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女子高生アイドルの恋愛事情 〜春山美咲の場合〜  作者: ゆゆこりん
本編

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19/79

第19話 Thank you for your advice.

「それでそれで? 好きなの!? 」

「――うぅ、好き――かな」

「きゃーハル可愛い! 」

「ちょっとナツ、やめてよっ。 わわっ、原田さんまで」


 原田さんから高尾山ロケの放送用編集動画できたから取りに来て欲しいと言われ、やってきた事務所でナツに遭遇した。

 その場で原田さんとナツと三人で一緒に30分見ていたのだけど、初めてのロケにしてはコメントがスムーズ過ぎると言われ、下見に行ったことを白状した。

 当然、誰とという話になっちゃうわけで、大地と行ったことまで喋らされるハメになった。


 きっと顔赤くなっちゃってたんだろうね。 二人からの集中砲火を浴びて、最近芽生えた恋心まで暴露させられた。



「あれ、でもハルって学校では仕事秘密にしてるんじゃなかったっけ」

「そうだよ」

「それじゃ大地くんはハルちゃんが千春だって知らないわけ? どうするの? 」

「わかんないですよ。 わかんないですけど、まずは振り向いてもらえるように頑張っちゃいます! 」

「頑張るどころか、ハルがそっと囁くだけでイチコロだと思うんだけど」

「ナツ!? 人ごとだと思って! だってクラスメイトなんだよ!? 」

「まぁまぁ、ハルちゃん。 私は応援してるから」

「わたしもー! 一回会ってみたいなー大地くん」

「そういえば、今度文化祭に呼ばれてるの、ウチの高校だから運が良ければ会えるかもよ? 」

「そだ、そんなこと言ってたね」


 大地は吹奏楽部でコンサートがあるはず。 こないだの出店内容決める時に、不参加で手を挙げてたもんね。


「大地くんはなんか店やるの? 」

「大地は、吹奏楽部でコンサートだね」

「ハルちゃん、ステージのバックバンド、吹奏楽部だよ。 言ってなかったっけ? 」

「ええっ? それじゃ運が良ければどころか、同じステージじゃないですか」


 バスクラといえばあまり目立つ楽器じゃないとはいえ、同じステージに立つことになるなんて。 うれしい偶然。


「そいじゃ、当日会わせてね! 」

「機会があったらね。 向こうもこっちもそんなにヒマじゃないでしょ」

「そりゃそうか」

「はぁ~いいな~。 恋か~。 私も結婚したいな~。 あんたたちじゃ飲み相手にならないから、早いとこ帰りなさいよー」


 気づけばもう19時近くになってるし、帰ってご飯の準備と明日の予習しなきゃ。


「ハルちゃん、お母さんの収録内容のチェックよろしくね」

「わかりました。 母に見せたらすぐに返事しますね」

「うん、よろしく! 」

「はーい。 では失礼します」





 ゲスト出演した回の『じじい散歩』の放映は、とても評判が良かったとのこと。 おかげで雑誌や次のCMのオファーが来たと原田さんは大喜びだった。


 雑誌は、売れっ子と駆け出しの組み合わせのインタビュー企画と、ソロの制服グラビア。 グラビアなんてナツにしか来ないと思ってた。 CMは、あのジュンゾウさんがプッシュしてくださったらしく、栄養ドリンクの新商品なんだだそう。 あたしたち、その層にウケるのかな。


 テレビの影響力は凄まじく、もともと土日しか組めないスケジュールはどんどんと埋まっていった。 文化祭の日なんて、午前中にステージが終わったあと、雑誌のインタビュー企画を撮るとのことでダブルヘッダーになってしまったほど。


 学校はというと、これまた文化祭が近づいてきて慌ただしくなっていた。 そわそわした雰囲気の中、実行委員の人たちが忙しなく動き回っている。

 当日は参加できないかわりに、準備で協力させてもらいたいと、メニュー作りを買って出た。 今日の昼休みは、男性に受けがいいメニューを用意しようと、作ってきた試作品の試食。


「甘い系じゃないのは、こっちのミートパイとかソーセージのやつかな」

「え? これ美咲が作ったの? 」

「うん、そうだよ。 でも作って食べてを繰り返してるから太りそう」

「うへ。 確かに。 でも美味しいこれ! 」

「ありがと。 でも男性の意見も聞きたいとこだね」

「ほら、そこに丁度いいのが」

「なんだ丁度いいって」

「文化祭のドーナツ、男子向け」

「おっ、ウマそうじゃん。 食べていいの? 」


 ひょいと手が伸びてきて、一口サイズに切られたミートパイが大地の口に放り込まれた。


「ん? 」


 あれ、反応がイマイチ? なんかマズったかな。


「和風? 味噌の風味か」

「えっ!? わかるの? 」


 ミートパイの中に入れた具に隠し味として入れた味噌。 お母さんに教えてもらった秘密の隠し味だったのに、まさか気づくなんて。


「うまいな、これ。 でもオーブンないとできないんじゃないの? 」

「そこまで大量じゃなきゃ家庭科室を借りられるかなって」

「美咲、これどのくらい時間かかる? 」

「焼き時間は二、三十分かな」

「ドーナツよりだいぶかかっちゃうね」

「そっか。 それならソーセージドーナツの方がいいかも」


 ソーセージは簡単で早いけど材料費が高くつく。 結構売り物にするメニュー作りって難しいね。


「大地……菊野。 Thank you for your advice. 」

「なんで急に英語!? 」

「ほら、外国人のお客さんもいるかもしれないじゃん」


 うひゃー、間違えた。 気をつけないと、ポロっと大地って言ってしまう。


「そりゃいるかもしんないけどさ……」


 大地は気にした様子もなく、ぶつくさ呟いていた。

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