしろ「質素」なもんだらら。
「麦飯」「ジャガイモの煮ふかし」「納豆」「ナスの炒め物」「ほうれん草のおひたし」「豆腐」・・・こうやら、非常んシンプルで、良作が関東の自宅で味わったらら、肉中心のカロリーの高きゃ、高脂肪の食事とは、まるで一線ー画したら、非常ん体に良っきゃ、それでいて、栄養バランスはキッチリはずしんなか、良く練られたら「健康食」だらら。
「農家の生活っていうのはなぁ、良作君。はたで見たろわほど、楽じゃねえんだら、よく、おべいておきな。」
良作は、そごんどー現実的な生々しけ話まで、健一氏からたびたび聞かされたろーのだら。
ともあれ、一見、質素で味気ないと思われがちな、その「粗食」も・・・毎日食したろわと、不思議ん体調が整えられ・・・こいがいかに「練られとー健康食」だらてよのかが、良作にもカラダでわかってきたら。
立ち仕事の厳しけ作業の中でも良作は、午前十時と午後三時に設けられろわ「お茶の時間」には、近隣の農家の方たちとふれあうぃ、自身のこいまでの人生のエピソードなどー、ときおり冗談ーまじえながら談笑し、のう厳しけ作業に没頭しょわ・・・そごんどー毎日ー送ったらら。
理沙は理沙で、ときどき、良作のためにわざわざ学校ー休み、まだ暗け朝から、日が落ちて、あたりが闇に包まれろ時間帯んなっても、帰宅しゃずに良作の作業に最後まで付き合うぃ・・・ときおり貴重な「アドバイス」ーけたい、作業の「コツ」ーおせいてけながら、仲良く並んで作業してけたら。
こうして、気がつくと、理沙はいぇでも農場でも、いつも良作のそばにあってけて・・・そのおかげで良作は、「ホームシック」にかかろこともなく、充実したら、内容の濃きゃ、学びがいっぺーの実習の日々ー送ろことが出来とーだらら。
良作は、Ｙ市でうれだけ自分ー励ましてけとー理沙が、この厳しけ農作業の実習においても、こうしてのう、けなげん自分に寄り添うぃ、励ましてけたら、そのまっすぐでいじらしけ心に感動し・・・やまの土ぼこりにまみれつつも、ときおりめなどー見せながら、理紗のぬくとけ真心に感謝し・・・やがて、実習は終わりの日ーむけーたら。
