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闘え!無個性レンジャー!  作者: セクシー忍者マックゴトーぶりぶりセクシーサタンバリケードスーパーファイアーサンダーウルトラピチピチ素晴らしい毛並み艶やかな肌剣の様な顏ダダダダ・ヴィンチふんふんふふふんサンバのリズム~♪
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爆裂婆や!!

ぼくうんち!!!うんち小説家!!!


うんち小説とは古代エジプト語のウン(風を意味する)、そしてツィード(ざわめきを意味する)がつながりウン・ツィード(風に乗って行くように広く伝わっていく、という意味。)となりこれはかつて大衆文学を意味していた。

それが繋げてウンツィドとなり、訛ってウンツィとなり、そして日本に伝わる頃にはウンチとなった。

であるからして、うんち小説とは古代エジプト語由来で大衆小説の事なのである。


す。

突然起きた大破壊に背中がギュウッと縮まった時、「こっちだ」声と共に誰かが僕の手を引っ掴んだ。


凄い力で僕が持ってかれていく。


こんな体験をしたのは今より背が低かった頃、同じクラスの女の子を泣かせちゃった事がバレて父さんに引っ張っていかれた時以来か。


記憶にあるより小さい手が、あの頃よりも大きくなった僕を進ませていた。


「死にたくなかったら手前で走りな!婆に引かせてるんじゃないよ!」


誰?おばあさん、でもお祖母ちゃんじゃない、知らない人。


髪は白髪がだいたい九割、グレーが残り少々。服は?良くわかんないな、だって僕走ってるし。

でも走るのに最大限適した造りはしてないの判るから、疲れさせたくなくて僕は走り出した。


周囲は酷い有り様だ。いつも見ていた光景、見慣れた通学路で、でも襲撃されてるのは見た事無かった。

自分の部屋で焚き火をした事は? 洗濯機の中でお母さんが踊っていた事は? 大半の人は"無い"と答えるだろう。見慣れた場所で、見たこともない事が起きてる、そんな違和感。


"今日の予定"がなくなって、どうすれば良いか分からなくなった。そんな僕をおばあさんが導く。


「しっかりしな!全く!これだから山にいた事もないガキは!」


おばあさん、凄い力なのに、走るのは多分ぼくよりも遅い。その上僕を引っ張りながらだからこのままじゃ逃げ切れない。………何から?


頭は上手く働かなくて、でも手足を動かす事は出来た。

僕は走った。


悲鳴が聞こえてくる。僕よりも後ろから聞こえてきたのが今では前からも流れてくる。周りの人達も襲われてる事を自覚したようだった。


ーーーーーー。


ビル街の一角、騒然とする店の中で僕達は一息ついていた。


訂正、一息じゃない。おばあさんは身体の弱さをおして走ったせいか何度も荒い息を吐いている。……これ不味いんじゃないの?


医学に暗い僕はとりあえずおばあさんの背中をさすってやる。これでさっきの負担が少しは和らぐと良いけど。


周囲は相変わらず騒がしい。近くで暴動が起きただの他国からの侵略だの某組織によるテロだの、スマホを片手に大声で話し合っていた。

1つ隣のテーブルでは、カプチーノの泡が半分ほど残ってる。


ここら一帯を襲うのは分かる。都心部だもんね。

でも炎や雷、挙げ句わざわざ人や物を凍らせて行うなんてちょっと信じられない。人が襲われてる時に合理性云々を考えてる事は置いといてだ。

サプライズでマジックショーを開催しましたが事故が起きてしまいました!私ってばドジっ子! って方がまだ信じられる。よね?

話し相手はいない。おばあさんは今やっと息を整えた所だ。


開口一番「これだから都会のモヤシ野郎は!」出てきたのは罵倒だった。


「若い盛りの青二才が、こんな婆やに引っ張られて!情けないにも程がある!そうだろう!?」

何も言い返せない。謝りたいのに口が上手く回ってくれない。


口のきけない僕を見かねて、おばあさんが口を開く。

「とにもかくにも逃げるしかないよ!それ以外はナシだ!たとえ父ちゃん母ちゃん置いて来ていてもだ!!良いね!?」おばあさんが捲し立てる。僕はまだ喋れないでいた。


周りはまだ騒がしい。僕達が逃げてきた方にスマホを構えて走っていく人、僕達と同じ方向から逃げてきて、右往左往する人とそのまま逃げる人と、色んな方を向いた人の群れで通りは塞がれている。

救急隊とか……警察とか消防とか、どうしてるのかな?


「しっかりしな!これだから山にいた事が無い奴は!」

おばあさんにまた怒鳴られた。しっかりするって、今日はどうすれば良いか分からないのに……。

「どこのモンかは知らない、何も無い所から炎やら雷やら出して襲うなんて聞いた事も無い。でもたった1つ分かるよ。

あいつら、私達を襲ってるんだ。

やる事は1つ!!逃げる事だよ。」


口はまだ効かないながらも頷く事は出来た。後の事は分からないけど僕のやる事が決まった。

おばあさんが似合わぬ素早い動きで身支度を整える。僕の荷物は小さな肩掛けのカバン1つだけだから気を落ち着ける事に時間を割けた。

喫茶店で何も頼まずに席だけ占領してたと言うのに、店員さんからもキツめに見られないのは外の騒乱のせいだろう。


立ち上がり、店を後にする。隣の席のカプチーノは泡が無くなっていた。


今日の予定は、まだ分からない。

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