世界の全容
日本国・・・。
衛星の軌道投入に成功し、観測を開始。知りえた情報は全てメディアを介し国民に伝えた。
1、日本が属するのは『タンタルス大陸』という、東の『フォーネラシア大陸』の衛星大陸の一つである。
2、フォーネラシア大陸は地球のユーラシア大陸に匹敵する面積を有し、このような大陸は全部で7つあると予想される。またその内の6つ確認されている。残る1つは磁気の乱れによって解析不能であった。
3、この星の自転周期、公転周期、酸素濃度は地球と大差はなく、衛星は4~6程存在し、位置関係は全て約384,500kmで、地球と月のそれと変わり無い。
4、太陽と距離も約1億5500万kmと、地球との平均気温に誤差が生じる程度であること。
そして、来日中のリーエンフィールから、フォーネラシア大陸について話を伺った。
「4つほどの頃でしたので、あまり詳しくは覚えていませんがよろしいですか?」
「構いません。断片的な情報でも、どのような国かうかがい知れるので。」
リーエンフィールは薄っすらとした記憶を思い出しながら、少しずつ語り始めた。
「元々この世界には7つの巨大大陸と、それを囲む衛星大陸が有ります。巨大大陸には現在、最も力のある国が治め、それらは『列強国』と言われています。」
「7台列強・・・。」
思い浮かべたのは、『イギリス連邦』『フランス共和国』『ドイツ帝国』『イタリア王国』『大日本帝国』『ソビエト連邦』『アメリカ合衆国』・・・いずれも第2次世界大戦直前の地球の列強国だ。
「それぞれの仲は・・・?」
「良くも無く不可も無く、ていって感じですね。お互いに大使や総領事が監視し合っているんです。均衡を乱そうとすれば、容赦なく制裁されます。経済的にも軍事的にも。」
付き合うのには骨が折れそうな相手である。
「フォーネラシア大陸を支配している国は、どんな国なのですか?」
「ギル=キピャーチペンデ王国・・・、ギル王国と言いましょうか。序列5位の工業国です。」
「序列?国力の差でそうなっているのですか?」
「と言うには『認められた順番』ですね。このままでは日本は8番目の列強国に成りますね。」
列強序列は上から
1、ヨル=ウノアージン聖皇国 デスペルタル大陸
2、ゼル=ドスツバイ法国 クレアシオン大陸
3、ペル=トリートリア帝国 ディートリア大陸
4、テル=フィーアキャトル連邦 エロシオン大陸
5、ギル=キピャーチペンデ王国 フォーネラシア大陸
6、メル=セーイエクス合衆国 タフリール大陸
7、キル=ズーベンオクト共和国 ディスコリア大陸
「1位のヨル聖皇国を除き国力は拮抗状態に有ります。しかしこの国は、中々他国を列強国として認めません。国交を持つにしても不平等条約は覚悟しなければなりません。」
「どこかの国に間を取り持つ事は出来ませんか?」
「ギル王国がおススメですよぉ。この国すっごくずる賢いんです。」
聞けば、ギル王国は弱小国時代に『末代の計』と呼ばれる国家存続をかけた一大計画を成功させたのだという。
計画は、王族の息子、娘を周辺国に人質に差し出し、実権を握らせた後王国に併合させる。『毛利両川』に似た戦術を繰り返した、との事。
「時間は掛かるが、確実か・・・。」
「ボルドアス戦争で恐らく日本の存在を知ったでしょう。遠からずの接触があると思われます。その時は『戦争も辞さない』覚悟で望んで下さい。下手に出るようなことになったはいけません。」
アドバイスと言う名の皮を被った忠告。
この世界での交渉決裂はその時点で戦争に直結する、継続交渉は甘い考えのようだ。
「即断即決が我が国の存亡を左右するですか?」
「貴国はまだやられても反撃できる力が有りますが、初回交渉で突きつけられるのは最後通告みたいなものですよ。」
やられる前にやる、と言う考えが持てても実行できない現状を変えるには『憲法9条』や『自衛隊法』を大きく見直す必要が出てきた。
九十九里の悲劇を繰り返さない為に。




