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女子高生アイドルの恋愛事情 〜春山美咲の場合〜  作者: ゆゆこりん
本編

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第43話 年末の過ごし方

長らく更新できずにすみませんでした。

日々こなすことに追われておりました。

 中一日で熱も下がり、喉も調子を取り戻した。 それでも、高熱で奪われた体力を取り戻すため、お母さんからは年末までの外出禁止を言い渡された。

 もっとも、仕事がなければ用事はないし、インフルエンザにでもかかったら受験生のお姉ちゃんにも迷惑がかかるから、出歩くつもりもないんだけど。


 こうして、年末の数日間は全ての時間を家で過ごすことになった。

 身体が元気で家にいると、どうしても考える時間が長くなる。 ましてや告白めいたことをした現場とあっては、考えるなと言われても無理な注文。


 とあらば、いっそ考え抜いて今後の対策を立ててやろうじゃないの。



 大地からはあれ以来連絡はない。 千春の方にも。

 いくら鈍感な大地でも、あそこまで言ってしまったんだから、多少は意識するはず。


 それじゃあ千春から自分へを目を向けてもらうにはどうすればいいのか。


 もういっそのこと、あたしが千春なんだとバラす?

 そうしたら大地はどう思うんだろう。 騙されたとか思うのかな。 そりゃそうだよね、アイドルの時にも会ってるんだもの。


 ああ、妙案ないかな。

 世の中の人はどうやって付き合い始めてるんだろ。 Q&Aサイトにでも質問してみようかしら。


『正体を隠してアイドルやってます。 好きな同級生はアイドル時の自分を好きなのですが、どうやったらアイドルじゃない自分に振り向かせられるでしょうか』


 こんなの炎上確定じゃん!

 正体探し始まっちゃうよ……。


 お姉ちゃんに相談してみようかな。 だめだ、絶対からかわれる。 それじゃ、ナツ……もダメ。 あれ、あたしの周りで大地のことを知らない相談できる人がいない! アイドルやってるのにそれを秘密にしている以上、相談できる人なんてそもそも限られているんだった。


 もう千春として付き合おうかな。

 平日は会えないけど。 いやいや、そんなだまし討ちみたいなこと続けられるわけない。


 自分であることを差し引いて第三者目線で考えても、美咲が千春に勝てる要素がない。

 性格は、千春の時の方が明るい。 見た目も千春。 料理の腕は同じ。 勉強は、千春ができるとは思ってないかな。 でも頭がいいから好きになるってことはないだろうし……。


 一人で思考を巡らせていると、どうしてもマイナスの方へと進んでゆく。


 大地からは全然連絡こないし、興味ないってことだよね。 いまごろ女の子ばっかりの部活で楽しんでるんだろうし。 こうなったらテストのお願いごとで、あたしと付き合うこと!って言おうかな。


 よし、それなら勉強しよう。 学年末のテストは試験範囲が広い。 どうせアイドル活動を続けるためにも勉強は必要だ。

 病み上がりで踊り込むのもしんどいからちょうどいいかも。


 しばらく勉強机に向かっていると、いい具合に集中できた。 大地と競争した二学期の範囲は、思ったよりも出来がよくて、名前呼びのことを除いても効果的だったんだ。


 次の教科をやろうとノートを開いた時だった。 背後に気配を感じて振り向くと、お姉ちゃんが帰ってきていた。


「おかえりお姉ちゃん」

「ただいま。 なに美咲勉強してたの? 大丈夫? 」

「うん。 熱はもう下がったし。 かといってダンス練習ってわけにもいかないしさ」

「だからって勉強なんて……私と代わってほしいよ。 ま、今日は半分部活だけどね」

「そうだったの? 予備校だと思ってた」

「今日はね、部活の受験壮行会。 久しぶりにみんなと会って楽しかったわ」

「そっか、部活だったんだ。 ふうん」

「菊野君にも会ったよ」


 吹奏楽部といえば、と頭に浮かんだ名前を告げられて驚いた。 部活に行ったんだからそりゃ会うよね。


「そうなんだ。 ……なんか言ってた? 」

「いやー特に。 あ、でも美咲と話をしたいって言ってたよ」

「そ……そっか」

「ま、あんましすれ違ったままにしなさんなよー」

「う〜うるさいなっ」


 ニマニマという表現が似合う顔をして、お姉ちゃんは自分の部屋に戻って行った。


 すれ違い、か。 どうしてこうもお見通しなんだろうな。 お姉ちゃんって恋愛の達人かなんかかな。

 あたしだってどうにかしたいと思ってるよ。 でも、連絡するにしてもどう連絡していいのかわからないし。



 こうして悶々とした気持ちで年末過ごし、大地への連絡もできないまま新年まであと五分を切った。

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