ロザリンド1
まずは女の子主人公で始まります。
神様、次に生まれ変わるときはどうか俺を王族にしないで。今度こそ彼女と添い遂げられるように・・・
「なんですって!お父様とお母様が!?」
その日、我がフランクリン伯領に衝撃が走った。
私、ロザリンドの両親が王都に向かう途中のグリフィス公領で行方不明になったのだ。
早馬の知らせによると、一昨日の晩に公爵家の夜会に参加した両親が王都の家にいつまでも到着しないので、グリフィス公爵家へ問い合わせたところ、朝には出たというらしい。
しかし、王都の検問も通過していないので、公領で行方不明ということとなる。
「とにかく、ウィルお兄様に知らせを送って!」
今、フランクリン伯領は私の両親が経営している。従兄のウィリアムはそれを手伝っているのだ。後継ぎは私なのだが、いかんせん17歳の学生で卒業まではまだあと1年ある。21歳のウィル兄様は学園を首席で卒業した逸材で、女性かと見間違うほどの美貌と相まって「最高の婿がね」と呼ばれていた。あちこちからお見合いの話が来ていたらしいが、両親が行方不明の今、婿に行かれると困る。
かくいう私も昔から憧れのお兄ちゃんって感じで追いかけ回したわけだけど、ウィル兄様は嫌がらずに領内をあちこち連れていってくれた。
とにかく顔と頭がいいのでものすごくモテるのだけど、私にとっては一番身近なお兄ちゃんなので、悩みごとがあったら一番相談しやすかった。
フランクリン領をとても大切に思ってくれていて、発展のために色々と始めたことで尋常じゃなく忙しいはずなのに、いつも真剣に話を聞いてくれるので、つい、甘えてしまっていた。
「ロージィ、大変なことになったね」
応接室で立ったり座ったりしていると、ウィル兄様が駆けつけてくれた。
私と同じ明るいアッシュブラウンの髪が乱れているので、かなり急いで来てくれたようだ。
心配そうにペリドットのような緑の瞳が私の顔を覗き込んだ。
「このことは叔父様と叔母様には?」
ウィル兄様の両親の叔父と叔母は絵に描いたようなダメ貴族で、父様も「あいつらにだけは領地経営に口を出させたらダメだ!」と言っていたくだらいだ。
ウィル兄様に関しては「鳶が鷹を生む」を通り越して、雀が鷹を生んだなとつくづく思う。
「知らせる訳がないだろう。フランクリン伯領が食い潰される。」
ウィル兄様はきれいな眉を寄せて、目を伏せた。
「とにかく、伯爵夫妻の無事が確認できるまで領内を保って、捜索のためにグリフィス公領に入る許可を取らないといけない。」
そう言うと、執事にレターセットを持ってこさせていた。
私の両親のことなのに、頭が真っ白になって何もできなかった自分が恥ずかしい。ウィル兄様がいて、本当によかった。
初めての投稿なので、ミスってたらすみません。