子の成長
桶谷の結婚式からしばらく経った頃。授業も終わり、ライトは研究室にいた。
「いいなー」
鈴鹿はまだブー垂れていた。
「まぁ、頑張れ!」
ライトは鈴鹿を励ましていた。桶谷のお土産はまだ余っているのか、冷蔵庫に入っていた。
「お土産食べていいか?」
「あぁ、いいですよ」
ライトは冷蔵庫からお土産をとった。
「今日は桶谷くんいないのか?」
鈴鹿は首を傾げた。
「あれ?さっきまでいたんですが。トイレじゃないんですか?」
ライトはモグモグとお土産を食べていた。すると、教授室の扉が開き桶谷が入ってきた。腕に何かを抱き抱えて。
「お!桶谷くんおつかれ」
「ライト先生…」
桶谷はライトに近づいた。
「ん?ブフォッ!」
ライトは食べていたお土産を吹き出した。
「クロ!」
「また大学の入り口に置いてけぼりでしたよ…」
桶谷は心配していた。
「へー。もう立って歩けれるんだ」
鈴鹿もクロを見ていた。
「いやいや。この年くらいは目を離すとどこへでも行くから危ないだろ」
桶谷はクロを下ろし頭を撫でた。
「子の成長は早いね」
二人は感心していた。
「いやいや、感心してる場合じゃないだろ!」
ライトはクロを観察した。服は少し汚れており、どこか痩せて見えた。ふと、クロの手に何か持っていることに気づいた。
「叔父さんに見せてくれるかな?」
クロはライトに手に持っていた紙切れを渡した。ライトは紙切れを広げた。
電話番号…
「二人とも、ちょっとクロみててくれないか?電話かけてくる」
ライトは研究室を出て電話をかけた。
“ア、ライト?クロヨロシクネ”
「あんな動き回る子を、一人にするな!」
“ダイジョウブダッタデショ。ワタシタチ、カイガイデツカレタカラスコシヤスマセテ。ヒキトルトキマタデンワスルカラ”
電話が切れた。ライトはブチギレそうだった。
「全く。調べてやるしかないな」
すると、窓から音がした。見るとカラスがいた。窓を開けカラスを入れた。
「あぁ、クロはこっちで保護してるから大丈夫だ。ゆっくり休んでいい」
カラスは何処かへ飛び立った。研究室に戻ると、ロイとライラがクロと遊んでいた。
「ありがとうな」
クロを抱き抱えた。
「すまない。今日は帰るよ」
「わかりました」
ライトは研究室をでた。
「さ、帰るよ」
ライトは指を鳴らし消えた。
「ただいま」
「あれ?早かったですね。おか…クロ!」
ウルフは駆け寄った。
「久しぶりだね。元気してた?」
ウルフはクロを撫でた。
「とりあえず、ご飯食べようか」
兵士の食堂に行った。
「シェフ。お疲れ様」
その声にシェフは顔をだした。
「お疲れ様です。ライトさま」
「クロに何か料理出してくれないか?」
「もちろんですよ。ちょっと待っててくださいね」
シェフは急いで作った。ライトとウルフは椅子に座った。
「クロ…元気なさそうだね」
ウルフはクロを見て心配してた。
「さっきパッと見たけど、痩せてるんだよな」
ライトはクロを撫でた。
「大人がなんとかしてあげたいんだけど…」
すると、シェフがクロ用にご飯を作ってくれた。
「熱いですから、冷ましてあげてくださいね」
「ありがとうな」
ライトはスプーンですくい、冷ましてからクロに与えると、クロは食べた。
「お!よかったね」
ライトはどんどん与えた。
「相当お腹空いてたんじゃ…」
「多分な…私の子供の頃と一緒だ…」
ライトは寂しそうに呟いた。クロはあっという間にご飯を平らげた。
「お腹一杯になったな。よしよし」
ライトは食器をシェフに帰した。
「子供の食いっぷりはいいね!」
シェフはクロに手を振った。
「ありがとうな。シェフ」
ライトとウルフは食堂を出た。部屋の戻り、ウルフはお風呂の準備をした。
「クロも大きくなったもんな。そろそろ服も用意しないとだな」
ライトはクロに合う服を描き始めた。
「ライトさん。子供はよく汚すから洗い替え用に複数描いてくださいね」
ウルフがアドバイスした。
「わかった。めんどくさいから色違いでもいいか…」
ライトは複数のクロの服を魔法で出した。
「今日は風呂上がりにこれ着ようか」
「お風呂準備出来てますよ」
ウルフの声にライトはクロを連れ風呂場へ来た。
「服脱ごうね」
ライトはクロの服を脱がせて驚いた。
「…っ!」
あざが複数あった。怒りと悲しみの感情が混じり過去の記憶が蘇ったが、怖がらせないために我慢して笑顔でお風呂に入れた。
「気持ちいいだろ?」
クロは気持ちよさそうにしていた。頭と体を洗い、新しい服に着替えさせた。
「お風呂終わった?」
ウルフがのぞいてきた。
「あぁ。ちょうど終わったところだよ…」
ライトの声がどこか怒りに満ちていた。
「どうしたの?」
ライトはクロを抱きながら椅子に座った。
「あざがあった。それも複数」
「は!?」
「しっ!クロが眠たそうだろ」
ウルフは手でお口を塞いだ。
「カラスたちの情報的に、クロは外に出ていなかったそうだ。だから、何をされるかわからなかったそうだ」
クロはライトの腕の中で眠った。
「とりあえず、今日は来たばかりだ。クロを休ませよう」
「そうですね」
「大学の法学部にも、一応相談してみるよ」
「そうですね。じゃぁ、私は部屋でますね。何かあったら声かけてください」
そう言いウルフは部屋を出た。
「観測まで時間があるから、音楽でも流そうかな」
ライトはクロを起こさないようにレコードを流した。
「クロもコンフィーの事好きになって欲しいな」
ライトは愛おしそうにクロを見つめた。
「あの時より大きくなったな。クロ…」
ライトは本を読んで観測までの時間を潰した。しばらくすると、クロが起きた。
「ん?起きたか…あ、もう観測の時間。一緒に行くか!」
クロは笑顔になった。ライトは寒くないようにローブを羽織りクロを包んだ。
「じゃぁ、行くか」
ライトは指を鳴らした。
「ついたぞ」
いつもの観測地。満点の星空にクロは目を輝かせた。
「ん?もっと高いところから見たいか?」
ライトはクロを肩車した。すると、三日月龍が群れできた。
「ほらクロ。三日月龍が来たぞ」
クロは手で掴もうとしていた。
「はは。捕まらないよ」
クロの仕草一つ一つが可愛かった。すると、一匹の三日月流が美しい声で鳴いた。
「お、今日は運がいいな。三日月龍の鳴き声はなかなか聞けないんだぞ?」
クロは固まっていた。
「お…じ…さ…ん」
クロが喋った。
「え!?今叔父さんと喋ったか!?」
クロをまた抱き、見つめた。
「お…じ…さ…ん」
ライトは感動した。
「クロ…ありがとうな」
二人は三日月龍を見送った。
「クロ。君もいつか三日月龍のライダーになれ」
ライトはそう呟いた。
「さ、帰ろうか」
ライトは指を鳴らし消えた。
作者「今年ももう終わりますね」
ライト「だな。早いね」
作者「明日は…唐揚げとか栗きんとんとか作らないといけなく、大変だ…」
ライト「作者料理作れるの!」
作者「全然ですよ」
ライト「いやいや。私やらかすから…」
作者「あ…はい」




