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妖怪11 ジェノサイド

 そう、変態なのだ。彼女は変態だった。

 妖怪なのに、人間ではないのに、人間に懸想してしまう変態だった。

 神でも悪魔でもない。

 正確に言うなら妖怪ですらないのである。まあ、一応妖怪のくくりではあるが。

 怪談という存在で、少年と手をつなぎながら歩いて胸をcuncunさせているのだ。

 言葉にするまでもなく変態である。 しかし、同時に初心であるのだ。

 それはある種の希少種であろう。なおかつ、彼女は少年の二面性を知らない。

 知ったところで何も変わらないような印象はあるが。

「クロ君・・・」

「なんですかカレンさん?」

 お互いの口調が安定しないのはお互いにキャラづくりに苦労しているからだろう。少なくとも、第三者が彼らのキャラ作りに困っているわけではない。

「き、君は年下の方が好きなの?」

「俺は年上が好きですね」

 問答無用の断言だった。

「それはいつから?」

「昨日からです」

 疑いようがなかった。

「ま、まさか、先ほどの少女が実は年上だったということは・・・」

「ありえませんね」

 むしろ、速攻でkillしていた。

「そ、そう・・・」

 どこか不安げな口裂け女さんでした。

「それに、今まで誰かを好きになるとかよくわからなかったんですよね」

 始まる少年の独白。

「な、なぜ?」

「出会う人は(ターゲット)は長く付き合うようなことはなかったし、少し仲良くなったとしても仕事が終われば関係は終わりましたし(kill)その家族とは付き合いも離れますしね(ジェノサイド!!)」

 突っ込みどころが多かったが本人以外にはわかってほしくない切実な現実だった。

「そ、そう。悲しいね」

「悲しみもいつか消えますから(ジェノサイド)」

 むしろ、異世界に来なければいつまでもついてきそうな過去である。

「でも、俺は今を大切にしたいです」

 そういって笑顔を浮かべる少年に口裂け女は顔を上気させた。

「こ、こんなおばさんをからかわないで!」

「カレンさんはそれこそカレンできれいですよ?」

「ぱぽっ?!」

 この女性は奇声が癖になってしまったようです。

 まあ、二人しかいないからどうでもいい上に、少年は癖になっているようです。

 ちなみに二人は歩いています。一応街道に戻っています。

 とはいえ、警戒は切らしていないよう。

 もっとも、少年の警戒範囲には色々あろうとしていた。


「・・・めんどくせぇな」


「どうかしたのかい?」

「何もありませんよ?」

 少年の笑顔に口裂け女はのけぞりそうになる。

 しかし、そんな、衝動を何とか堪えきる。

 とはいえ、少年は思う。先ほどわざと落として砕け散ったタングステンナイフで理解していることがある。

 壊れることはわかっている。砕けた炭素ナイフの音の反響である程度周囲の状況を把握していた。

 ちなみに、人間にはそんなことはできない。彼のスキルが人外なだけである。

『周囲で複数の戦闘があるってどういうことだ?」

 知覚はしていた。しかし、歩くからこそ、こちらから近づいているのだ。

「さっさと殺しあえばいいのに」

「え?」

「聞き間違いです」

 ダウトである。

「今何を言って・・・」

「カレンさん」

 少年は考える。

「皆殺します」

「何があったの?!」

 当然の絶叫だった。


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