ロザリンド3
今回は短いです。
春休みが明けて新年度が始まり、私は学園の最終学年の学生として王都に戻ってきた。
両親は依然として行方不明のまま、友人たちが心配しつつもその話題に触れないようにしてくれるのがありがたかった。
そんな日を1ヶ月ほど過ごした頃、公爵家からの知らせが領地の方に届けられたようだった。
「死亡って、どういうことですか?死因は?いつ、どこで発見されたのですか?」
馬を走らせて領地から知らせに来てくれたウィル兄様は首を横に振った。
「何も知らされていない。ただ亡くなっていた、とだけこれに。」
手渡された手紙には確かに『調査の結果、亡くなっていることがわかりました』とだけ書かれている。詳しい理由を問う手紙を送ったが、今のところ返信はない。
私たちは公爵領に探しに行くこともできず、伯爵夫妻という領主が亡くなったにも関わらず詳しいことすら知らされない。
いくらなんでもこの扱いはあんまりではないだろうか。
とはいえ、これ以上公爵家に苦情を言ったところで梨の礫だろう。せっかく王都にいるのだから、王家に取り成しを頼むことにした。
ウィルお兄様が両親の死亡届から王家への取り成しなど様々な書類を手に東奔西走している間、私は申し訳ないことに普通に勉強させてもらっていた。学園での成績がこの後の人生や人脈に影響してくるという話をよく聞くので、家を継ぐならなおのこと疎かにできないのだ。
この忙しい時に勉強どころではない気持ちだが、「今は学ぶことが仕事!」と自分に言い聞かせ我慢する。両親の死について考えないようにひたすら本を読み漁った。
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