カラスの仕事
近くで何かのブザーがなった。
「…?」
ライトは手探りで探したが、見つからない。布団から体を起こし、ブザーの方を見ると目覚まし時計だった。
「あぁ…ウルフが準備したんか」
渋々ベットから出て、ブザーを止めた。ライトは伸びをした。
「あぁ〜。よく寝た」
くしゃくしゃの髪を整えて縛った。顔を洗いなんとか眠気を吹き飛ばした。
部屋を出て廊下を歩くと、兵士たちも活動していた。
「ライトさま。おはようございます」
皆が挨拶をしてくれた。
「あぁ。おはよう」
ライトはのんびりと歩いた。
「あら。ライトさんおはようございます」
ウルフが声をかけた。
「ウルフ。おはよう。目覚まし時計ウルフか?」
「あはい。嫌でした?」
「いや。むしろ良かったよ。少し早めに起きて兵士たちの様子も見ることができたし」
また部屋に戻り、大学へ行く支度をした。
「ウルフ。行ってくるよ」
「気をつけて」
ライトは指を鳴らすと消えていった。
大学の教授室につくと、今日の授業で使う物をまとめた。すると、窓を叩く音が聞こえた。振り向くと、カラスがいた。どこか胸騒ぎがした。
「…」
ライトは窓を開けた。カラスはピョンとライトの腕に乗った。
「嫌な話だな?」
カラスは頷くと、ライトの肩に乗り耳元でクチバシを動かした。
「…そうか。ありがとうな。危険だったらすぐ逃げていいからな」
そう言うと、ライトはカラスにおやつを与えた。
「谷川が動き出したか…厄介なことになりましたね」
カラスは加えたおやつをその場で食べた。
「そうそう。クロはどうだ?」
そうカラスに問うと、カラスは首を傾げたどこかへ飛んでいった。
「聞いて来てくれるのかな。ちょっと申し訳ない事をしたな…」
すると、チャイムが鳴った。
「あぁ。行くか」
ライトは教室へ向かった。
「ライトさんみたいに強くなりたい!」
ウルフは稽古に励んでいた。
「ウルフさんなら絶対強くなれます!」
兵士たちに励まされた。しばらく稽古を続け、休憩を取った。
「はぁ〜」
「お疲れ様です。ウルフさん」
兵士たちと休憩を取っていた。
「毎日大変。稽古して、新入りを案内して…」
「ウルフさんすごいですね」
ウルフは用意した飲み物を飲んだ。
「でも、生きていた時より良い生活よ」
その言葉に兵士たちも納得した。
「わかります。毎日残業続きで…」
「俺も、暴力暴言で…」
兵士たちは生きていた時の事を思い出していた。
「でも、ここに来てから毎日が楽しい」
「でしょ?」
ウルフは飲み物を置いた。
「生きていた時に…出会いたかった…」
ウルフは小さく呟いた。
「え?ウルフさん。ライトさんに惚れたんですか」
他の兵士も興味を持っていた。
「違うよ。あんないい人に出会えてたら、嫌な死に方なかったかなって」
兵士たちも頷いた。
「さて、次は私の鞭でスパルタしてあげるわ。覚悟してね」
ウルフは鞭を構えた。
チャイムが鳴った。
「あ、言うの忘れてた。この前の期末テストなんだが、赤点ゼロでした。みんなよく頑張った」
ライトはみんなに報告をし解散した。
教授室に戻ると、窓にカラスが待っていた。窓を開けカラスを中に入れた。
「待たせてごめんな」
カラスはライトの肩に乗り、耳元でクチバシを動かした。
「…そうか。わかった。引き続き頼むよ」
カラスにおやつを与えたが、どこか疲れている感じだった。
「遠いところから来たんだろ?ありがとうな。ゆっくり休んでいいよ。なんだったら、城に戻ってもいい」
カラスはライトの机におり、羽を休めた。
「次の授業はお昼からだ。それまでゆっくりしていい。ただ、糞だけは外で頼むよ」
優しくカラスを撫でた。
「君たち。本当にありがとうな」
カラスは澄んだ瞳でライトを見つめた。
「クロ…外に出ていないのか。姉さん…」
ライトは悩んだ。すると、ノックが聞こえた。
「ん?誰だ?」
「失礼します」
事務の人が入って来た。
「ライト先生。郵便物です」
「あぁ…ありがとう」
ライトは郵便物を受け取った。事務の人はでて行った。ライトは郵便物を確認した。
「あぁ。桶谷くんのか。研究室に置いておくか」
ライトは立ち上がった。
「窓は空いてるから、外行きたかったら自由に行っていいからな」
そうカラスにいい、教授室を出た。廊下を歩き、研究室へ向かった。扉を開けようとすると、背後に気配を感じた。ライトはゆっくりと振り向いた。誰もいない。
「あぁ。疲れてるのかな」
研究室の扉を開けた。
「みんなお疲れ」
ライトは挨拶をした。すると、見覚えのある人がいた。
「ライト先生。お疲れ様です。あの…お客さんです」
鈴鹿が声をかけた。
「ライト先生。お久しぶりです。成宮です。報告会以来ですね」
「わざわざお越しいただき、ありがとうございます。もしかしてですよね?」
成宮は頷いた。
「鈴鹿くん。彼にお茶を入れておくれ」
「はい」
「どうぞ座ってください。別に教授室でも良かったのですが…」
「すみません。わからなくて彷徨いていた所、彼に案内されたのです」
成宮は鈴鹿を見た。
「そうですか。大学広いですもんね〜」
ライトも椅子に座った。
「今日、嫌な予感はしてたんですが…」
「お若いのに流石ライト先生。情報が早いですね。実は、一昨日の晩。私たちの集落で共に生活をしていた野生の龍が…絶滅しました」
鈴鹿はそっとお茶を出した。
「ヒスイという野生の龍なんですが、もう五匹しかいませんでした。彼らがいてくれたおかげで、私の集落は安定していました。農作物や集落の環境も彼らがいてくれたからこそ成り立っていました。我々集落の人々もヒスイ達に感謝していたんです。それなのに…あの晩、紅い流星が来たんです」
「紅い流星…」
成宮はお茶を飲んだ。
「おそらく、この前報告会でライト先生が話しなさってた闇の帝王だと思うんです」
その言葉に、研究室のみんな驚いた。
「その、紅い流星の背に誰かが乗っているのを私はこの目で見たんです」
「…」
ライトは足を組み直した。
「最初、ヒスイのリーダー的なオスの龍の遠吠えに、我々集落の人が目を覚ましました。次の瞬間、断末魔が聞こえたんです。慌てて駆けつけると、リーダー的のオスが紅い流星が止めを刺したんです。そして、消えていきました」
成宮は悔しそうだった。
「ヒスイは…なかなか子供ができなくて、それでも我々は彼らに子供ができなくても生涯を穏やかに全う出来たらよかったと思っていたんです。それなのに、あの紅い流星が…」
成宮は泣き出した。周りにいた研究員も俯いていた。
「成宮さん。お話、ありがとうございます。集落の人の怪我人は居なかったんですね」
「はい。狙いは我々ではなく、ヒスイだけでした」
「わかりました。至急関係各所に通達しましょう。だが悲しい話、あいつらは動きを止めないでしょう。そして、少数しかいない龍を狙うと思います。その方が早いから。この前のエメラルルミナスも結局見つかってないので、おそらく死んでいると思います。そして、我々も狙うと思います。なぜなら、我々はその龍の生態を知ってるからです。成宮さん。生きて報告に来てくれてありがとうございます」
ライトは成宮の手を取った。
「はいっ!」
成宮は涙で溢れていた。成宮は落ち着いてから帰って行った。
「ライト先生…」
鈴鹿は不安だった。
「君たちも注意しなさい。もしかしたら、狙ってくると思います」
研究員の皆がライトの話に集中した。
「もし、何かあれば遠慮なく相談するんだぞ。いいな?」
「はい」
研究員の皆が返事をした。
「よし。さて…これ桶谷くんの郵便物だが」
桶谷が手を挙げた。
「おぉ。はい」
「ありがとうございます」
「さて、私は関係各所に通達する書類を作らないとだから、これで帰るね」
ライトは研究室を出た。
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