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妖怪19 大切な人は守りなさい

 一人の女に言われたことがある。

「大切な人は守りなさい」

 そう言った女を翌日殺した。殺さなければ俺が殺されていた。

 そんな状況で俺は生かされていた。結果、ここにいる。

 そして、

「あばばばばばばばばば」

 愛しい人がいる。

 あかん、関西人になりそうだ。

 関西人に怒られそうだが俺の言葉はそういうものだ。

 見た目もそうだし言葉も強い言葉や容姿に引きづられてしまう。

「カレンさん?」

 俺は思う。

 どこまでも可愛い人だと。

 裂けた口は正直どうでも良い。ものを食べやすいなとしか思えない。

 彼女にも怒られるかもしれない。

 出会った当初は多少恐怖した。

 だって、文字通りの怪談だ。サブカルチャーで学んだ怪談そのものだったからだ。

 暗殺者だって恐れるものくらいある。それこそ、人間の手でどうにかできない存在なんて恐怖そのものでしかない。どんなに残虐なことができたとしても、それが物理に及ばないなら恐れることしかできないだろう。

 だからこそ、今、目の前にいる彼女は奇跡であり、その軌跡を目に焼き付けたいと思うのは当然のことだろう。だって赤いしね。わかりやすいからね。

 好きになるということがわからなかった。

 だって、接点を持つイコール殺害でしかなかったからだ。それ以外の接点は徹底的に排除されていた。カモフラージュのためのブレザーも、それこそカモフラージュの意味でしかなかった。登校はしたことはあっても授業を受けたことはなかった。だって在籍をしていたことはないのだから。

「こんな気持ちは初めてです」

「ぱぷ?!」

 初めて人と向き合ったかもしれない。認識してもらえたかもしれない。人として認められたのかもしれない。

 それが俺には何よりも嬉しかった。

 目の前で奇声を上げる彼女が何よりも大切に思えた。なぜなら、そんなことをしながら続く関係は初めてだったからだ。

「顔、見せてもらってもいいですか?」

「は?!」

 こいつは何を言っているのだという意思を表情だけで表す彼女に俺は思わず笑ってしまう。

「ば、馬鹿にしてるの!」

 そして、その笑いは彼女を勘違いさせてしまったらしい。

「違うんです。カレンさんが勘違いしてしまっているから笑ってしまったんです」

 そう。俺は容姿だけで好きになったわけじゃない。彼女だから好きになったんだ。だから、彼女のすべてが見たかった。美しいとか美しくないとか、痩せているとか太っているとかそういうことじゃない。ただ、彼女が好きなんだ。これは純愛だ。紛れもなく好意しかない。だから、彼女の顔が見たい。体を抱きしめたい。匂いを嗅ぎたかった。俺は変態だった。


 いやいや、あたしはプチパニックを起こしている。あたしの顔が見たい?! クロ君正気なの? あたしは怪談ですよ? その顔には可愛らしさの要素はないのよ? 怪談だからこそ、恐怖を刻み込む顔つきなのよ!? なのに見たい? 言っている意味が分からない。

 いや、でも、一応彼女の顔を見たいという欲求はわかるけど・・・というか顔も見せてないのに彼氏彼女になってたのね。それはそれでびっくりだわ。仮面夫婦という言葉は聞いたことがあるけれどそれ以前の話なのよね。

 あかん! それでも醜いと分かっているものを見せたくはないのよ!

 あたしだって女なのよ! 羞恥心くらいあるのよ! 存在自体が羞恥心になるとは思ってなかったけどね! くっ、怪談が自己否定することになるとは思わなかったわ! コギトエルゴスムの逆になるとは!

「カレンさん、嫌ですか?」

「い、いや」

 嫌に決まってるでしょうが! 好きになった人にドン引きされるもの見せたくないに決まってるでしょうが!

「嫌なんですか・・・」

 そう呟くクロ君はあたしから目を逸らしてしまう。あ、そんな顔しないでよ。あたしだって嫌な思いはしたくないし、クロ君だって醜いものは見たくないと思うし、

「好きな人のすべてを見たいと思うのはダメなことでしょうか?」

「っっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっ!」

 何かが破裂しかけた。それはあたしの心臓だろうか? それとも脳みそだろうか? 何もかもがわからない。全身から汗が吹き出し血管が脈動していく。

 あかんあかんあかん、教えて地縛霊の小鳥遊さん、あたしはこの感情をどう制御したらいいの?! そして、伸びてくる彼の手を止めることだけができないのよ!

 そして、彼の細い指があたしの耳元に触れて、あたしの防壁を彼のブレザーの上に、


 落とした。


「きれいですよ」

 彼は言う。

「とてもきれいです」

 重ねて言った。

 にっこりと微笑み、そのまま伸ばした指先であたしの唇の端から端までをなぞる。その感触に沸騰していた鼓動はさらに爆発的な何かを得てしまう。あたし死ぬの? 怪談だけどここで死ぬの? 死んでもいいわよね?! 爆発してもいいわよね?! リア充なめんなバーカ!


 なんというか残念過ぎる怪異であった。

もっと爆発してほしい。そう思う方は評価やブックマークをお願いします。

というか口裂け女が書いてる本人もわからない方向性に進んでいます。


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