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モノロギア~変態は、スキルであって俺じゃない~  作者: こひる


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魔法錬金サークル

 俺がサークル見学に行ってから一ヶ月と少し経ったある日。つまりサークルに入ってから一ヶ月と少し経ったある日、2人で入ったらしい魔術サークルに向かったリリアン様とリン君を見送った俺は今日も今日とて仮称魔法錬金サークルに向かう。




 「こんにちは、プラナ先輩!」


 「おー、ようこそ後輩」


 サークルの部屋………というか、プラナ先輩の研究室に入り、挨拶をすると机に向かっていた先輩が顔をこちらに向けて返してくれる。

 そう、研究室。研究室なのだ。俺がサークルだと思って入ったここなのだが、どうやらプラナ先輩のための研究室であるらしかった。研究室ってなんだよ、先輩も学生だろ?と思う気持ちもわかるし、実際俺もそちら側だったのだが……………まあ、なんというか、先輩は天才だった。


 そう、天才だったのだ。天才故にその天才的才能を認められ、サークルというていで一人での研究を認められ、その天才性を十全に発揮してなんだかすごい薬を作っていた。

 そして何の気紛れか、そんな天才のサークルメンバー兼助手?的な立ち位置にすっぽりと収まってしまったのが俺である。そういえば一月前、先生がどうのとか言っていたか?まあいいや。

 そしてそんな天才の助手を最低限こなせるようにこの一か月たっぷり鍛えられたわけだが、不思議と頑張れている。


 不思議な話だ。剣術の修行はあんなに憂鬱だったのに、俺はいまだに頑張れている。悲しいかな、これが男の宿命とでもいうのだろうか。やはり筋骨隆々な父親よりも美少女先輩のしごきの方がやる気がでるのだろう。

 せめてもの抵抗として、そんな本能以外の理由をあげるのであれば……………魔法錬金の方が成長を知識として実感できる……………とか?



 「さっそくだけど、そこの翡翠ユリとって~」


 「あ、はい!わかりました!」


 先輩のオーダーに、思考を中断し材料のしまってある棚に向かう。初めて来たときはごちゃごちゃしていて使いにくそうだった棚も、慣れてしまえばむしろこちらの方がいいと思えるから不思議である。


 「翡翠ユリってことはまた例の薬の錬成ですか?」


 最近先輩は、身体強化の倍率を強制的に上げる薬の錬成に熱を入れている。そういうのがあると、俺みたいに魔法がロクに使えない剣士は嬉しいと思う。というか、この前試作品の実験台になってみたのだが、ちょっと自分でも驚くような動きというか、挙動ができた。


 「ん、そうだよ~、あと、アルティメットポーションね?」


 「その名前、ダサいんでやめません?」


 天才先輩はネーミングセンスがないらしい。前回作ってた爆発する瓶もへんてこな名前を付けていたし、いや、もう別に名前なんてどうでもいいと言えばそうなんだけど、先輩は自分の付けた名前で道具を呼ぶことを強要してくるから、ちょっと恥ずかしい。


 「え~、じゃあ後輩はどんなのがいいと思うの?」


 ……………ふむ、これは珍しい。どうやら今回は俺の意見を取り入れてくれるようだ。


 「そうですね、ポーションの効果的に……………チート薬、もしくはドーピングとか?」


 「なんかやだ!」


 なんか嫌らしい。いや、確かに我ながら酷い名前だな。


 棚にしまわれていた翡翠ユリを手渡すと、少し離れて自分でも適当に錬成をしてみる。

 助手なのだし一緒に何かをやるのが普通なのかもしれないが、生憎とうちの先輩は普通じゃない。もともと一人でできていたのだ。俺が過剰に何かをしに行けば、それこそ邪魔になってしまう。せいぜい材料を取ってくるくらいなものだ。いやほんと、何のための助手なんだかわからない。






 「あ!!」


 「うおっ!びっくりした…………どうしたんですか?先輩」


 しばらくお互いに黙々と作業をしていると、先輩が急に声をあげて、こちらに顔を向ける。


 「そういえば後輩はさ、あの大会出るの?」


 「あの大会……………?」


 「そう、学園の大会」


 なんだ、学園の大会って。初めて聞いた。というか、大会って何の大会なんだ。そんなことを先輩に聞いてみたところ、どうやら学園が定期的に開催している、武術大会があるようだった。ルールは簡単。学園の学生がトーナメント形式に戦って勝敗を決めるという、なんというか、いかにも、といったものであった。


 「うぅん、そうですねぇ…………まあ、出ないですかね?自分より強い人を少なくとも一人知ってるので」


 「ああ、ノール君?強いよねー、彼は」


 「え?ノール?」


 「あれ?違った?」


 誰だよノールって、俺が言っていたのはリン君のことだったのだが。

 そんなことを伝える。


 「え?あははは!!なんだそっか、ごめんごめん、勘違いしてたよ。なるほどね、同級生に強い子がいるんだ?」


 「ええ、まあ……………というか、ノール?でしたっけ?その人は強いんですか?」


 そう聞く俺に、少し驚いたような顔をした先輩はにやりと笑い告げる。


 「強いよ?すごくね。多分、腕っぷしなら学園最強だよ」


 「そ、そんなにですか……………」


 学園最強の情報も驚くべきものであるが、そんなことよりもにやりと笑った先輩が絵になりすぎる方が気になってしまったのは内緒である。


 「えと、そのノールって人はどんな人なんです?」


 そう聞くと、先輩は色々教えてくれたが、まあ簡単にまとめると、そのノール、いや、ノール先輩はユーサ帝国?からの留学生で、先輩の同級生らしい。


 「ユーサ帝国?」


 「ん?おいおい後輩、帝国を知らないのかい?」


 「はい、全く知りませんね」


 「ええ……………私が言うのもなんだけど、君はちょっと常識ってのをを学んだ方がいいよ。隣国だぜ?」


 天才故か、ちょっと突飛なエピソードを無数に持っている先輩にそんなことを言われてしまってはおしまいである。


 「あれだよ、人類最強がいる国だよ。もちろん、国全体を見ても発展しているけどね~」


 「へぇ、そんなのいるんすね」


 学園最強に続いて人類最強まで出てきた。いやはや、どこの世界でも人は最強という称号をつけたがるものだな。というか、学園最強はまだしも、人類最強なんてどうやって決めたのか。まさか全人類を戦わせたわけでもあるまいし。


 「ああ、そうそう。話を戻すけどさ、後輩」


 「はい、なんですか先輩」


 「君が大会に出るなら、このアルティメットポーション使ってもいいよ~」


 「お、マジですか……………え?」


 え、使ってもいいよ~、じゃないが?え、いいのか?だってそんなことをしてしまったら正しくドーピングだろう。


 「いやいや、流石にそれはダメじゃないですか?ほら、有利過ぎるというか、普通にズルというか……………」


 俺が先輩の正気を疑いつつそんなことを言うと、先輩はキョトンとした顔で


 「ん?別にいいんじゃない?ほら、魔法錬金が得意な生徒はいくつか道具を持参したりしているし」


 「えぇ……………」


 流石になしじゃないだろうか。ルールになくても、こう、スポーツマンシップ的な?

 いや、それくらいアルティメットポーションの効果はすごいのだ。というか、俺は先輩のもとで魔法錬金について学んで、すでに同学年の生徒よりも数段上の知識を持っているが、その知識をもってしても自らを強化できるポーションなどこれのほかに知らない。


 「まあ、気が変わったら言ってよ」


 「ああ、はい。じゃあその時はお願いします」

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