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子捨て

気がつくと眠っていた。


「…」


暗い部屋。本を片手にうずくまっていた。耳を澄ますと誰もいないのか、静かだった。恐る恐るドアノブを捻ると、空いた。


「…!」


慎重に玄関へすすみ、扉を開けた。久しぶりの外の空気。本を抱きしめながら裸足で走った。暗い夜道をずっと走った。しかし、どこを走っているかわからない。


「はぁ…はぁ…」


飢えている体ではすぐに限界が来た。それでも、ひたすら走った。すると、何かに躓き盛大に転んだ。


「うぅ…」


すると、迫り来る影がいた。


「坊主。こんな夜にどこへ行く気だ?」


複数の男の人が取り囲んだ。


「…!」


「怖がらなくていい。私達と良いところへ行こうよ」


手を差し伸べられたが、なんとか押し切り逃げようとしたが、別の人に殴り飛ばされた。


「ぐぅ!」


「生意気なガキだな。でも、ここの人じゃなさそうだな」


まじまじと見られた。


「日本人か?だったら高く売れるんじゃないか?」


「男手が欲しいところなんざ、たくさんある」


男達の声が怖かった。


「クッ!」


体の中から何かが目覚めそうだったが、頭の中の言葉がそれを止めた。


絶対に叔父さんを呼んでな。


「助けて…」


日本語で小さく答えた。


「ほら日本人だ!」


男達は迫った。決死の思いで叫んだ。


「ライト叔父さん!助けて!」


次の瞬間。乾いた銃声が辺りに響いた。とっさに身を伏せたが、自分では無いことに気づいた。顔を上げると、サファイアの瞳で男達を睨みながら銃を構えている長い白髪の人が立っていた。


「あぁ…」


さっきの男達を見ると、みんな倒れていた。もう一度長い白髪の人を見た。その人は瞬きをすると、黒い瞳になりこちらを見た。


「クロ。元気しとったか?」


日本語で優しく話した。


「…!ライト叔父さん」


「叔父さんでいい。日本語話せれるのか。すごいな」


ライトはしゃがみ、クロを撫でた。


「大丈夫。もう、君を一人にしないからな」


「…うん」


ライトはクロを抱き抱えた。クロが持っている本が気になっていたが、あえて触れなかった。


「さて、とりあえず病院へ行こうか。君の怪我、綺麗にしてもらおうな」


その胸が暖かくて安心したのか、クロは眠った。


「やっぱりここの治安は最悪だな。いつ来てもどんよりしている」


ライトは街を歩き病院へ向かった。至る所に薬中だろうか、人々がうずくまっていた。病院につき、クロを診てもらってる間、ライトはクロが持っていた本を片手に電話をしていた。


「桶谷くん。悪い。明日の予定って…」


“ライト先生。明日から夏休みですよ”


「あぁ…そうだった…」


“今どこにいるんですか?”


「あ〜フランス…」


“フランス!?”


「クロを…」


桶谷は察した。


“何かあったんですね。こっちは大丈夫です。とりあえず、クロくんを見てあげてください”


「悪いな。何かあればすぐ連絡くれ。すぐ行くから」


電話を切った。ライトはクロが持っていた本をめくった。


「こんなひどい状態になるまで…ほんと申し訳ない…」


日本の童謡が複数書かれている本だった。血と汗と涙で全ページ汚れていた。すると、叫び声が聞こえた。


「困ります!」


女性の声が響いた。ライトは急いで向かうと看護師の静止を振り切ってクロの入院部屋に入って行った姉夫婦がいた。


「アラ、ライト。ナンデココニ?」


片言の日本語でライトに話しかけた。


「お前たち!子供であるクロに何をしているんだ!」


ライトは怒鳴った。


「何って躾に決まっているでしょう。クロは何をやっても遅い。勉強もろくにできない。マナーの覚えも悪い。だから躾しただけだ」


夫が話した。


「ふざけるな!あんたたちは、クロを殺す気か!」


怒りで震えた。


「ダッテ、ナンニモデキナイコイラナイ」


姉の方はふんぞり返っていた。


「あんたの方こそ何にもできてないだろ!日本語いまだに片言じゃないか!恥ずかしくないのか!」


姉は顔を赤くし、フランス語で反論した。


「いいでしょ!通じてるんだし。フランス語ならできるわよ!」


「でもさ、クロ…いるか?」


姉の夫は姉にそう言った。


「一人息子…」


「でもさ、不出来な子を育てるのめんどくさくないか?俺たちのストレスが溜まるだけだぜ。いっそクロを手放して、俺ら夫婦で過ごそうぜ?」


姉は考えた。


「それも良いわね。じゃぁ…」


姉はライトを見た。


「クロあげるわ。でも、約束の物はちょうだい。大丈夫すぐに使わないわ」


ライトは頭の血管が切れそうになったが、スーツの胸ポケットから薄い手帳を取り姉夫婦に投げ、睨んだ。姉夫婦は満足そうに笑った。


「ありがとう。じゃ、クロよろしく」


姉夫婦は出て行った。


「あぁ…申し訳ない。親族のトラブルでして…」


ライトはフランス語で看護師に謝った。


「いえいえ。その…」


看護師はクロを見た。


「うちではもうやれることは終わったので、帰って良いと…」


「わかりました。では、連れて帰ります。ありがとうございました」


クロが寝ているベットへ近づくと、クロが起きた。


「大丈夫か?クロ」


ライトは日本語で話しかけた。


「叔父さん…俺…どうなるの?」


クロの頭を優しく撫でた。


「クロは心配しなくていい。これから一緒に生活していこうな」


クロを抱き抱えた。


「さて、久しぶりに帰ろう」


ライトは指を鳴らすとクロと一緒に消えた。


作者「笑点にTHE ALFEE出てたらしいですよ!」

ライト「まじ!?」

作者「うちテレビないから見れませんでした泣」

ライト「それは残念。見たかったね」

作者「実家が録画してることを祈ろう…」

ライト「だな」

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