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Case_Darkside  作者: なみ坊
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プロローグ、ー始まりの日①ー

この小説に関してですが、自分の為に書いています...ハイ。

しかし上げている以上は楽しんで頂けるよう頑張ります。

「あの教師め...赤点取らなきゃ良いだろうがよ」


テストの結果を面談で散々言われた事に愚痴を言いながらアパートへ向かう角を曲がる。

そこには...

「正体不明」が佇んでいた。

情報が欠落していて目を凝らしても上手く認識出来ない。


それは、こちらに気付いた様子でそそくさと路地裏へ消えて行った。


「なんだ...あれ...?」


俺の見間違えか?

硬直してしまう。しばらくして、「いやいや幻覚でも見たのだろう」という気になり歩き始める。


とりあえず今日はすぐ寝るべきかな...



ーーー朝6時、目覚ましで目覚めるーーー


朝のルーティンをこなし、

「いってきます」

誰もいない我が家にそう言って出かけていく。


「うー、さむッ」

まだ秋ではあるが、かなり寒くなってきた。

今は学ランしか着ていないけれど、そろそろマフラーや手袋なんかも欲しくなってくる。

30分ほどバスに揺られ、山を登ると高校に着く。


「あぁ〜あ、今日は金曜か。早く放課後になんないかなぁ。」


「やぁ英司、おはよう。眠そうだな、また夜遅くまでなんかやってたのか?」


このカッコイイ風のオーラ出してる奴は光輝。俺の幼馴染みたいなもんで小学校からこっち、ずっと一緒の腐れ縁だ。


「おー光輝、おはよ。いや、昨日はさっさと寝たよ。一昨日ゲームやりまくって徹夜したのがキてる。まぁそれが無くても朝弱いんだけど。」


「そうか、まぁーーー」


そこまで言ったところで光輝は委員長な女子に呼ばれてしまった。


「光輝くーん!先生が授業で配る資料運ぶの手伝ってくれってー!」


「分かった、すぐ行くわ。英司は体壊すなよ。」


「大丈夫だって。」


細かい気遣いが出来る、あぁいう所がモテるんだろうな。そう思いつつ光輝を見送った。


その日の放課後。俺は校舎の端、"パソコン部"と書かれた教室に向かう。誰も来ることのないその廊下はタイルが剥がれかけており、薄気味悪いオーラを放っている。今からこの教室で1人寂しく部活動だ。部員は俺だけだし、卒業する再来年には廃部だろうなぁ。


「今週も疲れた。明日から2日間は時間を忘れてゲームだぁー。」


カタカタカタカタ...

カチッ、カチカチッ...

チク、タク、チク、タク...


外も暗くなり、校庭に見える野球部が片付けを始めた頃。

ーーー突然。


ズガァァァァァァン....


大きな振動と共に、天井からパラパラとホコリが降って来た。


「な、なんだ?」


隣の教室からだろうか。だがそっちには準備室があるだけで誰もいない。

見に行くべきだろうが、誰か気付いてくれているならその人に任せたい。怖いから。しかし残念なことにここは校舎の端っこ。気付いたのは俺しかいないようだった。

仕方がないので重くなった腰を椅子から離す。廊下に出て、準備室の前に立った。引き戸に嵌っているガラスには紙が貼り付けてあって中を見ることが出来ない。


「開けるしかないか...」


先生なり呼んでくれば良かったかもしれないが、そんな事も考えられないくらい動転していた。


ゴクリ...


俺は、恐る恐る、なるべく音を立てないように、ゆっくりと扉を開く。


ガラ...ガラ...


開いた隙間から中を覗く。すると...


ダンボールなどが床に散乱していて、窓があったであろう場所には大きな穴が空いているのが見えた。

薄暗いため部屋全てが見えたわけではなかったが、見た限りでは危ないものもなさそうだったのでホッとする。状況を調べるために電気をつけて乗り込んだ。


小さな部屋。棚などの家具類はほとんど置かれていない。床に散乱しているダンボール類は、積んであったものが崩れた様子だった。恐らく倉庫の代わりにされていたのだろう。

大きな穴が出来た場所を見る。教室の位置的にボールが飛んできたというのも考えにくい。では何があったのだろう?

近付いてみて俺は気付く。そもそもボール如きでこんな大きな穴が出来るわけなかった。窓枠までもが壊れてしまっている。


「...普通こんな事になるか?」


何があったらこうなるのか。もう一度じっくりと部屋の中を見回す。見つけた。この部屋にある筈のないもの。


ダンボールで隠れるようにーーー

少女が倒れていた。

血に塗れて。


「うわぁぁっ!!」


俺は悲鳴をあげて、尻もちをついた。そして目を見開く。


「どうして女の子がこんな所に...」

「そ、それよりも血!血が!!」


震える声で叫ぶ。足が竦んで立ち上がれない。こういう時にどうしたら?ダメだ、頭が回らない。


少しの間動けずにいたが、なんとか落ち着いてきた。

救急車を呼びたい。だけど今日に限って携帯を忘れた。保健室に運ぼうか。動かすのはマズイだろう。近所の人に頼る?ここは山の上だ。時間がかかる。


「そうだ、誰か呼ばないと」


俺は保健室に走った。先生を連れて来たかったが、今は午後6時をまわり完全下校時刻を過ぎている。先生達も帰る時間で誰も捕まえられなかった。保健室も鍵が掛かっている。この時間まで残ってしまう事は割とあるものの、今は訳が違う。


「俺...しか居ない...」


もう俺が何とかするしかないんだと直感してしまった。


「くそっ!」


半分ヤケになりながら、持っていたクリップを使って保健室の鍵を回す。暇つぶしに練習したピッキングがこんな所で役立つなんて。嬉しくはないけれど。


使えそうなものをそこにあった袋に入るだけ突っ込んで、走って準備室へ戻る。

包帯、ガーゼ、消毒液、絆創膏、etc...

出来る限り全て持ってきた。応急処置をする前に状態を確認。

呼吸、脈拍はたぶん正常。骨が折れたりしている訳でもないようなので、とりあえず何とかなりそう。


全身傷だらけで出血が酷いため、傷口をそれぞれ包帯とガーゼを使って止血していく。余計な血は拭き取って綺麗にした。

処置の方法は中学の時にしてもらった事をきっかけに多少なり勉強したので分かる。だが俺は大切なことを忘れていた。


「これ...服の下どうしよう...」


相手が女の子だったって事を。

コミュ障気味のゲーマーにこれは割とキツい。そうでなくても抵抗があるだろう。

さすがに捕まりはしないだろうが、恥ずかしさと不安からくる緊張でどうにかなりそうだ。それでも自分がやらないといけないという事だけは理解出来ているので、深呼吸して覚悟を決める。


「俺がやるしか無いんだ!」


自分に言い聞かせた。

汚れた上着を脱がし、血でベットリとなったシャツは破いてしまう。腹部に大きな傷。深さの割に、何故か血は止まっているようなのでガーゼを当てて包帯を巻く。下着は脱がす必要も無さそうだし勇気も無いのでそのままにした。


一通り終わらせたところで、窓に穴が空いていてかなり寒い事を思い出した。とりあえず暖房も効く部室の方に移動させよう。

地面にそのまま寝かせるのもマズいと思ったので、椅子の座面に着いているクッションを外し敷き詰める。上にシートをかけて簡単なベッドを作った。移動は、あまり動かさないようにゆっくりと。やけに重かった。脱力している人というのはこんなにも重いものなのだろうか。


移動してきてやっと一息つけた。というか凄く疲れた。精神的にも。救急隊員って凄いなと思いつつ、独り言が漏れる。


「とにかく何処かで電話しないとな...」


するとーーー


「電話は...だめっ...!!」


女の子が目を覚ましていた。俺はギョッとしてそっちを向く。


「連絡しちゃ...だめっ...!!」


そう言って女の子はまた気を失ってしまった。


「それってどういうーーー」

「ーーこと。」


聞きたかったが聞けなかった。とりあえず意識が戻らない状態という程悪いようではなさそうか。

しかし連絡しては駄目という事は、救急車も近所の人も頼れないって事だ。病院に運んでもらって終わり、という選択肢を潰されてしまった。

これからどうしたらいいんだ...

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