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三日月龍…シルビア

夜。ライトは洞窟へ来た。


「居るといいんだが…」


中を覗くと、三日月龍はいなかった。落胆していると、後ろから生暖かい風が吹いてきた。振り向くと、大きな顔が目の前にいた。


「こんばんわ。居たんだね」


「待ってた」


三日月龍は喉をゴロゴロと鳴らした。


「ご機嫌かい?」


ライトは三日月龍の鼻先を撫でた。


「あなたの事が気に入った」


「それは嬉しいよ。ありがとう」


すると、ひどい怪我だった翼を上げた。


「翼はもう治った」


ライトは驚いた。


「早くない!?」


三日月龍は少し悩んだ。


「私たちの事を話してもいい。でも…」


どこかモジモジしていた。


「ん?」


「私には名前がない。ライト。付けてくれる?」


ライトは驚いた。


「いいのか?」


「ええ」


ライトを笑顔で見つめた。


「メスだしな…」


ふと頭の中に思い浮かんだ。


「…シルビア」


なぜか口に出ていた。三日月龍は喜んだ。


「いい名前。ありがとう」


ライトに擦り寄った。


「今日から君はシルビアだ。にしても、君は甘えん坊さんだな。これじゃ、野生に帰れないよ?」


その言葉にシルビアは止まった。


「ん?」


「ライト。教えてあげる。私たちの生態を。今日は天気がいい。あなたが私達を見ていた断崖へ一緒に行こう」


そう言うと、シルビアは翼を下げた。


「乗って」


ライトを見つめた。


「え…昨日出会ったばかり…」


「いいから!」


シルビアに促され、ライトは跨った。


「しっかり捕まっててね」


シルビアは勢いよく飛んだ。


「マジか!?」


背中の突起に思いっきりしがみついた。上空飛行はゆっくりだった。


「気持ちいいな…ありがとう」


シルビアは断崖を目指した。ゆっくりと着地し、ライトを下ろした。


「どう?」


「最高だった」


シルビアを撫でた。夜空を眺めてると、三日月龍の群れがやってきた。


「帰らなくていいのか?」


シルビアは重い口を開いた。


「私は、帰れない。もう、群れには戻れない」


「…」


「私達は、休む事なく飛び続ける。何をするにもずっと飛行を続ける。子供を産むのも…」


「ん!?」


ライトはシルビアを見た。


「私達は歌を歌う。仲間と相談も歌で会話をする」


すると、群れから鳴き声が聞こえた。


「そして、私達は体の傷を癒すのが早い。月に祈ればもっと早く回復する事ができる。だから、翼も治った」


「そうだったのか。君たちは、すごい龍なんだな」


ライトはシルビアを褒めた。


「私たちの歌は生命たちに癒しを与える。て言われたけど、飛んでるからわからない。ライトはどう?」


シルビアはライトを見た。


「私は、君たちに救われた身だから実感はしてるよ」


「そうなのね」


シルビアは納得した。


「私は生贄的存在。私は、嫌われていた。元々体質も弱かったから弱いものは群れを守るためにあえて狙われやすいところに居ないといけない。勝手に決められてしまった。もう群れから逸れたから私は死んだ扱いなの」


三日月龍の残酷な習性に、ライトは自分と同じだと思った。


「私も一緒さ。子供の時、両親からの虐待や同じ年代のやつからいじめもあった。君の気持ちはわかるよ。孤独だよな」


シルビアはライトに擦り寄った。


「昨日、私は朝日を浴びて消えていてもよかった。でも、あなたと出会ったからもうちょっと生きてみようと思う」


シルビアはライトに甘えた。


「じゃぁ、毎晩シルビアに会いに来るよ」


ライトはシルビアの顔を撫でた。シルビアは嬉しそうに喉を鳴らした。


「昨日まで君は群れで生活してたのに、こんなに甘えてくる龍は見た事ないよ」


野生の龍は警戒心が多い。でも、出会って二日目でここまで甘えてくる龍をライトは聞いた事がなかった。


「いいじゃん。ひとりぼっちだったもん」


「かわいいな〜」


シルビアを甘えさせた。すると、朝が近づいた。


「シルビア。そろそろ帰ろう。また会いに来るよ」


「うん!乗って!」


シルビアに跨り、洞窟へ戻った。




「はぁ〜」


教授室についた。ライトの気持ちはどこか浮かれていた。ライトは新しい記録書を出した。


「また…夜が来ないかな」


夜が待ち遠しくて仕方がなかった。すると、ノックがした。


「ん?」


「ライト先生。入ります」


桶谷が入ってきた。


「お!育休明けか」


「はい。お休みの間ありがとうございました」


「いいや。でも、子供の事で何かあったら休んでいいからな?」


「ありがとうございます」


ふと、桶谷は記録書を見た。


「何かあったんですか?」


ライトは記録書をみた。


「あぁ…色々と…」


ライトの顔がどこか赤い。目にクマも出来ていた。


「ライト先生…何かあったな?」


桶谷は詰め寄った。


「今はまだ何も…」


「先生…吐いた方がいいよ?体壊すよ?」


怖かった。でも、グッと我慢した。


「まだ言うタイミングじゃないから。でも絶対言うから!」


それ以上詰められなかった。


「わかりました。でも、無理はしないでくださいね?」


「わかってるよ」


桶谷は教授室を出て行った。


「はぁ…」


ライトはシルビアが言った事を記録し、今まで遠くからしか見た事がなく憶測で書いていた体格も、正確に書き始めた。


「シルビアが悲しまないようにしないとな」


ふと今日の予定を見た。


「なーんだ。今日の予定は午後からか。まだ時間あるから、仮眠するか」


教授室のど真ん中に布団を魔法で出して潜った。


桶谷は廊下を歩いていた。


「ライト先生をお昼に連れて行こうか」


肩に乗っているロイに話しかけた。ロイは嬉しそうに鳴いた。扉をノックしたが、応答がない。


「入りますよ」


開けると、ライトは布団で爆睡していた。


「…」


桶谷とロイは呆然と眺めていた。ふと机の記録書に目が入った。


「覗き見…しちゃおうかな」


ロイは全力で止めた。


「あ…やっぱダメだよね。でも、これ他の人入ってきたら…ビビるよな。あ!」


桶谷は持っていたノートに絵を描いた。ロイはそれを眺めていたが、途中で笑いを堪えるのに大変だった。


「これ扉に貼ればいいんじゃね?」


絵に呪文を書き、唱えた。それは一枚の札だった。


「これを…」


桶谷は教授室をでて、扉に札をかけた。


「これでいい!」


『猛獣が寝ています!起こすな!』


と書かれていた。


「よし。ロイ。飯行こ。お昼から忙しいぞ」


ロイはまた鳴いた。


騒がしい音で目が覚めた。メガネをかけた。


「あぁ…もういい時間。何で廊下がうるさいんだ?」


頭を掻きながら扉を開けると、一斉にみんな去って行った。


「ん?なになに?」


扉を見た。


「…あ゛?誰だ?これ作ったの…」


ライトは札を手にした。すると、桶谷が歩いてきた。


「ライト先生。行きましょう…」


ライトは桶谷を睨みつけた。


「お前だな?」


冷や汗が流れた。


「あ…いや…」


ロイは桶谷の肩を離れ飛んで逃げた。


「桶谷!!」


ライトは桶谷を追いかけた。


「ごめんなさい!!」


桶谷は全力で走った。その光景を生徒たちは見ていた。


「相変わらず…元気だね」


「もう直ぐ授業始まるのに。でも、さっき理事長も廊下歩いててそれ見てたような…」


「え!まじ!?」


桶谷とライトは授業の教室に向かって追いかけっこしていた。


「誰が猛獣だ!」


「書き間違えてました!女が寝てると書けばよかったです!」


「ふざけるな!私は女じゃない!」


ライトは教室の手前で桶谷に飛び蹴りを喰らわせた。


「ひょ〜」


変な声をあげて桶谷は飛んで行った。その光景を小峠も遠くで見ていた。


「相変わらず元気ですね…」


温かい目で見つめた。


作者「明日から仕事だけど、雪大丈夫かな。路面凍結もうざいし」

ライト「しょうがないじゃん。雪国に住んでるんだから」

作者「寒さで、持病の膝も痛いし。早く暖かくなってほしいな」

ライト「そういえば、シルビアって何か由来あるの?」

作者「何語で検索したか忘れたんですけど、白銀て検索したらそれでたから…かなw」

ライト「作者…」

作者「由来とかはあんまり考えていませんw」

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