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妖怪23 キスで子供はできません!

 キスで子供ができてしまうのか? それはなぜなんだ?

 少年はひたすら考える。

 本来生殖というものはそういうものではないということを知っている。

 しかし、口裂け女がそういうのならばそれを迷ってしまうほど少年の心は流されやすかった。

 実際、性行をしたことはないし、自分の子供を見たことはないからだ。まあ、暴論過ぎるが少年にとってはそうだった。

「そ、そんな、馬鹿な・・・」

 少年は崩れ落ちる。そんな姿に慌てて口裂け女が駆け寄る。獣の背中の毛は寂しくなっていたが。

「く、クロ君どうしたの?」

「すみません、俺はカレンさんのことを裏切っていたようです」

「なっ!?」

 口裂け女は少年の言葉に身を強張らせる。

「な、なにを裏切ったの? ちょっとしたことなら許してあげるわ」

 それは動揺しながらも口裂け女の慈悲だった。彼の過ちなら許せる。そういった意味でもダメな女だった。

「俺には子供が百人以上います」

「は?」

 凍った。

 何もかもが凍った。

 少なくとも口裂け女がそうだった。

「な、なんで・・・」

 口元を押さえて彼女は下がる。

 好きな人ができた。彼氏彼女になった。

 でも、それでも、彼女は瞼に涙を浮かべた。

 万が一好きな人がいてもよかった。愛した人がいてもよかった。結婚していてもよかった。ヤンデレだった。

 子供もいても良かった。想像はしていなかったが、子供がいたって家族にはなれる。そう思っていた。

 しかし、その数が、

「百人?」

「それ以上です」

 少年は俯いている。

 口裂け女は何も考えられなくなっていた。

「すみません。俺は仕事の上で百人以上とキスやそれに近い行為をしました」

「ん?」

 疑問に思ったのは少女だった。

「あの、クロさんのキスをしたって何ですか?」

「子作りよ!」

 その瞬間、ブラウンと名付けられた少女は頭を抱えた。

 いや、こいつら何なのと。

 あまりの苛立ちに目の前の毛を引きむしりたくなるが死にたくもないので我慢する。

 だから、

「座りなさい!」

 あまりの勢いにポチすらビクンとしてしまう。

 少女はポチから降りながら向かい合う少女に眉間を寄せる。

「クロさん!」

「は、はい」

 少年すらもただ事ではないと緊張しているようだ。

「あなたは女心を知ってください。そもそも距離感が近ければ良いわけじゃないんです。カレンさんが好きなら彼女を混乱させる前に距離感を勉強してください!」

 確かにもっともな話だった。少年の行動が口裂け女の奇行を誘発しているのは間違いないだろう。

「カレンさん! キスでは子供はできません!」

「え?!」

 その疑問が一番の驚きだった。


大切なことなので短くても伝えました。

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