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モノロギア~変態は、スキルであって俺じゃない~  作者: こひる


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18/23

急な満身創痍

 「ぐぅぅ………頭いてぇ、お腹すいた…………」


 凄まじい頭痛と激しい空腹。とにもかくにも絶望的に体のコンディションが悪く、なぜか服を一つも着ていない全裸スタイルで見知らぬ路地裏にいるわけだが…………どうしてこうなった。なぜこうなった。

 確か、フェニキア王国の王都がテロ?で崩壊して、家族や友達が生死不明になってしまっていて……………スキル「変態」で鳥に変身して……。


 「ああ、なんとなくわかったな……」


 いくつか予測を立てながらステータス画面を開く。

 まず、鳥への変態が成功したことに伴い俺の自我が一時的に消滅した可能性。考えてみれば当然ともいえるのかもしれないが、人間が鳥へ変わったのだから意識………というか脳のサイズ的な問題が起こってもおかしくない。………いや、そのあたりをマジカル的なサムシングで解決してくれるのがスキルじゃないのかよ、とは思うが、これはあくまで俺の予想なので文句は口に出さない。心の中ではブーイングの嵐だ。

 この場合、俺が元の姿に戻ったのはスキルに時間制限のようなものがあるのか、鳥状態の俺が奇跡的にスキルの解除……そもそもできるかわからないのだが、スキルの解除キーを実行できたか、あるいは鳥状態で死を迎えたことで戻った……………なんて可能性もあるか?まあ、元の姿に戻ったと言っても、ステータスを見たところ人間ではなく別の種族のようだが。

にしても体が痛い………。


────


シャイセント・スティリード

種族:セフィラパス(メム)


スキル

・鑑定

・変態

・忍耐

・毒無効

・抑制


────



 スキル増えてる……………てかなんだ、セフィラパス?メム?意味わからね………。種族、の欄が変わっているということは、俺は今人間ではないのだろうか……?変態スキルが解除されたのならば種族も人間に戻りそうなものだが、そういうわけでもないのだろうか。わからないことだらけだ。

 急にスキルが得たのも謎だ。新しく増えているのは「忍耐」、「毒無効」、「抑制」の三つ。毒無効は名前的に毒を無効にできるのだろうが、忍耐と抑制はどんなスキルなのかわかりにくい。単語から予測することはできても、ぴったり言い当てるのは難しいだろう。ということでさっそく発動してみたのだが、どちらもいまいち効果が分かりにくい。というかこれ本当に発動しているのか?


 「はあ………またか」


 変態に引き続き、またもや使い道のよくわからないスキル。勘弁してほしいな。ステータスウインドウがあるならスキルの詳細も載せておいてほしいものである。


 「っぐ…………」


 それにしてもお腹がすいた。頭が痛い。ひとまず、この状況を何とかしないと………。


 重い体を引きずるようにして歩き出す………が、そこで動きが止まる。何とかって、どうすればよいのだろうか。俺は今無一文どころか服もなく、ここがどこかもわからない。


 「食べ物の前に服を………てか金……………」


 ……………詰んでないか?働くにしてもこの状態じゃ無理だろうし、これはもう人の善意でも信じるしかない…………か?






 「………よし」


 全裸スタイルは流石によくないと思い、捨てられていた小さく汚いぼろ布で下半身の大事な部分だけ隠し、いざ実戦。とりあえず全力で媚びへつらおう。ちょっといろいろ限界なんだ。なりふり構っていられない。



 「ッチ………」

 「消えろ」

 「………」


 これが、ここ数時間で俺が声をかけた人間からの反応、その大部分である。俺は舐めていた。俺の立場からこんなことを言うのは滑稽で、厚かましい以外のなにものでもないのだが、人類というのはもう少し善性をもって生活してもいいのではないだろうか。


 「よし」


 鍛錬に使っていた木刀と太さが同じような気の棒を見つけ、拾い上げる。木刀と比べると長さは少し短いが、むしろここまでの好条件の木の棒を見つけた幸運に感謝すべきだろう。

 そして俺は決意した。次にここを通りがかった奴には、力ずくでも俺の糧になってもらうと。申し訳ないが、俺も必死なのである。


 そんなときに通りがかったのは二人組の女。俺は意を決して話しかける。


 「あの………食べ物か働く場所を恵んでもらえないだろうか」

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