来世の覚悟
ライトはずっとあくびをしていた。今日は龍の報告会。
「夜遊びかい?」
金田は呆れていた。
「だって、シルビアとの時間が恋しいもん」
「わからなくはないが、少しは体を心配しろ」
広いホールへ行くと、もう集まっていた。ライトは一番後ろの席に行こうとした。
「コラ!毎度毎度するな!」
金田はライトの首根っこを掴み引きずり、席に無理やり座らせた。
「では、只今より開催します。その前に、皆様にお詫びを言わせていただきたい。前回の報告会の後、谷川の部下がこの報告会に紛れ込んでいました。その件に関しては、私とライトさんと小路さんで解決しました。しかし、一度こうなってしまうと我々の貴重な記録を悪用したり、あるいは犠牲者が出るかもしれません。なので今回いつもと違う時期に報告会を開く形になってしまった事をお詫びいたします」
金田は謝った。
「それでは、始めさせていただきます。最初はライトさん」
ライトはびっくりした。そのまま有無を言わさずマイクを渡した。
「ライトです。三日月龍のことですが、少し生態についてわかったことがあるので報告させていただきます。まず、彼らは夜にしか見ることができない龍なのはご存知だと思いますが、それには理由がありました。彼らは太陽の光を浴びると死んでしまいます。そして、彼らは上空で子供を産むそうです」
その言葉に皆が驚いた。
「ライトさん。それはどう言うことでしょうか。龍って基本卵からですよね?」
「憶測ですが、人と同じだと思います」
ざわついた。
「そして、彼らは傷の回復も早い。実は、この前闇の帝王が一匹の三日月龍を襲いました」
皆が驚いた。
「群れの三日月龍は目視では大丈夫でした。襲われた三日月龍も生きていました。深い傷を負っていたにもかかわらず、次の日には回復していました」
真剣に聞いていた。
「とりあえずここまでかな。またわかったら報告します」
ライトは座った。
「ありがとうございます。では次は…」
報告会はいつも通り進んでいった。
「では、お昼にしましょうか」
金田は横を振り向くと、ライトは爆睡していた。金田はライトを起こした。
「おいライト!起きろ!死ぬぞ!」
激しめにバシバシと叩いた。
「んぁ…?」
机が涎で濡れていた。
「お前な…」
「え?今何?」
「もう昼だ!」
ハッとした。
「やば…寝てた」
金田はティッシュを出した。
「とりあえず机拭け」
渋々拭いた。
「お前いつから寝てたんだよ」
「そもそも私…言ったっけ?」
金田は思いっきりライトの頭を叩いた。
「イッ!」
「午後は出なくていいから寝ろ!上に空いてる部屋あるから!」
金田はライトを引きずって行った。
「ごめんって!金田さーん!」
「お前は言っても聞かん!」
部屋に連れて行かれた。金田は魔法で布団を出し、ライトを布団へポイした。
「後で飯持って来るから寝てくれ!頼むから!」
「えー!」
「えーじゃない!脱走したら君とシルビアの関係をこの報告会で言うぞ」
「それだけはダメ!」
ライトは全力否定した。
「だったら寝てくれ!」
金田は部屋を出て鍵を閉めた。
「閉じ込められた…」
仕方なしにふて寝した。どのくらい時間が経ったのだろうか。
「ライトさん。起きて」
金田の声で目が覚めた。もう夕方だった。ライトはメガネをかけた。
「おはよう…金田さん」
「はい。おはよう」
ライトは座った。
「お前は無茶しすぎ。とりあえず食え」
金田はご飯を出してくれた。
「本当…ごめん」
金田が持ってきてくれたご飯を食べた。
「気持ちはわかるけど、自分の体だぞ」
「うん…わかってる。でも…最近シルビアの調子の波が激しい」
金田は不思議に思った。
「どうしたんだ?」
「多分だが、悪阻?だろう。この前お腹に手を当てたら、鼓動感じて…」
「マジかよ…」
「一応シルビアが寝てる横にベット作って様子見たり仮眠はしてるけど…」
ライトはご飯を食べ終えた。
「ありがとうね。少しスッキリした」
「良かった。だけど、無理だけしないでくれ。大事な友達を失いたくないよ」
金田は寂しそうに言った。
「まだ死なないよ。てか、死ねない。私の来世は決まってるから、今無茶してでもやりたい事はやりたい」
「お前な。来世は早いって。それに変わるかもしれんぞ?神が変えてくれるかも?」
「いやいや。でも、覚悟はできてる。だから、シルビアとの時間も大事にしたい。人生で初めて好きになった子だから」
金田はライトの背中を撫でた。
「私は応援してるぞ。ライトとシルビアが幸せになる事を」
「ありがとう。金田さん。さて、今日もシルビアに会いに行って来るかな」
ライトは立ち上がった。
「おう。行ってらっしゃい」
「ありがとうね。行ってきます」
ライトは指を鳴らし消えた。
ライトは洞窟に来た。今日こそはとシルビアを探したがいない。洞窟を覗いたがいない。そしてまた背後から生暖かい風。でも、今日は血の匂いも混じっていた。ライトは驚いて振り向いた。
「シ…シルビア?何咥えてるのかな?」
シルビアは人を咥えていた。
「ライトが来る前にお腹満たしに行ってたら、踏んじゃったみたいで…」
多分絶命してるだろうそれをシルビアはブンブンと振り回していた。
「コラ!そんなことしてはいけません!ペッしなさい!ペッ!」
「ペッてなに?」
シルビアは首を横に傾げた。
「離しなさい!」
ライトの横にソレを置いた。もう原型がなかった。唯一見つけた手帳を見た。
「あぁ…谷川のか…」
「ライト。ソレ美味しいの?」
「ばっちいです!コレは私が処理します!」
ライトは魔法で焼却処分した。
「今日は調子いいのかな?」
「乗る?」
シルビアは喉を鳴らした。
「あぁ。頼むね」
ライトはシルビアに跨った。シルビアはいつものように飛び立った。
「シルビア…」
ライトは金田と話してた内容を思い出していた。
「何?」
シルビアは断崖にゆっくりと着地した。ライトはシルビアから降りた。
「今日さ、友達と話しててね」
シルビアはその場に座った。
「私さ、来世決まってるんだ」
「なぜ?」
シルビアは首を傾げた。
「子供の頃、自分の親を殺したんだ。親が自分を殺そうとしたところを返り討ちしてさ」
「それは、ライト悪くない」
「でも、殺してしまったものは事実だ。私の来世は地獄行きって決まってるんだ」
「…」
「だから、今生きてるこの時間を大事にしたい。君との時間もね」
「ライト…」
シルビアはライトに擦り寄った。
「私は、死んでもライトと一緒にいたい」
ライトはシルビアを撫でた。
「ありがとう。気持ちだけ受け取っておくよ。だから、君ともっといい時間を過ごしたい」
「私もよ」
ライトはシルビアの額にキスした。
「ごめんね。暗い話して」
「ううん。ライトいつも明るいもん。もっと話して」
「ありがとう。シルビア」
シルビアを抱きしめた。
「さて。今日何しようか?」
「たくさんおしゃべりしたい。甘えたい。ライトの暗い気持ちを解消したい」
「わかった。朝まで一緒にいい時間を過ごそう」
二人は夜通し笑い合った。
「シルビア。もうすぐ朝だ」
「帰りましょ。ライト」
シルビアはライトを背に飛び立った。そして、洞窟に着地した。
「また夜に会おうね」
「待ってる」
シルビアを撫でライトは指を鳴らし消えた。シルビアは眺めていた。
「ライト…」
シルビアは洞窟で丸くなった。
「…ライト。あなたを地獄へ行かせないわ。私が、絶対に連れて行く」
シルビアはそう思い夜まで眠った。
作者「マジで雪やばかったー」
ライト「ねー」
作者「今日は雨降ってたから、凍結はなかったけど、昨日は凍結&アイスバーンで死ぬかと思いました」
ライト「横滑りしてたねw」
作者「笑い事じゃない!事故ってないからよかったけど」




