友との絆
ライトは大学の入り口へ歩くと、金田が待っていた。
「ライトさん。顔色悪いぞ」
ライトの肩にそっと手を置いた。
「金田さん。ごめんね」
金田は笑った。
「気にするな。ちょうど暇だったし。それに、君の新居へ行くの初めてだからワクワクでこれ買ったわ」
手に持っている袋の中に、一升瓶が入っていた。
「酒飲めないよ?」
「こういう時に、酒飲んだ方がいいんだ。さ、行こうよ」
ライトは金田の手を取り、指を鳴らすと二人は消えた。
「ここだ」
金田は目を開けると、広い部屋が目に入った。
「…え?ここお前ん家?」
「そうだ」
金田は驚きのあまり、部屋中を歩き回った。ライトは上着を脱ぎ椅子に座った。すると、ノックが聞こえた。
「ライトさん。入る…」
ウルフは金田を見て驚いた。
「え…誰?」
ウルフの腕にはクロがいた。金田も驚いた。
「お…ま…嫁できたのかよ!しかも子供まで!」
ライトにつかみかかろうとした。
「そんな!嫁じゃないですよ!」
ウルフも慌てた。
「金田さん。ウルフは私の嫁じゃない。秘書だ。それと、彼女が抱いている子は私の子でもない。私の姉さんの子だ。今うちで預かってる」
ライトは冷静に答えた。
「なーんだ。あ、申し遅れました。私、金田と申します。ライトさんとは大学の同期です」
「あ…ウルフです。ライトさんの秘書をしています。彼はクロです」
互いに挨拶をした。
「ライトさん。早いですね。体調悪いんですか?」
ウルフはライトに話し出した。
「あぁ。ちょっとしんどくなって…」
「大丈夫?」
「うん。今日は友達と話し合おうと思って連れてきた」
「わかったわ。お茶用意しますね。その間、クロをお願いします」
ウルフはライトにクロを託した。
「なぁ…ライト」
金田は聞きにくそうにライトに話した。
「ん?」
「その…ウルフさん…?なんであんな露出の多い服着てるの…」
一瞬沈黙が走ったが、ライトはいつもの笑顔で答えた。
「あぁ。私の趣味で…」
「趣味!?」
金田は驚いた。
「だって、女の人ってこういう服着てると綺麗に見えるじゃん?ただそれだけ」
「???」
「マジでエロとかそういう視点ではないよ」
「???」
すると、ウルフがお茶を持ってきた。
「あぁ。金田さん。ライトさんは少し変なんです。だから、大丈夫ですよ」
少しどころか、かなり異常だと思うが…
それを言いたかったが、グッと堪えた。
「まぁ、お前たちがそうならそれでいいんだけどな」
ライトは立ち上がった。
「まぁ、ここにいる人はみんな特殊人なんだ。とりあえず座って」
ライトと金田は椅子に座った。
「クロは私が見ていましょうか?」
ウルフが声をかけた。
「いや。クロは私が見てるよ。君は稽古とか頑張ってきて」
「わかりました」
ウルフは部屋を出ていった。クロはライトが抱っこしてくれることに喜んでいた。
「かわいいな…」
金田はクロに見惚れていた。
「あぁ…かわいいが…」
ライトはクロの服をめくった。身体中のあざに金田は驚いた。
「コレ…」
「昨日、姉さんが預けてきてさ。一年半ぶり?に会ったんだ。で、コレさ」
金田は言葉が出なかった。
「コレ見てさ、自分の過去の記憶が蘇ってしんどくなってさ…」
ライトはクロの服を整えた。
「クロには、私のような事をしてほしくないと思っている」
ライトは優しくクロを撫でた。その眼差しはどこか優しいお父さんだった。
「君の過去は聞いたことがないが、辛い人生を歩いてきたんだね」
金田はお茶を飲んだ。
「金田さんと付き合いは長いのに、自分の過去をずっと隠していたんだけど…クロの見てしまったらな。ほんと申し訳ない」
金田は首を横に振った。
「いやいや。君はすごいよ。君がやっている事、私には出来ないよ。でも、ライトさん。私を頼ってくれてありがとうな」
その言葉にライトは涙をこぼした。クロは不思議そうにライトを見ていた。
「ありがとう…」
金田は優しくライトを抱きしめた。すると、クロも慰めるようにライトのほっぺを触った。
「クロも…ありがとうな」
ライトはクロを抱きしめた。
「話してもいいが、金田さんが持ってきた酒を飲んで話したいな」
「その方がスッキリするぞ。で、今はどうする?」
「城でも案内しよう」
「え!まじ!?」
「それに、酒の席に子供はいたらダメだ。さ、案内するよ」
ライトは立ち上がった。
「大丈夫か?」
金田は心配したが、ライトは笑顔になった。
「大丈夫!行こう」
ライトは扉を開けた。そこには、広い廊下があった。
「お…ま…いつの間に覚えたんだよ。家ならともかく、城とか大きい建築物って魔法で作るの大変なんだぞ!」
廊下を歩き、稽古場を見せた。複数人とウルフが稽古に励んでいた。
「ここが稽古場。筋トレもできる。射撃場こあるぞ」
「いいな」
食堂や寮なども見て回った。城の外に出て金田は気づいた。
「なぁ…ここは一体何処なんだ?」
ライトは金田をみた。
「ここは。あの世とこの世の境目の世界だ」
金田は言葉が出なかった。
「たまたま見つけた。それだけだ」
二人は歩き続け、厩舎へ向かった。
「ここに馬がおる」
すると、クロは馬に興味を持った。
「お?馬好きなのかな?」
一頭の鹿毛の馬が優しい瞳でクロを見つめた。
「へー。馬もいるんだ」
「城と言ったら、馬のイメージあったから作ってみただけさ」
二人は部屋へ戻った。
「ウルフもなんだが、ここにいる人たちはもう死んでいるんだ」
「え!?」
金田は驚いた。
「生きている時に辛い思いして死んだ人が、あの世でも辛い思いをしているのを聞いてね。で、こっちで面倒見てるんだ」
「あ…まぁ。事情があるって事でいいんだな」
「そそ」
部屋に入ると、ウルフがいた。
「あ、ライトさん。クロ見ていましょうか?」
「あぁ。頼む」
「氷用意してあるので好きに使ってください」
そう言い、ウルフはクロを抱き抱え部屋を出た。
「あの秘書優秀だな」
「あぁ。助かってるんだ」
ライトと金田は椅子に座った。テーブルにはグラスも用意されていた。
「まぁ、こんな昼間から飲めないじゃん?」
金田は慣れた手つきでグラスに氷を入れ酒を入れた。
「多いよ〜」
「いいんだ。どうせ明日休みだろ?」
「まぁ…」
グラスを持たされた。
「私も休みだ。酔い潰れようぜ」
乾杯した。
「一気?」
「一気!」
二人は一気飲みをした。
「うわ…酒だ…」
「うめー!高いの買ってよかった!」
ライトはドン引きしていた。
「そう言えば金田さん。大学の時から酒豪だったね…」
「一回だけ飲み会したよな。あん時のライトさん、ピヨピヨだったね笑」
「そりゃ、酒弱いもん…」
金田はライトのグラスに酒を注いだ。
「えぇ…」
「次からチビチビでいいよ〜」
仕方なしに一気飲みをした。
「うん…酒の良さがわからん」
「お子ちゃまだな〜」
金田はずっと笑っていた。
「金田さんは元気だな…」
「ライトさんも元気出せー!」
バシッと肩を叩かれた。ライトはドン引きしながらも、語り出した。
「私さ…自分の親殺したんだよね」
その言葉に金田はライトを見た。
「親が日本人とフランス人でさ。で、子供の頃フランスにいたんだ。住んでいたところは治安が悪くて、誘拐や殺人、強盗は当たり前。それに、親からも虐待されてたんだ」
ライトはグラスを置いた。
「でも、いいこともあった。あの時に三日月龍を初めて見たんだ」
「え!?」
「それに、私の叔父さんが三日月龍と仲が良かったんだ。ライダーになったのかは知らないが、その時に初めて背に乗ったんだ。だけど、それっきり会ってない。死んだって聞いたんだけど」
金田はお酒を一口飲んだ。
「でも、日常は変わらない。ある晩、いじめられて気を失って帰るのが遅くなった時に、誘拐犯に捕まってね。で、あいつらのおもちゃにされかけた時に、なぜ出来たのかは今でもわからない」
ライトはいつもの手で合図すると刀を出した。
「コレができるようになったんだ」
「え…」
刀を魔法でしまった。
「で、殲滅した。刀の使い方なんて誰にも教わってないのに大人二人をやった。で、その勢いで家に帰ったら母親は悲鳴。父親はわかっていたのか私にナイフで攻撃した」
金田は戸惑った。
「実の息子なのに?」
ライトは頷いた。
「でも、何故か父親の動きがよめた。で、背中と胸を切り裂いたんだ」
ライトの目はどこか悲しい目つきになっていた。
「その後、母親を殺そうとした時に野生の三日月龍の鳴き声で目が覚めてね。母親は殺していない」
ライトはお酒を飲んだ。
「その後、姉はフランスに残り私は日本に来た。どういう経緯かは知らんが、とりあえず施設で育った。そこの施設の人は優しくて、目が悪い私のためにメガネを買ってくれたりと、手を尽くしてくれたんだけど、当時の私は日本語喋れんし書けないしでいっぱいいっぱい。だから、勉強した。フランスで勉強もできなかったのに、日本に来てできるようになってさ。笑えるよね」
金田は首を横に振った。
「いや。馴染めなかっただけだと思うよ。でも、こっち来て馴染んだんなら結果オーライじゃん」
「まぁな。それから人一倍勉強した。でも、同級生からは好奇の目で見られる。髪が白いのもあるけど。いじめこそないがそういう目で見られることが嫌だった。だから、勉強し飽きたら独学で稽古もして強くなりたかった。学校だけの稽古じゃつまんなかったし」
「いやいや…つまんないって…」
「で、高校入試の時に同級生と居たくない理由で死ぬ気で大学入試した」
またライトは酒を飲んだ。
「おいおい。大丈夫かよ…」
金田は少し心配した。
「大学へ合格したときは、どこか安心した。自分のしたい事が出来るって。でも、そのとき思った。自分のしたい事は?って」
「うん」
「で、考えた時に三日月龍を思い出した。幼い私が一目惚れした三日月龍にいつか、絶対にライダーになりたいって。受かった学部も龍についての学部だったから、運が良かったってあん時は思ったよ」
「え…もしかして、学部を見ずに受けたのかよ…」
ライトは頷いた。
「だったらいっそ、龍と人間が共存できる世界作っちゃってもよくね?思ってて、入学までワクワクだったんだよ?」
ライトはもう酔っ払ってた。
「あ…うん」
「施設でて、アパート探してる時に施設の人から親の遺産預かってた言われて、それで過ごしてた。でもさ、大学は授業料免除だったから、余ったお金であの銃作ったの」
金田はびびった。
中卒が大学の授業料免除受けれるって、どうなってるんだ?
「で、入学して私を好奇の目で見られんし。でも、女と勘違いされるのは、かなり腹立ったな〜!」
ライトは笑っていた。
「あ…はは…」
金田は引いたが、途端にライトは笑いを辞めた。
「でも、君と出会った事が私の中で変わったな」
「ん?」
「金田さんって、私を人として扱ってくれた。好奇な目で見ないし、いつも遊んでくれるし。だから、金田さんが困った時は助けなきゃっていつも思ってた。一緒に卒業できた時はすごく嬉しかったんだよ…」
ライトは涙を浮かべた。
「こんな過去…本当は…言いたくないよ。親殺してるんだよ。普通に考えたら、私から離れるべきだよな…」
金田はライトの肩を抱いた。
「ライトさんは悪くない。育った環境が悪かっただけだ。それに、親が子に攻撃するなんて考えられる事じゃない。君は自分の身を守っただけだ。やっぱライトさんはすげーや。そんな過去を背負ってても、私からしたら一番の友達だ。一緒にこうやっていられる事に私は幸せだ」
金田はライトのグラスに酒を注いだ。
「君と出会えたことに感謝だ。ライトさん」
金田の笑顔にライトは救われた。
「私の方こそありがとうな。金田さん」
酒を飲んだ。
「にしても…大丈夫か?」
金田はライトを心配した。
「まだいける!」
「えぇ…」
よくよく瓶を見ると、空になっていた。
「や…やばいよ…」
ライトに向き直ると、椅子にもたれ寝ていた。
「ふぅ〜。よかった」
金田はグラスに残っている酒を全部飲んだ。すると、ノックがした。
「入るよ」
ウルフが入って来た。
「あ…ウルフさん」
「ライトさん。寝ちゃった?」
ウルフはライトを見た。
「相当飲んでたでしょ?」
「あ…はい」
金田は白状した。
「まぁいいわ。申し訳ないんだけど、ライトさんをベットに運ぶの手伝ってくれません?」
「いや、一人でできますよ。で…ベットはどちらでしょうか?」
「こっちよ」
金田はライトを抱き抱え、ウルフに案内されてベットに寝かせた。
「相当疲れてたんですね…」
「えぇ。ライトさん。頑張りすぎなのよ。さっき、盗み聞きしてたけど。私以上にライトさんも辛い過去背負ってるじゃない…」
ウルフは怒っていた。
「ウルフさん。ライトさんをいつもありがとうね」
金田は礼を言った。
「ううん。私はライトさんのおかげで楽しい思いが出来てるので。あ、金田さんの部屋用意してありますよ?」
ふと、金田はライトを見た。
「申し訳ないが、ライトさんと一緒に寝たいと思うんだが…いいでしょうか?」
ウルフは頷いた。
「大丈夫ですよ。布団用意して来ますね」
「ありがとうございます」
「でも、何故ですか?」
金田は苦笑いした。
「多分…夜中に地獄を見ると思うので、その介助を…」
「あ…あぁ…お客さんなのにいいんですか?」
「いいんですよ。ウルフさんはクロくんをお願いします」
「わかりました」
ウルフは布団を用意した。
「それでは、おやすみなさい。明かりはここで消えるので」
ウルフは部屋を出て行った。
「にしても、いつのまにか夜になったな〜」
金田は明かりを消し、布団に入った。
「そう言えば、お泊まり会もいっぱいしたな…」
金田も眠った。
ライト「あけおめ!」
作者「あけおめ!」
ライト「年明けたね」
作者「今日は実家で親戚たちと集まって、人生ゲームでフリーターで負けました!」
ライト「何してるん…」
作者「でも、久しぶりに豪華なもの食べたから満足」
ライト「作者は酒飲むの?」
作者「飲めないし、車運転してたから無理。飲むと胸苦しくてダメなんですよね」
ライト「やばいじゃん」
作者「そうだよ?」
ライト「まぁ、今年も元気に頑張ろ」
作者「ですね」




