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昔話

夕方。金田から連絡があった。

“ライトさん。怪我の具合的にどうだ?”

谷川との喧嘩から数ヶ月。平凡な日々を過ごしていた。

「治ったよ。今も稽古始めててね。あの喧嘩以上に強くならないと、今度こそ殺されそうだし」

“あまぁそうだけどさ。無理はしちゃだめだよ。所で…谷川から何か来たか?”

「いや。むしろ病欠で大学にも来ていない」

“そうか。でも、油断はできんな。そうそう。君と久しぶりに飯に行きたいが…”

「行く!なんだったら明日でもいいよ」

“わかった。明日、大学前で待ってるよ”

電話が切れた。ライトは指を鳴らし、教授室から消えた。

城の稽古場でライトは銃の調整や刀の素振りをしていた。

「右手が使えないって不便だったが、なんとかなってよかった」

「よかったですね」

ウルフはライトを見ていた。

「じゃぁさ。久しぶりに手合わせしてみるかい?」

ウルフは笑顔になった。

「もちろん。ライトさんがリハビリ中、私も頑張ってたんで」

「ほう…じゃぁ、刀だけ出そうかな」

ウルフは強張りながらも頷いた。

「大丈夫。刺したりはせん。たぶん…」

「多分!?」

「大丈夫大丈夫!」

二人は向かい合った。ウルフは鞭を一発鳴らした。

「行くわよ!」

ウルフの鞭がライトに向かった。

「…」

ライトはそれを刀で受けた。

「腕上がったな…」

それから激しい鞭の振り下ろしがライトに向かったが、ライトは全て刀で受けた。

「私の刀の練習になるね…」

「あら、いいじゃない!」

さらに鞭の振り下ろしが早くなった。

「いいね…」

ライトは鞭の間を潜り抜け、ウルフに接近した。

「コレでも…」

ウルフは懐から閃光弾を出した。

「…」

閃光弾を叩きつけると稽古場が眩しくなった。ウルフはライトが怯んでいると思い、鞭を広範囲に振るったが、当たった感触がない。

「ん?」

「お嬢さん…」

ライトは背後から刀をウルフの首筋に当てるフリをした。

「え?」

「閃光弾を使うとはね。いい案だよ」

ライトは刀を下ろした。

「なんで効かないの!?」

ウルフは驚いた。

「さぁ…なんででしょう」

ライトはニヤついた。

「えぇー。教えて〜」

ウルフは食いついた。

「しょうがないな。刀で目を覆っただな」

そう言うと、ライトは刀で目を隠した。

「え!?細いのに?」

「目だけ覆うには十分だよ。目さえ守れればこっちのもの」

「あまぁそうだけど」

ライトは刀をしまった。

「今日はここまでだ。明日はちょっとご飯に行ってくるから遅くなる」

「わかりました。

ライトは稽古場を後にした。

翌日。

金田は大学の校門前にいた。

「まぁ…大学教授って忙…」

「金田さ〜ん!」

後ろからライトが手を振ってい走って来た。あのローブはなくスーツで。

「ライトさん。仕事大丈夫?」

「大丈夫!もう春休みだから」

「じゃぁ、行こうか」

金田は近くの居酒屋を予約しており、二人は店に入って行った。

「ライトさんは何飲みます?」

金田はメニューを見ていた。

「普通にお茶でいいや」

「相変わらずだね。じゃ、ビールとお茶で」

店員に注文した。

「自分に息子とかできて、酒飲みたい時どうするんだい」

「そん時は付き合うけど、私に似て飲めないと思うし…まぁ、お互いに潰れてそう」

すると、店員がお茶とビールを持って来てくれた。金田は追加で注文した。

「とりあえず、お疲れ」

「お疲れ様」

乾杯した。

「にしても、君の怪我が治ってよかったよ」

金田は安堵していた。

「心配してくれてありがとうな。麻痺が残らなくてよかった」

料理が運ばれて来た。

「君と話してると、昔を思い出すな」

ライトは料理を食べた。

「いや、あん時は色々やばかったじゃん笑」

「君がな」

「ん!?」

「お前…自覚なかったのかよ…」

金田は思い出していた。


大学生の時。

「あぁー!やばい!」

金田は課題が終わらなくて、あたふたしていた。

「おまけに期限明日じゃん…徹夜でも終わらない」

自室で泣きベソかいていると。

「金田さーん!遊ぼー!」

どこから声が聞こえた。

「ん?」

すると、窓ガラスが割れライトが入って来た。

「遊びに来た!」

割れたガラス片の上で土足で立っていた。

「お…お前は!」

ライトは金田の机の上のものを見た。

「なーんだ。課題か。私はもう終わったよ?だから遊びに…」

「人の家入る時は玄関からだろ!なんで窓ガラス割って入るの!」

金田は怒っていた。

「玄関から入るの、なんかつまんないじゃん?」

「どういう育ち方したらそうなるかな…」

金田は怒りたいやら情けないやらだった。

「でもさ、どうせ魔法で治せれるじゃん」

ライトは手で何か合図をすると、窓ガラスは修復した。

「ね?」

「ね?じゃねーよ!今課題で忙しいの!」

すると、ライトはカバンの中をガサゴソした。

「課題ならあげるよ」

その言葉に金田の頭は混乱した。

「は?え?課題あげる…?お前の課題は…?」

ライトは課題を手にした。

「だって授業中両手で別々の課題書いてるもん」

金田はライトから渡された課題を見た。全て完璧だった。

「私が出す方は右手で書いたやつで、今渡したやつは左手で〜」

ライトの思考回路がもう異常だった。

「もちろん内容は全て異なるから、バレないよ!」

ライトはピースした。

「あ…うん…ありがとう」

「てことでさ、遊ぼうよ!」

金田の腕を引っ張り、外に出た。

「夏だけど、夜は涼しいな〜」

夜道を二人は歩いていた。

「お前の行動力は。てか、ライトさんは家で勉強とか予習しないの?」

金田の問いに。

「なんでしないといけないの?」

もう逆らえないと悟った。

「あ…うん」

「ああいうのは、授業中に全てこなせれるよ」

すると、お店が見えた。

「暑いからアイス食べよ〜」

「じゃぁ、俺が買ってあげるよ」

「いいの!」

「課題のお礼だ」

二人は夜道を歩きながら、アイスを食べた。

「夏のアイスは最高だな」

ライトは嬉しそうにアイスを食べた。

「本当女だよな。まじで私たちの後ろ姿、やばくない?カップルだよ」

金田は悪そうに話した。

「これのどこが女?」

ライトは首を傾げた。その光景に目をつけた悪い男が二人の後をついて来た。

「ね〜金田さん」

「ん?」

「金田さんは稽古してるよね」

ライトのアイスが無くなりそうだった。

「あ…まぁ。ここら辺は稽古しないといけない学校多いじゃん?だからわりかしみんな強いと思うよ?でも、ライトさんとやったことないな」

「私はやってみたいんだけど…」

ライトはアイスを食べ終え手で何か合図すると、刀が腰におさまった。

「ん?」

金田がライトの方を見ると、ライトは居なかった。すると、後ろから肉を切る音がした。

「私たちに何か用?」

ライトは後ろにいた男の腕を切っていた。そして刀を男に突き立てていた。

「ご…ごめんなさい!」

男は切られた片腕を持って逃げた。金田はその光景を呆然と見てた。

「いつから気づいてたんだ?」

ライトは刀についた血を拭い、納めた。

「アイス食べてる最中から」

ライトは金田に近づいた。

「今度手合わせする?」

ライトの不敵な笑みが怖かった。

「い…いえ。大丈夫…」

「えー。やってみたい」

「無理無理!」

金田は走って逃げた。

「あー待ってー」

ライトも後を追うように走った。


その話をされて、ライトは慌てた。

「だって、君が私の事女みたい言うから少し警戒してただけじゃん」

金田はビールを飲んだ。

「いや。そこじゃなくて、なんで両手で別々に違うことをノートに書けれるんだよ。あと、卒業してからだよな。玄関から出入りできるようになったの!」

ライトはお茶を飲むフリをしながらブクブクした。

「でも、君がいたから私は卒業できたと思っている」

金田はビールを飲み干した。

「いや。私は何もしてないよ。金田さんが、私についてきてくれただけ」

ライトは料理をつまんだ。

「今更ながら、なんで髪切らないの?」

金田は気になった事を聞いた。

「好きなアーティストが、男だけどロン毛だから。ただそれだけ」

「あ…はい」

皿が全て空になった。

「ライトさん。この後、シメのラーメンいく?」

「もちろん!」

二人は会計を済ませ店を出た。すぐ近くにある人気のラーメン屋に入り、注文をした。

「ところでさ、あの先生いるの?」

ライトは首を傾げた。

「だれ?」

金田はお冷を飲んだ。

「四年の時に、単位欲しければボコボコに殴らせろって言ってた稽古担当の武藤だよ」

ライトはしばしば記憶を探した。

「あ…あぁ。あの先生ね。いないよ」

「だよな。だってあいつ酷かったよな」

すると、店員がラーメンをテーブルに置いた。

「今の時代じゃ、有り得んよな。でも、君がボコってくれたから俺たちは救われたんだけどな」

ライトはフーフーしながらラーメンを食べた。

「だって、ムカついたもん」


大学四年生になったばかりの頃。

「今日の稽古は、俺に勝てば単位をやる。だけど、勝てないやつは単位はやらん!」

稽古場でそう叫ばれた。おまけに全員男子だけ。

「理不尽だよな。武藤先生」

「男子だけ集めてさ」

そんな声が武藤の耳に入った。

「あぁ?」

影口を叩いた生徒をぶん殴ってた。

「みんなでかかってきてもいいんだぜ」

武藤は構えてた。何人かの生徒は走って先生に勝負を仕掛けたが、みんな殴り飛ばされていた。

「ふーん。つまんねー」

ライトは鼻をほじったり、髪をいじっていた。

「お…おいライトさん!そんな態度取ってたら!」

金田が注意すると、金田が殴り飛ばされていった。

「逃げろ〜」

金田の遺言だった。

「おいおい。調子乗ってるね。君は女装が趣味なのか?だからロン毛か」

ライトは武藤を見もせずあくびをした。

「先生。退屈なのでさっさと終わらせてくれません?」

武藤の血管が浮かび上がった。

「て…てめぇ!」

殴り掛かろうとした瞬間、ライトの目つきが変わった。

「…」

武藤は思いっきりライトの顔面を殴った。

「先生を舐めた罰だ…」

声のトーンが下がっていった。ライトは殴られる手前に手で武藤のパンチを受け止めていた。

「うん!先生を舐め回してます!」

武藤は手を引き抜こうとしたが、離れられない。ライトは武藤のお腹に手を当て。

「吹き飛べ〜!」

発勁を喰らわせた。爆発音と共に武藤は稽古場の壁にめり込んだ。

「よーし。みんな、自由時間だ!」

周りのみんなは伸びている中、ライトだけが喜んでいた。


「懐かしいね〜」

ライトは思い出したかのように笑っていた。

「お前はな〜。あの後どうなったん?」

金田はスープを飲んでいた。

「そりゃ、校長?理事長?から呼び出し喰らったけど、元はといえばあっちから仕掛けてきたから、殺ってもよかったんだけど?て銃をあいつの口に入れたらお咎めなしになった。ただ、口外するな言われたけど時効でしょ笑」

何処をどう突っ込めばいいのか金田はわからなかった。

「そもそも、発勁はどこで習得したんさ…」

ライトはお冷を飲んだ。

「あん時が初めてできたんだよね。練習はしてたけど、できなくて…ぶっつけ本番だったんだよね〜」

金田は身震いした。

「たださ…谷川と喧嘩したじゃん。あの前に谷川以外とひどい喧嘩してさ、流石に死ぬかと思ったよ」

ライトの目つきが少し変わった。

「さ、とりあえず帰ろうか」

ライトは立ち上がった。

「あ…うん」

会計を済ませ、店を出た。

「そのさ、喧嘩相手誰だったんだ?」

金田はライトに恐る恐る話した。

「いまだに不明だ。あん時は…ライダーがいるのに龍が拉致されてたんだ。その情報を耳にしたから行ってみたらみんな実力者。なんとか全員殺れたけど、あん時は私もボロボでその場に倒れて気づいたら病院だった。誰が運んだんかね…」

ライトはちらっと金田を見た。金田はゾクっとした。

「さ、帰ろう。そういえば、金田さんの奥さん元気か?」

その問いに金田は笑顔になった。

「相変わらず元気だよ。ライトさん」

「ん?」

「またご飯行こうな」

金田は手を差し出した。

「もちろんだ。君のおかげで私は生きているんだから」

ライトは金田の手を取り、抱き合った。

「じゃぁな」

互いに手を振り消えた。


作者「やばいな…」

ライト「どした?」

作者「まだ半分行ってない…」

ライト「焦らなくても〜」

作者「頭パンクしそう…」

ライト「お…おう…」

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